ソニーは4K液晶テレビと4K有機ELテレビの2021年ラインナップを4月に一挙に発表。そのうち、4K液晶テレビのもっともベーシックなシリーズである「X80J」も発表されました。
「X80J」シリーズのラインナップと発売当初の実売価格は以下の通りです。
■X80Jシリーズ
・KJ-65X80J(65型)154,000円前後 4月24日発売
・KJ-55X80J(55型)121,000円前後 4月24日発売
・KJ-50X80J(50型)105,000円前後 5月22日発売
・KJ-43X80J(43型)92,000円前後 5月22日発売
「X80J」シリーズは2020年モデルの「X8000H」シリーズの後継機的位置づけです。
「X80J」シリーズと「X8000H」シリーズを比較しての違いをご紹介し、どこが進化し、どこが変わっていないのかを解説します。
新4K衛星放送チューナーおよび地デジ/BS/110度CSチューナーを3基ずつ搭載。各2基ずつの「X8000H」より増えています。外付けUSB-HDDへの4K放送2番組同時録画も行えます。
「X8000H」は視聴しながらの場合、1つの裏番組同時録画だけでしたが、「80J」では2K/4K放送を問わず2番組同時録画と1番組の視聴が可能になりました。
色彩豊かな映像を再現する回路である「トリルミナス」が「X80J」シリーズでは「トリルミナス プロ」に新化。より精細な色表現を可能にしています。
ソニーの近年のテレビというとAndroid OSによる多機能性とアプリ追加による拡張性も魅力ですが、今回はGoogleの最新スマートテレビOS「Google TV」を新搭載(Chromecast with Google TV相当の機能を内蔵)。基本的にAndroid OSであることに変わりはありませんが、YouTubeやNetflixなど各サービス別のアプリが並んでいた従来のUIから、各サービスを横断してコンテンツをレコメンドしてくれる新UIになるなど、より使い勝手が向上しています。
「X80J」シリーズでは「X8000H」シリーズには搭載していなかった、Bluetooth音声送信機能を追加。Bluetoothスピーカーやヘッドホン、イヤホンなどA2DPに対応しているオーディオ機器からテレビの音声をワイヤレスで再生できます。
サイズ展開については「X8000H」シリーズも「X80J」シリーズ同様、43~65型までの4サイズを揃えています。加えて、「X8000H」シリーズのみ75型もラインナップ。ソニーのベーシッククラスの4K液晶テレビで75型が欲しいのであれば「X8000H」シリーズということになります。
画像エンジンは「HDR X1」プロセッサーを引き続き搭載。ソニーではスタンダードな映像エンジンではありますが、画質面での評価は高く、完成度も高いプロセッサーです。様々な素材をデータベース型超解像処理で4K化する専用エンジン「4K X-Reality PRO」も搭載。パネルはVA型で、エッジ型LEDバックライトに部分駆動は非対応。
HDRはHDR10/HLG/ドルビービジョンに対応。HDRリマスター機能にも対応。
サウンド面では音の歪みを軽減するという非対称形状を採用した「X-Balanced Speaker」を「X8000H」に引き続き搭載。人の声の聴きとりやすさをアピールしています。ドルビーアトモスにも対応。ユニットはフルレンジ×2基。出力は全モデル20W(10W×2ch)。
HDMI入力は4系統搭載。光デジタル音声出力や、イヤホン出力、ビデオ入力も備えています。
両シリーズで上位クラスとの決定的な違いは、画質面はありますが、加えて、HDMI2.1規格への対応があります。今回発売されたソニーのテレビは「X80J」シリーズ以外はHDMI 2.1に規定される各項目のうち、4K/120p、VRR(可変リフレッシュレート)、ALLM(自動低遅延モード)、eARCに対応しています。つまり、「X80J」シリーズではこれらは非対応。この点では「X8000H」も同じです。
ただ、これらのHDMI 2.1機能はPS5のような最新・ハイスペックのゲーム機で必要になるくらいで、普通にテレビを視聴・録画するだけでなく、ネット動画視聴、UHD BD視聴まで楽しむとしても必要性はあまりないと言えるものばかりです(eARCはあったほうがいいかもしれない機能です)。
「X80J」シリーズは内容的にも価格的にも「X8000H」シリーズの後継機といった印象ですが、当面は販売が継続されるとのことです。それでも「X8000H」シリーズのほうが「X80J」シリーズよりもいくらかは安い価格になるとは思います。
両シリーズはソニーの4K液晶テレビとしてはまさにベーシッククラス。画質面では上位に譲ります。しかし、機能性の面ではほとんど上位とそん色はありません。
日常的にテレビを見る・録画する、動画を鑑賞する、アプリを利用するといった現代の一般的なテレビの用途ならば十分すぎるほどの内容を備えています。これで上位機よりも相当安いのですから、お買い得なシリーズだと思います(4Kテレビ+SONY)。