ハイセンスジャパンは、BS/CS 4Kチューナー内蔵液晶テレビ「U8F」シリーズを2020年5月下旬より順次発売します。
50型、55型、65型、75型の4サイズをラインナップ。すべてオープン価格で実売予想価格は、50型「50U8F」が13万円前後、55型「55U8F」が15万円前後、65型「65U8F」が18万円前後、75型「75U8F」が23万円前後。75型のみ6月下旬発売。その他は5月下旬発売です。
4K液晶テレビのヒットモデル・「U7E」シリーズの後継。もともと大手メーカーのなかでもハイコスパと言われていたモデルがどのように進化したのか、大いに注目されます。内容は向上しつつ価格は同等なので相変わらずのリーズナブルな価格設定もポイントです。
「U7E」シリーズと比較しての違いも織り交ぜながら、「U8F」シリーズの特徴と魅力に迫りたいと思います。
まず、内容以前の違いとして、「U7E」シリーズにはなかった、75型が加わっていることが大きな違い。しかも、ハイクラスの75型4K液晶テレビとしてはリーズナブルな価格も特徴。
たとえばソニーも同じくらいの価格で75型モデルを出しますが、ソニーとしてはもっともエントリーとなるX8000Hシリーズのため、画質面での内容は大幅に「U8F」が上回ります。
大画面かつハイコスパ志向のユーザーにとっては大いに歓迎すべき新シリーズでしょう。
BS/CS 4Kチューナー1基、地デジ/BS/CS 2Kチューナー3基を搭載する4K/HDR対応の液晶テレビという基本内容は「U7E」シリーズと同じ。
別売の外付けUSB HDDを接続すれば、2K放送の裏禄や2番組同時録画、4K放送の1番組録画が可能なのも同様。なお、新たに2画面表示可能になったのは大きな違い。あるとないとでは利便性に大きな差が出る機能です。
HDMI入力端子は4系統。
HDRはHDR10に加えてHLGにも対応。これも従来と同様。他社のハイクラスモデルではドルビービジョンにも対応するものが多いなかでは機能を絞っている点です。
液晶パネルは、VA型でデジタルシネマ規格のDCI-P3をほぼカバーする広色域パネル。解像度3,840×2,160。駆動は倍速(120Hz)。LEDバックライト仕様でローカルディミングあり。ここまでの基本内容は従来同様。
「U8F」では、LEDバックライトを「U7E」のエッジ型から直下型にグレードアップ。さらに、ローカルディミングの分割数を大幅に増やし(分割数は非公開)、エリアごとに細かく分割制御する「ローカルディミングplus」へと進化させることで、より高コントラストで発色豊かな映像を実現したとしています。
また、映像エンジンが「NEOエンジンplus」から「NEOエンジンplus 2020」に進化したのも大きな違い。
「レグザエンジンNEO plus」に搭載されていた「3段階超解像処理」(4Kアップスケーリング)などの各種高画質化機能に加え、新たにAIによる超解像処理が追加されたのが最大の違い。
通常の映像とざらつきが目立つシーンを判別し、それぞれのシーンに適した超解像処理を行い、常にノイズの少ないきめ細やかな画質を実現する「シーン別超解像処理」、映像の動き量をAIで判断し、動きの少ないシーン、動きの激しいシーン、それぞれに適切な超解像処理を行う「モーション別超解像処理」、映像のエリアごとの黒つぶれや白飛びを識別して抑制処理を行う「エリア別適正露出復元」です。
パネルの120Hz駆動とフレーム補間に加え、960Hzと高速でバックライトを明滅する「SMR960」機能により、残像低減性能も向上しています。
ハイセンスが得意とするゲームモードについては、「U7E」と同じ水準の低遅延を維持しつつ、「倍速」と「超解像」処理が可能な「ゲームモードplus」に進化。フルHD解像度のゲーム機も4Kでより高画質で楽しめるようになりました。また、新たに、HDMI 2560×1440/60p出力のPCゲームにも対応。
また、本体デザインも刷新。パネルを前面から貼り付けるように固定することで、映像が浮き出るかのような「Non-Bezel」と呼ぶベゼルデザインを採用。
