ソニーは、ワンボディ型のワイヤレススピーカー「SRS-RA5000」と「SRS-RA3000」の2モデルを4月16日より発売すると発表しました。価格はいずれもオープンで、市場想定価格は「SRS-RA5000」が66,000円(税込)、「SRS-RA3000」が36,000円(税込)。
360 Reality Audioに対応するワイヤレススピーカー。360 Reality Audioはソニーが主導して推進している立体オーディオ規格。リアスピーカーなどを置かなくても前方スピーカー的な配置でも立体音響が楽しめるということで、大がかりなスピーカーでなくとも楽しめるという点で幅広い普及を狙えるポテンシャルがあると言えます。
360 Reality AudioはAmazon Music HDで対応音源がストリーミング配信を表明しているなど、ソフト面では動き始めています。しかも、多大な影響力のあるAmazonがいきなり参加しているのは大きいでしょう。これがそれこそソニー系のハイレゾ配信サイト・mora qualitasだけだったら厳しかったでしょうが。そのmora qualitasはまだ参入表明していませんが…。
360 Reality Audioの配信は日本ではそのほかDeezer、nugs.net でも配信予定。
360 Reality Audio 認定ヘッドホンとスマートフォン専用アプリ「Sony | Headphones Connect」を使って再生できるとしていますが、スピーカーとしての対応はほぼこれから(Amazon Echo Studioは対応予定)。
ワイヤレスモデルはWH-1000X M4、WH-1000X M3、WH-1000X M2、WI-1000X M2、WI-1000X、WF-1000X M3、WF-1000X、WF-SP800N、WH-H910N、WH-H900N、WH-H810、WH-H800、WI-H700、WF-H800、WH-XB900N、WH-XB700、MDR-XB950N1。
有線モデルはMDR-Z1R、MDR-Z7M2、MDR-Z7、MDR-1AM2、MDR-1A、MDR-H600A、IER-Z1R、IER-M9、IER-M7、XBA-Z5、XBA-N3、XBA-N1、IER-H500A、IER-NW510N。
今回、ソニー自身で初の360 Reality Audio対応スピーカーを出すというわけです。
2モデルに共通の特徴は、ソニー独自のアルゴリズムにより、2chの音楽でも臨場感のあるサウンドで再生できる「Immersive Audio Enhancement」機能や、スピーカー本体から測定音を発して、壁や天井などにぶつかって跳ね返った音をマイクで拾って測定することで、最適な音のバランスに自動補正する「サウンドキャリブレーション」機能を搭載すること。
また、対応ブラビアとの低遅延Bluetooth接続も可能で、Spotify Connect や Google Chromecast にも対応し、スマートフォンやタブレットからキャストしたコンテンツを再生できます。Bluetooth 4.2対応で、コーデックはSBCとAACをサポート。Wi-Fi対応でハイレゾ再生にも対応。
RA5000は上位モデルで、6.1chの全方位スピーカーシステムで広がりのある音場を再現できるほか、低音を響かせるサブウーファーを搭載。「S-Master HX」や「DSEE HX」を搭載。
SRS-RA5000はNFCも利用可能。サイズは235x329x225mm(幅x高さx奥行き)、重さは約4.9kg。
振動板にはソニー独自の「MRC(発泡マイカ)」素材を使用し、軽量、高剛性かつ適度な内部損失を備えた特性を実現。
RA3000は、RA5000よりも一回り小さく、持ち運んで使うことを想定した製品。オムニディフューザーとビームトゥイーターを搭載し、立体的な音場を再現できるほか、パッシブラジエーターにより低音も響かせることが可能としています。「DSEE」を搭載。SRS-RA3000のみ防湿仕様。
サイズは146x247x155mm(幅x高さx奥行き)、重さは約2.5kg。
両機ともバッテリーは搭載していません。
なお、ソニーは360 Reality Audio対応スピーカーなどを他社も発売できるように技術内容のライセンス提供を行います。それに呼応してラディウスからも対応ヘッドホンが発売される予定です。
360 Reality Audioがホームオーディオ業界を活性化できるか注目です。
両モデルの試聴レビューが最速で掲載されているのは
「スピーカーの周りに独特の音場ができあがる」としていて、
「SRS-RA3000がディフューザーを使った自然な拡散なのに対し、SRS-RA5000は、よりはっきりと音が定位していると思えた。またSRS-RA5000はサブウーファーを搭載する分、360 Reality Audioモードに切り替えた際の低域の密度が非常に高く感じた。」
というあたりに音質的な感想が凝縮されている印象です。
一体型スピーカーで立体的な音響を実現するのはなかなか難しいようですが、果敢に挑戦しているようです。
オーディオ業界ではリアスピーカーを使ったリアルサラウンドについては1970年代から繰り返し登場しては挫折を繰り返しています。
ただ、前方チャンネルだけで立体音響をハイレベルに実現できれば普及できるかもしれません。これもオーディオ業界で挑戦してきていますが、根付いたのはホームシアター的なサウンドバーにおけるバーチャルサラウンドであって、音楽用のフォーマットではまだです。
今回こそは、音楽系の立体音響規格が普及できるでしょうか。業界を挙げて頑張るしかないでしょう。