SIE 平面磁界型ヘッドホンの米Audezeを買収 理由は?影響は?

SIE 平面磁界型ヘッドホンの米Audezeを買収

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は米国時間の2023年8月24日、平面磁界型ヘッドホンなどを手掛けるアメリカのオーディオ機器メーカー・Audezeを買収すると発表しました。買収金額は非公表。

この買収により、「SIEは、プレイステーションゲームのオーディオ体験において革新を続けるための取り組みを強化する」としています。

驚きとなぜ?

驚きです。ソニーには一般的なダイナミック型ヘッドホンのノウハウはいくらでもあると思われますが、たしかに、製品のない平面駆動ヘッドホンのノウハウはソニーにはないでしょう。

だからといって、平面駆動ヘッドホンに豊富なノウハウがあるとはいえ、Audezeを買収するとは、ゲーム業界関係者だけでなく、オーディオ業界関係者も予想はできなかったのではないでしょうか?

実際、SIEは先日海外で発表されたPlayStationブランドの完全ワイヤレスヘッドセット「PULSE Exploreワイヤレスイヤホン」(2万9,980円/年内発売)と、オーバーヘッドタイプ「PLUSE Eliteワイヤレスヘッドセット」(1万8,980円/発売日未定)には、平面磁界型の「プレーナーマグネティックドライバー」が搭載されており、Audeze買収発表の前だけに、なぜ急にソニーが平面磁界型?と多くの人が思いましたが、なるほど、Audezeの技術が関係しているのなら納得です。

それでも、なぜ、ソニー・SIEは平面駆動にこだわるのでしょう?ゲーミング用の音質を追求すると、一般的なダイナミック型よりも有利な点があると思ったからなのでしょうか?それでも、ゲーミングヘッドホン、ヘッドセット、イヤホンの類の多くがダイナミック型だけに、それも不思議です。

SIEがソニー本体のオーディオ技術とは独立して高音質かつ独自性の高いゲーミングヘッドセット類を展開したいから、という音質的・技術的以外の理由を推測する向きすらあります。

Audeze愛好家にとっては不安も?

ポータブルオーディオ愛好家の世界では知られているメーカーであるAudezeですが、これで広く世間に知られることになるのでしょうか。

Audezeにはすでにゲーミング用のヘッドセット「MOBIUS」もラインナップされていますが、このメーカーにしてはそれほど高額ではありません(約6万円)。

Audezeは本来、ヘッドホンとしてはハイエンドクラスまでの高級機をラインナップする、結構なマニア向けメーカーでもあります。安くても10万円、上位になると50万円、60万円以上ものモデルをラインアップしています。

この買収により、Audeze製品が安価に大量に、高度に品質管理もされて販売されるようになるのであれば喜ばしいことです。

一方で、これまでの高級機のラインナップの維持、さらには上級クラス機の新規開発がこれまで通り続けられるのかを危惧する向きもあります。というのも、ヘッドホンメーカーの買収の先例としてはAKGがサムスン傘下になったことがありますが、これにより、既存製品の安価で安定的な供給は行われましたが、画期的あるいは高級機の新規開発はなくなり、買収前の技術遺産で食べていく印象が強くなっており、ネガティブな声も聴かれます。

SIEとAudezeの融合は何をもたらすのでしょうか?

この買収によって予想されるAudezeブランドの製品の未来についての考察(ポジティブ寄り)

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)がAudezeを買収することで、Audezeブランドの製品の未来にはいくつかの影響が予想されます。

技術とイノベーションの結合: ソニーはオーディオ技術の分野で長い歴史と強力な研究開発体制を持っています。Audezeの技術とイノベーションをソニーのリソースと結びつけることで、新しい製品の開発や技術革新が期待されます。これにより、Audezeの製品は音質や機能性、使い勝手の面で更なる進化が見込まれます。

市場展開の強化: ソニーはグローバルな市場展開力を持つ企業であり、マイナーメーカーであるAudezeの製品をより多くの地域で提供するチャンスが増えます。これによりAudezeの製品は、より多くのユーザーに届けられる可能性があります。

共同ブランドの可能性: SIEとAudezeの協力により、新しい共同ブランド製品が生まれる可能性があります。ソニーのプレイステーションゲームやエンターテインメントコンテンツと、Audezeの平面磁界型における高品質なオーディオテクノロジーが融合した製品が登場するかもしれません。

価格帯の幅広化: ソニーの資源を活用することで、Audeze製品の価格帯を幅広く展開することが可能になるかもしれません。従来の高級モデルから従来なかったようなエントリーレベルまで、幅広いユーザー層に向けた製品を提供することができるでしょう。

継続的な品質向上: ソニーの品質管理体制とAudezeの品質志向が融合することで、製品の品質向上が期待されます。ユーザーは、高い耐久性や長寿命、高い音質など、両社の技術が組み込まれた製品を期待するでしょう。

総じて、ソニーによるAudezeの買収は、オーディオ技術の融合と共同開発、市場拡大の機会を提供するとともに、製品の品質と幅広い価格帯での提供を向上させる可能性を秘めています。

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