ソニーは4月2日に国内最小となる48型の有機ELテレビ「KJ-48A9S」を発表。7月25日に発売。オープン価格で23万円前後での実売が予想されます。
2019年モデル「A9G」のスペックを継承しつつ、同社有機ELテレビのラインナップで最も小型かつ、国内で販売されている有機ELテレビとしても最も小型となる48型サイズを採用しているのが最大の特徴です。
これまでの有機ELテレビでもっとも小さいサイズは55型でした。サイズが大きすぎることで導入をあきらめていた人には朗報でしょう。
具体的には横幅105cmというサイズで省スペース設置が可能。10年前は40型液晶テレビでも100cm前後の横幅があり、多く家庭で気軽に導入可能なサイズになっています。
ソニーのシリーズ名的には「A9S」となりますが、ソニーの有機ELテレビの2019年モデルで、上位クラスとなる「A9G」シリーズの内容をほぼ継承していて、高画質と機能性を備えたハイクラスのテレビであることも魅力です。
クリエイターの制作意図を忠実に再現しスタジオレベルの画質をユーザーに届けられる “BRAVIA MASTER Series”(ブラビアマスターシリーズ)にも属しているとしています。同時発売のA8Hシリーズはこの名前を冠していないだけに、画質面ではスタンダードモデルよりも上であることは明らか。
一方、「A9G」よりは新しいことによるアドバンテージも加え、より高画質を実現している可能性もあり、サイズだけが魅力ではない、そうとうな実力モデルであることもうかがわせます。
まずは、「A9S」と「A9G」を比較してのおもな違いを挙げていきます。
もっとも重要な画質に関わる違いとしては、「A9S」には「A9G」には搭載されていない、「X-Motion Clarity」を新搭載していること。
LEDバックライトの発光をエリアごとに高精度に制御して最適化することで、画面の明るさを保ったまま残像感をより効果的に低減させ、クッキリとした映像を実現するという回路。これにより、「A9G」をも上回る動画応答性能を実現。スポーツなどの動きの大きく速い素材に対する再現性を向上させています。
ソニーの有機ELテレビの上位モデルといえば、画面自体を振動させて音を出すことで映像と音の一体感向上を図る「アコースティック サーフェス オーディオ」方式スピーカーがポイント。
「A9G」では2.2ch/60Wの「アコースティック サーフェス オーディオ プラス」ですが、「A8Sは」“プラス”が付かない2.1ch/25Wの「アコースティック サーフェス オーディオ」となっています。このあたりは画面の大きさに応じた最適化と言えそうです。
また、「A9S」には「A9G」には搭載されていない音場補正機能が追加されています。
なお、A9Gが備えるセンタースピーカー入力端子は非搭載。
また、「A9G」がハンズフリー音声検索を行えるのに対して、A9Sは同機能を省いています。
「A9S」のそのほかの基本的な内容や機能は「A9G」と共通です。
映像プロセッサーは現在のソニー製では最上位の「X1 Ultimate」を搭載。独自の有機ELパネル制御技術「ピクセル コントラスト ブースター」も搭載。高コントラストを実現するとともに、「X1 Ultimate」プロセッサーでの高精細かつノイズを抑制した映像を実現するとしています。また、「4K X-Reality PRO」やトリルミナスディスプレイ技術も備えています。
音声面では、前述のように、画面自体を振動させて音を出すことで映像と音の一体感向上を図る「アコースティック サーフェス オーディオ」を採用。ドルビーアトモスにも対応。テレビ音声をワイヤレスヘッドフォンなどに伝送できるBluetooth送信機能も備えます。
また、映画館での「IMAX」のような映像や音声を家庭のホームシアター機器で楽しめる「IMAX Enhanced」にも対応。日本ではTSUTAYA TVで配信されているIMAX Enhanced対応コンテンツを視聴することができます。
ネット動画サービスではNetflixやAmazon Prime Video、YouTube、AbemaTVなど各種に豊富に対応。Netflix用に画質を最適化する映像モード「Netflix画質モード(Netflix Calibrated Mode)」も搭載。
OSは引き続きAndroidで、Chromecast built-in、Works with Googleアシスタント、Works with Alexaに対応。映像や写真などのデータをBRAVIAでストリーミング再生したり、端末画面をBRAVIA上にミラーリングする「Works with Apple AirPlay 2」、iPhoneのSiriを使ってBRAVIAを音声操作する
「Works with Apple Homekit」をアップデートでサポート予定。
新4K衛星放送チューナーおよび地デジ/BS/110度CSチューナーをそれぞれ2基搭載し、4KはHDR(HDR10/HLG/ドルビービジョン)にも対応。
リモコンは、向きを気にせず操作できる無線式(Bluetooth)。 電源ON/OFFなど一部操作のみ、赤外線を利用。
インターフェイスは、 HDMI×4(eARC対応あり)、 コンポジットビデオ入力×1、 光デジタル音声出力×1、 ヘッドフォン出力×1(アナログ音声出力兼用)のほか、 3系統のUSB端子、 LAN端子を装備。
無線LANはIEEE802.11ac/a/b/g/n。
消費電力は279Wで、 年間消費電力量は179kWh/年。
スタンドを含む外形寸法は、 106.9×25.5×62.9cm(幅×奥行き×高さ)。
重量は17.6kg。
このように、「KJ-48A9S」は、小型の有機ELテレビというだけでなく、従来の上位モデルである「A9G」をも一部上回る、最新の高画質モデルでもあります。
今後はこの「A9S」に投入された高画質技術も採用した新たな上位モデルも期待されます。また、「A9S」でも採用されていない、HDMIの新規格・HDMI2.1の新機能(VRRなど)をもっと採用した新モデルもいずれは出るでしょう。
逆に「KJ-48A9S」よりも手頃な価格の48型有機ELテレビも登場するのかも気になるところです(有機ELテレビ+SONY)。