LDACコーデック(最大24bit/96kHz対応)の普及により完全ワイヤレスイヤホンでもハイレゾ音質でのリスニングが当たり前になってきています。Bluetoothのチップセットを開発し、大きなシェアを持っているクアルコム社にとっては、完全ワイヤレスイヤホン用のチップセットを多くのメーカーに使ってもらうために最大24bit/96kHz対応のコーデックが欲しいところでした。
2022年までに最大24bit/48kHz対応のaptX Adaptiveを開発・普及させましたが、クアルコムも最大24bit/96kHz対応のコーデックを含む・Snapdragon Soundを開発し、送受信できる機器の普及を図っています。
Snapdragon Soundは、クアルコムが開発した高音質のワイヤレスオーディオ技術です。Snapdragon Soundは、Bluetooth接続における高音質と安定性を実現するために、ハードウェア、ソフトウェア、およびクアルコムのオーディオテクノロジーを統合したソリューションです。
具体的には、Snapdragon Soundは、Bluetooth接続において、音声品質の劣化や遅延を最小限に抑えるための多くの機能を備えています。例えば、Snapdragon Soundは、高品質のBluetoothオーディオコーデックであるaptX Adaptiveを使用して、音声データを圧縮し、転送することができます。また、Snapdragon Soundは、高速接続や低遅延のBluetooth LEオーディオプロトコルをサポートしています。システム全体で89m(s 0.089秒)の超低遅延性もSnapdragon Soundのメリットです。
さらに、Snapdragon Soundは、ヘッドフォンやスピーカーに搭載されるオーディオプロセッサーにも焦点を当てています。Snapdragon Soundは、ハイレゾオーディオの再生に最適化されたクアルコムのオーディオテクノロジーを搭載し、よりリアルな音質を提供することができます。また、Snapdragon Soundは、ノイズキャンセリング技術もサポートしており、外部の騒音を低減することができます。
Snapdragon Soundは、スマートフォンやヘッドフォン、スピーカーなど、様々なオーディオ機器に採用されており、高音質なワイヤレスオーディオ体験を提供することができます。
Snapdragon Soundはすでに普及してきているaptX Adaptiveコーデックの1種として誕生しました。aptX Adaptiveは最大24bit/48kHzのハイレゾ相当伝送が可能なハイスペックですが、Snapdragon Soundではさらに高品位な最大24bit/96kHzのハイレゾ伝送が可能なのが大きな特徴です。
これはハイレゾコーデックとしては先行して普及しているLDACと同じ品位であり、これまでaptX Adaptiveコーデック対応機器をLDACよりも最大スペックが低いからという理由で敬遠していたユーザーをSnapdragon Sound対応機器に引き寄せるだけのインパクトを持っています。
Snapdragon Soundは、高品質なワイヤレスオーディオ技術である一方で、まだ送信対応機器が比較的少ないという課題があります。
Snapdragon Soundの採用には特定のハードウェア要件があります。例えば、スマートフォンやタブレットには、Snapdragon 8シリーズモバイルプラットフォームのような高性能プロセッサーが必要です。これにより、Snapdragon Soundを最大限に活用するための性能が確保されます。そのため、Snapdragon Soundで送信するには、Snapdragon 8シリーズを搭載したスマートフォンやタブレットを選択する必要があります。
さらに、Bluetooth接続において、電波干渉や障害物による信号の妨害などの問題が起こることがあります。これにより、音声品質が劣化することがあります。このため、伝送情報量の多いSnapdragon Soundを最大限に活用するためには、Bluetooth接続における適切な環境を整える必要もあります。
これらの課題にもかかわらず、Snapdragon Soundは、高品質なワイヤレスオーディオ技術として注目されており、今後ますます普及することが期待されています。スマホやタブレット用の対応チップもこれから増えることが期待できます。
国内初のSnapdragon Sound対応完全ワイヤレスイヤホン。2021年11月に19,800円で発売。8mm径のダイナミックドライバーと、バランスドアーマチュア(BA)ユニットを2機搭載したハイブリッド構成。
ローレット部に無垢のジュラルミンから削り出したパーツを採用した品位感も魅力。ユニークなスライド式ドアを採用した充電ケースにも高品位ジュラルミン素材を使用し、高級感を演出しているのもポイントです。
2022年5月に約2万円で発売。ANC(アクティブノイズキャンセリング)による優れたノイズキャンセリング機能に加え、音質チューニングによって優れた音質を実現しています。10mm径の「Dual-Layered Titanium Driver」を搭載しており、豊かな空間表現を生み出します。
また、Snapdragon Soundのほか、SBC、AAC、aptX、aptX adaptive、aptX adaptive(Low Latency)、様々なオーディオコーデックに対応しています。最新世代のQualcomm製SoC「QCC3056」を搭載し、マルチポイント・マルチペアリングにも対応しています。
ワークアウトにも最適であり、2種の脱落防止用イヤーフックが付属しています。専用アプリもあり、UIを一新し、各種設定やカスタマイズ機能などを大幅に強化しています。
