ビックカメラは、ビックカメラグループオリジナルでハイセンスが製造したBS/CS 4Kチューナー内蔵液晶テレビ「U85H」シリーズを2022年11月1日に発売。ラインナップは3サイズで、75V型の75U85Hが298,000円、65V型の65U85Hが228,000円、55V型の55U85Hが178,000円(いずれも税込)。ビックカメラとコジマのテレビ取り扱い店舗、およびビックカメラ・ドットコム、コジマネット、ソフマップ・ドットコムにて販路限定発売されます。
ハイセンスの4K液晶テレビとしては、最上位の「U9H」とスタンダードクラスの「U7H」の間に収まるミドルクラス機。
ここでは最上位の「U9H」シリーズと比較しての違いも交えながら「U85H」シリーズの内容・特徴をご紹介。
(U9Hシリーズについては以下で個別にもご紹介しています)
液晶パネルに「広色域量子ドット」を採用しているのが「U85H」シリーズの特徴。バックライトから出た光の波長をナノサイズの半導体粒子で変換する構造により、鮮やかな色再現に寄与するというのが量子ドット技術。広色域については、従来の液晶テレビよりも純度の高い3原色(RGB)を生成し、現実に近い鮮やかな色彩を可能にしています。DCI-P3カバー率は約97%というハイスペックを実現しています。
「U9H」は「広色域量子ドット」に加え、ミニLEDバックライトを採用しているのが違い。従来の液晶テレビで使われているLEDよりも小型の、高輝度LEDバックライトを直下に配置。それらを数多く敷き詰めることで、細部まで明るくメリハリのある鮮やかな映像表現を実現できるという技術です。
解像度は4K(3,840×2,160)で、残像感の少ない倍速(120Hz)ADSパネル(IPS系パネル)を採用。LEDバックライトは直下型。120Hz駆動を活かす、フレーム補間&3Dノイズリダクションの「クリアモーション」による滑らかな動きもポイント。倍速ADSパネル、直下型LEDバックライト、「クリアモーション」の採用は「U9H」シリーズと同じです。
「U85H」シリーズではLEDバックライトをエリアごとに細かく分割して制御する「ローカルディミングPlus」(部分駆動回路)も搭載。明るい部分と暗い部分の差をはっきりと描写。映像の奥行き感がアップし、高いコントラストを実現しています。
「U9H」シリーズではより分割数が少なく高画質な「ローカルディミングPro」であることが違いです。
「U85H」シリーズのスピーカーは、左右にメインスピーカーとツイーター、背面のサブウーファー、を備えた「5スピーカー音響システム」を搭載。実用最大出力は40W。左右に加え、高さ方向の音表現も可能なDolby Atmosにも対応。
「U9H」シリーズのスピーカーは、左右にメインスピーカーとツイーター、背面のサブウーファー、そして上部に2つのイネーブルドスピーカーを備えた「7スピーカー立体音場システム」を使用。実用最大出力は70W。イネーブルドスピーカーがあるため、Dolby Atmosの再現性も高まっています。「U85H」シリーズは「U9H」シリーズよりはスピーカー数、アンプ出力で劣ります。
音響最適補正技術「Eilex PRISM」やサウンドリマスター「Eilex FOCUS」は両シリーズで搭載しています。
以下、「U85H」シリーズと「U9H」シリーズで共通の内容です。
テレビの画質を大きく左右する映像エンジンは両シリーズとも同じ「NEOエンジンPro」を搭載。NEOエンジンProは、2018年に東芝映像ソリューション(現TVS REGZA)と共同開発した映像処理回路の最新進化版で2022年モデルから新規に搭載されています。
最近の4K液晶テレビは4K以外の放送波やネット動画なども4K相当などの高画質にアップコンバートして表示してくれます。その回路の内容が「NEOエンジンPro」ではさらにグレードアップしています。
「高精細ノイズ処理」、「エリア別適性露出復元」、「3段階超解像処理」という従来の処理に加え、
具体的には以下の4つの回路による画像処理が加わっています。
「AI放送高画質処理」
「AIネット映像高画質処理」
「AIシーン別超解像処理」
「AIモーション別超解像処理」
いずれも従来の「NEOエンジン 2021」の内容に加わるものであり、さらなる高品位な高精細画像が楽しめます。
また、「美肌リアリティーPro」回路も新規で追加されています。
カラーマネージメントについても64色軸色彩コントロールが加わっています。
HDRは、HDR10をはじめ、HLGとHDR10+、Dolby Vision、Dolby Vision IOなど、さまざまなフォーマットに対応。
