ソニーの4K有機ELテレビ・BRAVIAの2021年モデルが4月12日に国内発表されました。これまでのBRAVIAシリーズからBRAVIA XRにシリーズの基本名が変更されるなど、新たなステージに入ったことを意識させる新製品です。
BRAVIA XRの有機ELテレビは最上位となる「A90J」シリーズと下位の「A80J」シリーズの2シリーズから成ります。
両シリーズを比較しての違いを交えつつ、両シリーズの内容・特徴をご紹介します。
【A90Jシリーズ】
A90J 83型「XRJ-83A90J」110万円前後 7月10日発売
A90J 65型「XRJ-65A90J」55万円前後 5月1日発売
A90J 55型「XRJ-55A90J」38万5,000円前後 5月1日発売
【A80Jシリーズ】
A80J 77型「XRJ-77A80J」66万円前後 6月26日発売
A80J 65型「XRJ-65A80J」47万3,000円前後 6月12日発売
A80J 55型「XRJ-55A80J」30万8,000円前後 6月12日発売
今回、ソニーは有機ELテレビ、および4K液晶テレビの上位シリーズ(「X95J」「X90J」)において、映像エンジンを一新。新プロセッサー「XR」を搭載しています。人の認知特性に基づく分析も行う「XR Picture」、映像とともに音も同時に処理できる「XR Sound」から構成。
この「XR」プロセッサーを搭載しているテレビをBRAVIA XRとして従来から差別化し、従来以上の高品位をアピールしています。
新プロセッサー「XR」は人間の認知特性を取り入れた処理を行うようになったことを特徴としています。
「現実世界で人がものを見たときに脳で行われる認識や、音を聞いたときに立体的な音響を感じ取るプロセスを目指した処理を行う」としていて、要は、従来の処理が機械的なものであったものを、より人間が自然に感じ取れる処理に高度化したということのようです。
従来は色やコントラストといったような映像信号を個別に処理していたものを「XR」ではまるで人の脳のように映像信号を横断的に分析するという原理だそうです。
「XR」プロセッサーの効果は画質だけでなく、高音質化にも寄与しているというのも従来までのプロセッサーとは異なります。
倍速120Hz駆動のパネルを採用。入力遅延が8.5ms。HDRのHDR10/HLG/Dolby Visionの表示に対応。
「XR」プロセッサーは、サウンドも処理。高級オーディオにも採用されるDSPも新搭載。それぞれのスピーカーに最適な帯域を割り振ることで、定位感の向上を実現したとしています。あらゆる音源を臨場感あるサウンドにする「XR Sound(エックスアール サウンド)」として高音質化をアピールしています。
Dolby Atmosに対応するため、対応コンテンツでは3次元的なサウンドが楽しめることに加え、2chステレオ信号も独自のアップミキサーで、5.1.2chへアップスケーリング可能な「3D サラウンド アップスケーリング」機能も新搭載。
スピーカーとして、アクチュエーターとサブウーファーを搭載。有機ELパネル自体を振動させて音を出すため画面から音が聞こえる「Acoustic Surface Audio+アコースティック サーフェス オーディオプラス)」機能を採用しています。音質を環境に応じて自動調整する「音場調整」機能も搭載しています。リモコンに搭載されているマイクを使用する本格的なものです。
最大出力はA90Jが20W+20W+10W+10W、A80Jの77型は20W+20W+10W、65型と55型は10W+10W+10W。
ソニーの近年のテレビというとAndroid OSによる多機能性も魅力ですが、今回はGoogleの最新スマートテレビOS「Google TV」を新搭載(Chromecast with Google TV相当の機能を内蔵)。基本的にAndroid OSであることに変わりはありませんが、YouTubeやNetflixなど各サービスのアプリが並んでいた従来のUIから、各サービスを横断してコンテンツをレコメンドしてくれる新UIになるなど、より使い勝手の向上を図っています。サービス会社別ではなく、「番組」「映画」といったコンテンツ別で表示されるので、好みの動画にすばやくアクセスできるメリットがあります。また、Googleアシスタントを搭載し、音声での操作が可能です。
Chromecast built-in、Apple AirPlay 2、Apple HomeKit、Amazon Alexaに対応。
