ゼンハイザージャパンは、完全ワイヤレスイヤホン「CX 400BT True Wireless」を9月下旬に発売します。オープン価格で23,500円(税抜)程度(税込みだと28,500円程度)での販売が予想されます。本体色はブラックとホワイト。
5月に発売されたアクティブノイズキャンセリング搭載の完全ワイヤレスイヤホン「MOMENTUM True Wireless 2」(現在の実売価格・税込み約3.6万円)の下位モデルとして登場。アクティブノイズキャンセリング機能を省略するなどして、価格を下げたことで、より幅広いユーザーに購入してもらうことを狙った廉価版です。
「CX 400BT True Wireless」の内容と特徴を「MOMENTUM True Wireless 2」と比較しての違いを交えながらご紹介します。
「MOMENTUM True Wireless 2」は発売以来、おもにその高音質ぶりで人気を維持している完全ワイヤレスイヤホンです。「CX 400BT True Wireless」は「MOMENTUM True Wireless 2」の高音質を維持しつつ、ノイズキャンセリング機能を省いているというのが基本的な内容の違いです。
つまりは、全体的には「MOMENTUM True Wireless 2」で採用・確立されている内容を踏襲しています。
音質をもっとも左右するドライバーには「MOMENTUM True Wireless 2」と同等の7mmドライバーを搭載しているとしています。ドイツ・ハノーファーの本社で開発したというこだわりのドライバーであり、イヤホン用ドライバーとしてはどちらかというと小型ですが、音質上の理由から、あえてこのサイズにしたという自信作。
実際、このドライバーのおかげでしょう。「MOMENTUM True Wireless 2」の音質は、完全ワイヤレスイヤホンや、価格の制約を超えた非常に高い評価を受けています。とくに、ゼンハイザーが伝統的に得意としているアコースティック系音楽との相性の良さが光るようです。
ドライバーが「MOMENTUM True Wireless 2」と同等というだけでも「CX 400BT True Wireless」はかなり期待できそうです。
ノイズキャンセリング機能は「CX 400BT True Wireless」では省かれています。加えて、外音取り込み機能も省かれています。ノイズキャンセリング機能は無くても、外音取り込み機能は搭載している完全ワイヤレスイヤホンは他社ではまま見られるだけに、本機にも外音取り込み機能を期待していた向きには残念でしょう。
さらに、イヤホンの着け外しによって曲の再生停止が行える近接センサーも省略されています。
ドライバーと並んで完全ワイヤレスイヤホンの性能や音質を左右するBluetoothチップ(SoC)は、どちらもQualcomm社製SoCを採用していると発表しています。ただし、型番はどちらも非公表です。
これについては、それぞれ違うチップと思われます。というのも、「MOMENTUM True Wireless 2」ではノイズキャンセリング機能を内蔵したチップを使っている一方、「CX 400BT True Wireless」ではノイズキャンセリング機能非搭載のチップとなるからです。
Bluetoothチップが異なると、内蔵されているDACやヘッドホンアンプの音質も異なることが普通なので、両機の音質がこのチップの影響で若干違う可能性はあります。
ただ、クアルコムのチップで、ノイズキャンセリングの有無以外、音質を違わないように設計している場合もあるらしいですし、ゼンハイザー自身が、チップの違いによる音の違いを感じさせないように「CX 400BT True Wireless」をチューニングしている可能性もあります。
予想に過ぎませんが、ドライバーの同一性もアピールしているくらいですから、再生音質についても聴感上はできるだけ同じように聴こえるようにチューニングしているのではないでしょうか。
対応コーデックはSBC、AAC、aptXでどちらも同じ。Bluetoothのバージョンは同じく5.1。また、受信性能の高いLDS(レーザーによる直接構造化を行う)アンテナを採用し、接続安定性も向上させているのが「MOMENTUM True Wireless 2」でアピールしていましたが、「CX 400BT True Wireless」でも同じです。
Bluetooth 5.1ではペアリングした機器の方向を検出できるため、LDS形成のアンテナと併せて、対応機器とペアリングした際の途切れにくさ、接続安定性の高さを高められます。
通話用のマイクについても同様にビームフォーミング対応の2マイクを搭載。ノイズを抑えた快適な通話がどちらのモデルでも楽しめます。
両機ともハウジングにタッチパネルを搭載し、音量の上下、曲の再生停止などの各種操作が可能。1回タッチするだけで、GoogleアシスタントやSiriといった音声アシスタントも起動できます。
専用アプリ「Smart Control」も用意され、好みのサウンドバランスにイコライジングできるのに加え、イヤホン本体のタッチパネルをカスタムしたり、ファームウェアのアップデートなどにも対応できるようになっています。
内容的にはノイズキャンセリングの有無がおもな違いに留まり、全体的に似ていると言えますが、外見は結構違います。
「MOMENTUM True Wireless 2」ではスタイリッシュな円筒形のデザインでしたが、「CX 400BT True Wireless」ではスクエアなデザインに変更。おしゃれというよりは、実用的なイヤホンといった印象のデザインに変更になった感じです。
また、「MOMENTUM True Wireless 2」の充電ケースは、ファブリック素材を使用していて、こちらもおしゃれでスタイリッシュな印象。一方、「CX 400BT True Wireless」は割と普通な印象のプラスチック製。こちらも実用的な印象が強まっています。また、充電ケースは「CX 400BT True Wireless」ではかなりコンパクトになっており、充電ケースも一緒に持ち運ぶ、という人にとっては可搬性が高まっています。
一方、内側のノズル部分の造形は「MOMENTUM True Wireless 2」と全く同じ形状のため、装着性については同等と思われます。イヤホン左右での重量はどちらも12g。重さも同じなので、全体の装着感もほぼ同様と思われます。
イヤホン単体でのバッテリー持続時間はどちらも7時間と同じ。10分の急速充電で1時間の動作も可能です。一方、付属の充電ケースを併用した場合は「MOMENTUM True Wireless 2」では28時間に対して、「CX 400BT True Wireless」は20時間。これは、充電ケースのサイズが「CX 400BT True Wireless」のほうが小さいことによるものでしょう。
「MOMENTUM True Wireless 2」ではIPX4準拠の防水性能を備えていましたが、「CX 400BT True Wireless」では防水には対応していません。ここは残念。
ノイズキャンセリング機能・外音取り込み機能・近接センサーが省略され、デザインも変更、充電ケースが小型化・バッテリー容量減、というのが「MOMENTUM True Wireless 2」と、「CX 400BT True Wireless」の違いです。
そのぶん、価格は安くなっているので、この価格差でこの内容ならお得で欲しい、という人には最適の製品が出たと言えるでしょう。
いずれも現在の完全ワイヤレスイヤホンとしては結構高めであり、それでもゼンハイザーの持つ高音質にこだわりたい、という人に全体的に向いているように思います。
ゼンハイザーでは「CX 400BT True Wireless」を中級機と位置付けており、さらにリーズナブルなモデルが出てくるのかも注目ポイントです(完全ワイヤレスイヤホン+SENNHEISER)。