Dolby Vision IQでは、テレビ本体の光センサーで取得した部屋の明るさ情報をHDR画質処理に反映。室内環境に左右されることなく常に最適なDolby Vision画質で映像を楽しめる。HDR10+信号を部屋の明るさに応じて自動調整するHDR10+ ADAPTIVEにも対応。
4K/120p入力、VRRやALLM、AMD FreeSync Premiumもサポート
HDMI入力は4系統(HDMI2.1×2、HDMI2.0×2)で、このうちHDMI1~2は4K/120p入力に対応。VRRやALLMも対応でき、AMD FreeSync Premiumもサポート。
2021年モデルからの「ゲームモード」は4K/120p入力時は約0.83msの低遅延を実現する「ゲームモードPro」に進化しています。
HDMI入力自動画質調整も備え、HDMI入力の音声フォーマットを解析し、接続したレコーダーで視聴しているコンテンツが録画番組か、Blu-rayかを判断して、適切な画質に自動調整してくれます。
チューナー数は、BS 4K/110度CS 4K×2、地上/BS/110度CS×3。別売りのUSB HDDへの録画に対応。4K放送(裏番組録画不可)や、地上/BS/110度CSの裏番組を2番組同時に録画できます。
2021年モデルから引き続き独自開発のVIDAAプラットフォーム3.0を採用し、多彩なインターネット動画配信サービスに対応。
対応VODはNetflix、Amazon Prime Video、Disney+、YouTube、Hulu、RakutenTV、ABEMA、U-NEXT、dTV、SPOOX、DMM.com、Paravi、Net.TV。
付属リモコンは、ボタンの文字の大きさを2021年モデルから改善して、より見やすくなり、リモコン裏面には滑り止め加工も施されました。抗菌加工も施されています。動画配信サービスのダイレクトボタンは6つから9つに増えています。
Bluetooth対応リモコンになったので、テレビに向けなくても使えるようになりました。
そのほかスマートフォンの画面をテレビに映し出せる「スクリーンシェア」や、Bluetooth接続、音声でチャンネル、音量、入力切替などが操作できる「VIDAA Voice」も搭載しています。
75型「75U85H」
外形寸法(幅×奥行き×高さ/スタンド含む):約1,676×351×1,043mm
重量(スタンド含む):約34kg
65型「65U85H」
外形寸法(同):約1,452×297×906mm
重量(同):約24.5kg
55型「55U85H」
外形寸法(同):約1,233×299×777mm
重量(同):約18.3kg
【比較用:「U9H」シリーズのスタンドを含めた外形寸法と重量】
・75U9H:167.4×34.4×103.9cm(幅×奥行き×高さ) 約48kg
・65U9H:145.2×30.0×91.4cm(同) 約31.5kg
同じインチで比較するとサイズはあまり変わりませんが、重さは「U85H」シリーズのほうが軽く、設置性には優れていると言えるでしょう。
「U9H」シリーズは、ハイセンスとしてはじめてミニLEDバックライトと量子ドット技術の両方を搭載しているのが最大の特徴であり、いわばハイセンス国内モデル史上最高画質の液晶テレビです。ただ、その分価格もそれなりであり、ハイセンスにコストパフォーマンスを求める向きには高いと思われるかもしれません。
「U85H」はミニLEDバックライトを搭載しておらず、ローカルディミングとサウンドシステムが簡略化ですが、画質の多くに影響する映像エンジンが「U9H」シリーズと共通、そのほか、基本的な内容、機能も共通と、コスパの面では「U85H」シリーズのほうが優位かもしれません。「U85H」シリーズのほうがサイズラインナップが多いのも実際に選ぶときには大きなポイントでしょう。
ただ、「U9H」シリーズはミニLEDバックライトと量子ドット技術の両方を搭載した4K液晶テレビとして、2022年秋現在、もっとも実売価格が安いので、ミニLEDバックライトの高画質をできるだけ安く、という向きには「U9H」シリーズが適していると言えるでしょう。
参考:「U9H」シリーズのサイズラインナップと価格
「U9H」シリーズは65型(65U9H)と75型(75U9H)の2サイズを用意。価格はどちらもオープン価格で、発売当初の税込み実売予想価格は65型が25万円前後、75型が35万円前後。2022年11月時点では65型が20万円程度、75型が28万円程度となっています。
なお、「U85H」シリーズは上記のように販路がビックカメラ関係に限定されていますが、これまでの慣例からすると、幅広い販路となる「U8H」シリーズが、テレビの内容は同じで販売されると予想されます。