購入特典として、BRAVIA XRシリーズ専用コンテンツサービス「BRAVIA CORE(ブラビアコア)」も提供。ソニー・ピクチャーズの最新作や過去の名作などを配信で視聴できます。最大4K HDRの高画質で2年間見放題で見放題対象外の最新映画など10作品が見られるチケットが貰えます。
新4K衛星放送チューナーおよび地デジ/BS/110度CSチューナーを3基ずつ搭載。外付けUSB-HDDへの4K放送2番組同時録画も行えます。2K/4K放送を問わず2番組同時録画と1番組の視聴が可能です。
HDMI端子はHDMI 2.1に規定される各項目のうち4K/120p、VRR(可変リフレッシュレート)、ALLM(自動低遅延モード)、eARCに対応。なおVRRは発売後のソフトウェアアップデートでの対応を予定しています。PS5などの最新ゲーム機への対応はこれで万全です。
なお、4K/120Hz入力対応になっているのはHDMI入力3と4だけです。
外形寸法と重量は、A90Jの83型が188×42.8×107.2cm(スタンド外側時)で43.5kg。65型が、150.2×31.7×83.4cm(標準スタイル)で24.6kg。55型が128.2×31.7×70.9cm(標準スタイル)で20.3kg。A80Jの77型が172.2×36.7×102.2cm(スタンド外側時)で30.1kg、65型が144.8×33×85.9cm(スタンド外側時)で23.5kg、55型が122.7×33×73.5cm(スタンド外側時)で19kg(4K有機ELテレビ+SONY)。
「A90J」シリーズと「A80J」シリーズを比較しての違いは以下で解説しているように、おもに画質面と音質面です。機能面での違いはありません。
両シリーズとも従来機にはなかったHDMI2.1規格への広範囲な対応も備えているので、両機とも最新映像機器やゲーム機との組み合わせにも不足はありません。
「A90J」シリーズはソニーだけでなく、国内最高峰の4K有機ELテレビを目指したハイエンドモデルという立ち位置であり、そこまでのクオリティーを欲するか否かが選択を分けるおもなポイントでしょう。もちろん、予算もありますが。あとは画面サイズ展開が大画面側で違う点もポイントです。
「A90J」のみ「XR OLEDコントラスト プロ」機能を搭載。これは、有機ELパネルの能力を最大限に引き出し、発光性能を高めることで高輝度化を実現するための技術。放熱用のアルミシートをパネルに追加し、温度センサーによって映像内の温度分布も検知。この温度分布情報と、映像情報を「XR」プロセッサーが横断的に分析・処理することで、有機ELの画素のWRGB全色同時点灯を実現。明るい映像の中でも色味やコントラストを出せるようになったものです。
なお、「AJ80」は「XR OLED コントラスト」を搭載。「XR OLEDコントラスト プロ」から放熱用アルミシートと温度センサーを省いたものとなっています。
搭載スピーカーは、「A90J」がアクチュエーター2基およびサブウーファー2基の2.2ch(なお、83型のみサブウーファー4基搭載)、「A80J」はアクチュエーターが2基と、サブウーファー2基を1組で稼働させる2.1ch構成。ただし、「A90J」では画面を振動させるアクチュエーターを大型化、「A80J」ではサブウーファーを前向き配置にするなどそれぞれに工夫があります。
なお、テレビのスピーカーを外部アンプと接続してセンタースピーカーとして使える「センタースピーカーモード」を「A90J」のみ搭載しています。従来モデル「A9G」のみに搭載されているマニアックな機能ですが気になる方はチェックしておいてください。2021年モデルでは「A90J」のみ搭載という希少な機能です。
サイズ展開は「A90J」が85型、75型、65型、55型で、「A80J」が75型、65型、55型、50型。85型は「A90J」のみとなっています。とにかく大画面を!という方は「A90J」ということになるでしょう。逆に最小サイズの50型なら「A80J」となります。
スタンドは3通りの設置方法を変更できる3wayスタンドを採用。画面の両端、中央寄り、サウンドバー設置用に画面の高さを上げるという3通りを選ぶことができる。なお、A90Jは83型のみ3wayスタンド、65型と55型は中央寄りポジションを省いた2wayスタンドと違いがあります。
いずれの場合も、サウンドバー設置用に高さを出して設置することが可能です。