高音質な高級有線イヤホンで有名なメーカーによる音質重視設計と、意外なくらいの機能性も備えたハイコスパモデルとしておすすめです。
2022年秋ごろから約5千円で発売。Bluetoothチップにはクアルコムの最新SoC「QCC3050」を採用。Snapdragon Soundが含む、高音質な音声通話用のaptX Voiceにも対応。通話用ヘッドセットとしても高品位。マルチポイント接続にも対応。
グラフェン振動板を採用した10mm径ダイナミックドライバーを採用。イヤホン本体はIPX5防水。イヤホンの操作はタッチ式。イコライザーや各種設定が可能なスマホアプリ「QCY APP」にも対応。イヤホン単体でのバッテリー持続時間は7時間。5分の充電で1時間の再生も可能。
アクティブノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能は搭載していませんが、2023年現在「Snapdragon Sound」対応完全ワイヤレスイヤホンでもっとも安いモデルであることが最大のおすすめポイントでしょう。
2022年8月に約8,000円で発売。aptX Adaptive対応デバイスとの組み合わせ時、自動的に遅延を最大89mm/sに抑えるローレイテンシーモードを備えているのが特徴。非対応デバイスとの組み合わせにおいては、手動でゲームモード/ローレイテンシーモードに切り替えることで遅延の低減が可能。低遅延性にこだわりたい方におすすめのモデルです。
13mm大口径の液晶ポリマー複合振動板を採用し、再生音質にも配慮しています。専用アプリ「Edifier Connect」からバッテリー残量の確認やサウンドモードの選択、ダブルクリック/トリプルクリックに割り当てる機能のカスタマイズができます。自由なイコライザー調整はできませんが、4種類のプリセットから音質エフェクトを選べます。
連続再生時間はイヤホンのみで6時間、充電ケース併用で最大24時間。15分の充電で2時間の再生が可能な急速充電に対応。充電端子はUSB-C。本体はIP54の防塵防水性能を備えています。
2022年8月に約33,000円で発売。ハイブリッド方式のデジタルノイズキャンセリング技術を採用。イヤホンを使用する人に最適なノイズキャンセリングフィルターが適用される「パーソナライズ・ノイズキャンセリングシステム」も採用。
ソニーの立体音響技術「360 Reality Audio」認定も取得、音声アシスタントのAmazon Alexaも利用可能。音質調整や操作カスタマイズなども可能な専用アプリ「Connect」も用意。アプリでボリュームを64ステップまで拡張可能なのも特筆点。充電ケースには深紫外線除菌システムを搭載しているのも大きな特徴。
機能てんこ盛りの意欲作。再生音質もオーテクらしく高品位のようですが、動作安定性や外音取り込みなどで他よりも弱いという指摘もあります。オーテク好きで予算があるならおすすめかと思います。
2022年7月に約23,000円で発売。複合振動板を採用した10mmのダイナミックドライバーと、Knowles製バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを組み合わせたハイブリッド構成を採用。
最小89msの低遅延を実現するゲームモードも搭載。最大-42dBのノイズ低減性能を実現という高性能が特徴。2種類のノイズ低減レベル設定も可能で、アンビエント(外音取り込み)モードも搭載。多機能なアプリにも対応。
LDAC対応の「NeoBuds Pro」をSnapdragon Sound対応に変えたようなモデルですが、「NeoBuds Pro」より実売価格が数千円ほど高く、コスパが微妙という評価もあります。Snapdragon Sound対応でハイブリッド構成の高音質で楽しみたい方にはおすすめできそうです。
2022年12月16日に発売。オープン価格で税込みの実売価格は3万円程度。
Qualcomm QCC5141のBluetoothチップ、AKM製のDAC・AK4332を独立構成で搭載することで、Snapdragon Sound対応とLHDCコーデックに対応。
0.0014%の低歪み率、最大108dBの高SNR、104dBのダイナミックレンジという、完全ワイヤレスイヤホンとは思えないハイスペックも実現しています。イヤホン部は2BA+1DDのハイブリッドドライバー構成。
音質重視設計ということもあり、アクティブノイズキャンセリング機能は搭載していません。外音取り込み機能もありません。通話機能や通話時のノイズリダクション機能は搭載しています。アプリ「FiiO Control App」に対応しEQにも対応。
音質は情報量・レンジ感ともに申し分ないようですが、機能性の少なさやFiiOに共通するクールな音質傾向をどうとらえるかが選択のポイントになりそうです。
aptX Losslessコーデックをサポートし、適応型アクティブノイズキャンセリング(アダプティブANC)にも対応したインナーイヤー型モデル。2023年7月7日に発売。価格は8,980円。
「Snapdragon Sound」対応で、aptX Adaptive使用時は最大96kHz/24bitの伝送が可能。BluetoothコーデックはaptXとAAC、SBCもサポート。マルチポイント接続にも対応。13mm径の振動板を採用したダイナミックドライバーを搭載。
最大再生時間はイヤホン単体で約6.5時間、充電ケース併用で約26時間。充電時間はイヤホンが約1.5時間、ケースが約2時間。iOS/Android用のアプリ「SOUNDPEATS」から、10バンドEQを利用可能。
aptX Losslessコーデック対応完全ワイヤレスイヤホンでは2023年7月時点でもっとも安いモデル。安いだけでなく、完全ワイヤレスイヤホンでは珍しい、インナーイヤー型ながらANC機能も搭載。機能やスペックも立派で、コスパの高いモデルといえるでしょう。