大海原を航海する帆船をイメージしてデザインしたというスタンド部は、65型/55型/50型がセーリングスタンドデザイン。大画面モデルの75型は、より安定感を重視したバタフライスタンドデザインと呼ばれるタイプとなっています。
視聴位置から見下ろす角度にあるアンダーフレームに山形の角度を設け、より薄く見えるようにするアンダーフレームデザインも取り入れたのも特徴。よりスタイリッシュなデザイン性となり、インテリアとのマッチングは増しているように見えます。
操作性の面では、独自UIである「VIDAA」が最新の「VIDAA 3.0」に変更。横と縦の両方にスクロールする操作体系に変更。これにより画面の情報量が増し、より直感的で簡単に操作ができるようになっています。操作の反応の早さもポイントです。
動画配信(VOD)サービスではAmazonプライム・ビデオやABEMAにも対応。とくにAmazon対応はうれしいと思うユーザーは多いでしょう。
リモコンのデザインも変更。「U7E」シリーズでは、動画配信サービスへのダイレクトボタンは、「Netflix」と「YouTube」の2つのみでしたが、「U8F」では「Amazon Prime Video」「Hulu」「AbemaTV」「U-NEXT」のボタンが追加。
音声操作は、GoogleアシスタントとAmazon Alexaに引き続き対応。スマートスピーカーやスマホを介し、チャンネル変更や音の調整などが音声で簡単に操作できます。
スピーカーシステムは、信号処理に新たに「Eilex PRISM」を採用し、高精度な補正を行うことで高音質を実現。
デジタル圧縮によって失われた信号を復元することで音質を改善する「サウンドリマスター」、スピーカーからの再生音に左右の広がりと高さや奥行きを感じさせて臨場感を高める「サラウンドスペース」などの高音質化機能も搭載。
65型/55型/50型の3モデルは、サランネットを装備したフロントスピーカーとなり、音の滑らかさも向上しているとしています。
65V型モデル「65U8F」の本体サイズは145.2(幅)×91.5(高さ)×35.6(奥行)cm(スタンド含む)。重量は25.8kg(スタンド含む)。消費電力は330W。
一方、従来の65V型モデル「65U7E」の本体サイズは145(幅)×92.4(高さ)×35.4(奥行)cm(スタンド含む)。重量は30kg(スタンド含む)。消費電力は200 W。
つまり、サイズはほとんど同じですが、重量は軽量化され、大型でもより設置や移動はしやすくなっています。一方、LDEバックライトが省電力なエッジ型から、画質重視の直下型に変わったため、消費電力は大幅に増えています。
「U8F」と「U7E」をスペックや機能をはじめ、各専門サイトでの画質インプレッションやネット上での感想などを総合的に比較した限りでは、「U8F」が買いで決まりのようです。内容が多方面で明らかに向上していながら、発売当初の価格は同じということで、コスパの向上も明らかだからのようです。
もはや競合は、ソニーのハイクラス4K液晶テレビのX9500G/Hではないか、という意見もあるほどです。さすがに価格も結構上となる9500とは画質の差はありそうですが、価格差(65型で10万円ほど)ほどはなさそうなので、意外と悩ましいかもしれません。
また、価格的には競合するクラスのはずのソニーの中堅機X8550Hは、倍速パネルの直下型LEDバックライトですが、ローカルディミングはなし。ソニーのエントリーとなるX8000Hは75型が同じくらいの価格で競合しますが、X8000Hはエッジ型で倍速もなし、当然ローカルディミングもなしと、基本的な画質面でのコスパは「U8F」がソニーの中堅以下を上回っていると言えます。
一方、ソニーの4Kテレビは4Kダブルチューナーで4K裏禄可能、HDRもドルビービジョンにも対応、HDMIはeARCにも対応といった点でハイセンスを上回ります。
以上のことを考えると、「U8F」は、4K裏禄は不要、HDRはHDR10とHLGで十分、eARC不要、できるだけ予算をかけずに液晶テレビで画質にこだわりたい大画面派、こういったユーザーに向いているような気がします(4Kテレビ+ハイセンス)。