中国のTCLは、独ベルリンで開幕したIFA2020において、多数の新製品を発表しました。そのなかで、同社初の完全ワイヤレスイヤホン「MOVE AUDIO S200」も発表。価格は99ユーロ、海外での発売は9月末としています。日本国内への導入は不明です。
形状はいわゆるAirPodsに似たスタイルで、白、黒の本体色と充電ケースのカラバリと、本体白、充電ケースブルーの合計3パターン。
「MOVE AUDIO S200」は通話品位にこだわったタイプで、アクティブノイズキャンセリング機能は搭載していません。
AirPodsと同じ開放型構造を採用しており、使用ユニットは12mm径のダイナミック型。
本体のみでは3.5時間の連続再生と、充電ケースを用いることで最大23時間のバッテリー持続が可能。
Bluetoothのバージョンは5.0。コーデックはSBCのみのようです。操作はタッチ式。音声アシスタントの起動にも対応します。4つのMEMSビームフォーミングマイクとノイズ低減により、通話品位を高めています。防水性と防塵性はIP54に準拠しています。内蔵センサーにより、耳から外すと音楽を一時停止、またつけると再生が再開する機能も搭載しています。
Android端末との組み合わせで簡単にペアリングができる「Google Fast Pair 2.0」にも対応。Android端末へ近づけるとイヤホンが検出され、画面に現れた通知をタップするだけでペアリングが完了します。
「Google Fast Pair 2.0」には充電ケースやイヤホンのバッテリー残量を表示する機能や、紛失したイヤホンを探す機能も搭載されています。
家電・IT・エレクトロニクス関連なら、どこのメーカーでも次々に完全ワイヤレスイヤホンに参入している流れが続いています。
TCLは世界2位のテレビメーカーであり、テレビユーザー向けの完全ワイヤレスイヤホンというジャンルでは、たしかに優れた製品が望まれていると言えるでしょう。
というのもやはり、映像コンテンツでの完全ワイヤレスイヤホンの使用では、映像と音声とのズレ(遅延)が起こり、快適な視聴を妨げることがあるからです。一方、完全ワイヤレスイヤホン市場ではまだまだ遅延への対策が進んでいない状況があります。
つまり、テレビ市場向けに優れた完全ワイヤレスイヤホンとは、映像との遅延を抑えたモデルと言えます。
完全ワイヤレスではないBluetoothイヤホンやヘッドホンでは、テレビを見る程度の遅延では違和感を感じない約40msの低遅延コーデック・aptX LLに対応するモデルが多数ありますが、完全ワイヤレスではほとんどないのも実情です。
ですから、TCLに対しては、テレビ視聴時にも違和感の出ない低遅延な完全ワイヤレスイヤホンを期待したいところです。
たとえば、ゲーミングブランドのRazerの完全ワイヤレスイヤホン「Razer Hammerhead True Wireless」(と同じSoCを採用しているQCY T5)では、特に送信側が特別な対応をしなくとも約60msの低遅延を実現できる機能を搭載しています。似たような仕組みをTCLでも採用してみてはいかがでしょうか?
今回のモデルはメーカー初ということもあるのか、特に際立った特徴や価格面での魅力があるとは言えず、残念です。自作に期待したいと思います(完全ワイヤレスイヤホン+TCL)。
日本国内でTCLと言えば、格安テレビ