地球世界は、SIMGOTブランドの有線カナル型イヤホン「EM6L」を2023年8月31日に発売しました。オープン価格で税込みの実売価格は19,500円前後。
ドライバーは片側ダイナミック型×1基、バランスドアーマチュア(BA)×4基の合計5ドライバー3ウェイのハイブリッド構成。中低域には、8mm特殊ポリマー振動板のデュアルチャンバーダイナミックドライバーを、中高域と高域にそれぞれ2基のBAドライバーを搭載。独立したチューニングクロスや音導管を配置し、フィルタリング回路と組み合わせ、3ウェイのクロスオーバーを実施。
ボディは高精度樹脂3DプリントとCNC精密彫刻加工を組み合わせ、強度と音響性能を両立。ブラック鏡面仕上げの樹脂筐体とメタルフェスプレートの組み合わせ。また、キャビティ内面に細かい凹凸をつけることで定在波を効果的に抑制しています。
各種のパラメータ設定には、高度な有限要素シミュレーション技術を利用し、音響性能と開発効率を向上。
樹脂3Dプリントによる3つの独立した音導管の設計や音響ダンパーの配置と科学的なチューニングを組み合わせることで、多重チューニングシステムを構築。周波数特性的にはH-2019ターゲットカーブに基づいてチューニングしています。
音質面では広いダイナミック性能とトランジェント特性、優れたフルレンジの低歪み、中低域の豊かな質感、高域のきめ細かさと滑らかさを実現したとしています。
周波数特性は8Hz~40kHz。感度は119dB/Vrms(@1kHz)。THDは1%未満(@1kHz)。インピーダンスは26Ω±15%(@1kHz)。
イヤホン側端子はqdc互換の0.78mm 2pin。高品質無酸素銅銀メッキケーブルを標準で付属プラグ側は3.5mm。
中華イヤホンでも2万円程度のモデルは珍しくもなく、高くもなく安くもないといった価格帯で、数千円程度で満足する層には高すぎ、数万円以上しないと満足できない?層には価格が安すぎる?ような微妙なゾーンかもしれません。
しかし、2万円以下というコスト面の制約はありながらも、本機はメーカーの説明を見るとかなりの力作のようです。
実際、国内の著名レビュアーはじめ、複数のレビューからは本機の高い音質面での実力がうかがえます。
いわゆるオーディオ愛好家が好むようなレンジ感や情報量を備えつつ、音楽愛好家に好まれるような自然な質感や音場感も備えているようです。ウォームで肉感的(実体感の高さ)な方向で、やや美音系のようです。高音が明瞭ながら歪み感が少なく刺さり感がないという評価も重要です。
美音となるとリスニング寄りの傾向が強そうですが、そうではなく、プロのミュージシャンや音楽制作のモニターに必要な全帯域でのクリアで高い質感、整然として正確な音像感と定位も備えているようで、モニターにもリスニングにも使える汎用性の高いイヤホンとなっているようです。
ハイブリッドや多ドライバー、BAドライバーといった構成のイヤホンで感じやすい人工臭がしないという評価も目を引きます。
生音や生声の滑らかさや柔らかさが得意な一方、メリハリ感は弱く、キレやノリが重要なロックや電子楽器中心の音楽とは相性がいまいちという感想もあります。ボーカルやアコースティック系音楽により適しているようです。「上品」という言葉が合う、中華イヤホンには稀有なモデルと言えるのかもしれません。