ソニー“グラスサウンドスピーカー”の第3弾モデル「LSPX-S3」が8月6日に発売されます。オープン価格で、税込みの実売価格は39,000円前後の見込み。
有機ガラス管を振動させて360度方向に音を出す“グラスサウンドスピーカー”の新モデルで、2019年3月に発売された「LSPX-S2」の後継機(現在の実売価格約3.9万円)。
「LSPX-S2」をさらに高音質化させる設計を施す一方、ハイレゾとWi-Fi、有線接続が非対応となるなど、機能面を一部省略しています。
両機を比較しての違いを交えつつ、「LSPX-S3」の内容をご紹介します。
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ソニーの“グラスサウンドスピーカー”は有機ガラス管自体を震わせ、LEDライトが光りながら音を出すモノラル型のBluetooth対応アクティブスピーカー。インテリア性の高いランタンがスピーカーも兼ねるというスタイリッシュなコンセプトの製品。
似たような製品は市場にありますが、“グラスサウンドスピーカー”の場合は、ソニーが誇るオーディオ技術と独自の新開発技術を投入することによる高音質がポイントです。
まず、高域は有機ガラス管型ツイーターが、中域はダイナミック型ウーハーが、低域はパッシブラジエーターが再生するマルチウェイ形態を取ることでワイドレンジ再生を実現。
ガラス管の端面を叩くことで、振動版(ガラス管)全体に振動を伝え、音を出す仕組み全体を表す「アドバンスドバーティカルドライブテクノロジー」が特徴であり、本体を中心として360度均一に音が広がるように設計されています。「アドバンスドバーティカルドライブテクノロジー」が同様製品との差別化のポイントとなる技術と言えます。
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このスピーカー構成は両機同様ですが、「LSPX-S3」では有機ガラス管は「LSPX-S2」よりも20mm長くなったことで、自然でクリアな音を実現。ウーファーも従来機の約35mm径から1周り大きい約45mm径を採用し、中音域の音質を向上させたほか、ボーカルの厚みと明瞭度がアップしたとしており、要はスピーカー再生音質の全体的な底上げが図られています。
また、「アドバンスドバーティカルドライブテクノロジー」で音を出すための加振器を支える土台部分は、強度、材質、形状を見直し。今回は亜鉛合金を採用。クセや歪みの少ない音質を実現したとしています。
いずれも本体内に光を放つフィラメント型LEDを装備し、32段階の調光に対応。対応コーデックがSBC、AAC、LDACをサポート。NFCの利用も可能。専用アプリの使用で、サウンド設定や楽曲再生操作、LEDの明るさ調整などが可能。圧縮音源の高音域を補完して高音質に再現する「DSEE」を搭載。
なお、「LSPX-S2」では対応していたaptXコーデックと有線接続は外されました。また、「LSPX-S2」では「DSEE」の上位グレードとなる「DSEE HX」を搭載していました。
「LSPX-S2」ではWi-Fi接続が可能。また、DLNAスピーカーとして動作可能。DSDやFLAC、ALACなどのハイレゾ楽曲も再生できます。SpotifyのみWi-Fiでストリーミングが可能とハイレゾ対応のハイスペックを備えていましたが、「LSPX-S3」ではこれらの機能はなくなっています。有線接続ができなくなったことも含め、残念に思う向きもありそうな省略です。
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新たにマイクを搭載し、ハンズフリー通話に対応。マイクはソニーロゴの下の方に、本体側面には新たに通話ボタンを備える。不快なハウリングやエコーを抑え、音切れのない通話が可能としています。
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LEDライトとしては、32段階の明るさ調整はそのままに、一番暗い設定の輝度を従来機よりも1段階暗くしたことで、就寝前のベッドサイドで使いやすくなりました。キャンドルライトモードでは、従来の強と弱の間に“中”を追加し、バリエーションを増加。再生した音楽に対応して揺らぐ音楽連動機能も搭載。
また、従来機ではライトを点灯した際に、真下に影が大きく落ちてしまっていたが、新モデルでは筐体の形を改善し、影が落ちなくなったとしています。
「LSPX-S3」では2台接続することでステレオ再生が可能。ステレオ再生時のコーデックはSBC。最大100台まで同時接続できるパーティーコネクト機能も搭載。
「LSPX-S2」でも2台接続することでステレオ再生が可能でした。その際の接続はBluetoothだけでなく、Wi-Fiでも可能でした。また、最大10台までWi-Fiで同時接続できるパーティーコネクト機能も搭載していました。
最大連続再生時間は8時間。充電端子はUSB-C。このスペックは両機同じ。
「LSPX-S3」の外形寸法は約94×289mm(外径×高さ)。重量は約1.1kg。LSPX-S2は90×277mm(同)で重さは同じ。サイズはあまり変わらずに高音質化を果たしていると言えるでしょう。
単体のアクティブスピーカーとしては音質は明らかに良くなっているようです。各種ニュースサイトのレビューでも確かに高音質が良くなっている印象を受けます。
一方、接続性・機能性は後退しており、Wi-Fi、有線入力、ハイレゾ再生非対応は残念。Bluetoothスピーカーとしても「DSEE」がグレードダウンしているのも残念。
本機の音質を最大限に生かすには、LDAC接続でもともとハイレゾの音源を入力したときでしょう。そうなると両機の差はおもにスピーカー部の音質になるからです。
とはいえ、オーディオ好きとしてはWi-Fiやハイレゾが非対応になったのはやはり残念。ただ、ソニーのマーケティングではこのシリーズの実際のユーザーはWi-Fiやハイレゾをあまり利用していなかったのかもしれません。そもそも、Wi-Fiやハイレゾを使ってまで高音質をアクティブスピーカーで追求するようなユーザーはグラスサウンドスピーカーは使わない(かサブ機くらい)だったのでしょうか。
いずれにしてもグラスサウンドスピーカーそのものは好評なわけで、オーディオ機器としてはキワモノになりかねない領域の製品が、しっかりと市場に根付いたことは素晴らしいことです。
ソニーには今後もグラスサウンドスピーカーシリーズを続けて欲しいですね。
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自分は前モデル持っていますが、新型は個人的には必要ないですけどやはりカジュアル向けの構成で安価に抑えてきたのは良いと思いますね。唯、やっぱり高音質路線も需要はありそうなので、そっちを出すのならbluetoothを切ってWi-Fi専用でもう少し大型化させるとかが良いと思いますね。
コメントありがとうございます。
ユーザー様の生の声ということで大変参考になります。
個人的には、カジュアル向けと高音質志向の両方のモデルを同時にラインナップして欲しいと思います。いろいろと難しいのかもしれませんが。