生産終了機器情報。「SX-V1-M」はVictor(ビクター)によるスピーカー。1992年に税別・ペア15万円で発売されました。
高品位な木製エンクロージャーと、高品位なユニット、磁気回路を組み合わせた、当時のビクターが得意にしていた2ウェイ・ブックシェルフ型のスピーカー。
低域には14.5cmのコーン型ウーファーを搭載、高域には2.5cmソフトドーム型トゥイーターを搭載。
ウーファーはクルトミューラー社製コーンを採用した、内磁型アルニコ磁気回路を使用と、まさにビクター伝統の組み合わせ。羽二重シルクソフトドームを採用し、ウーファーにマッチした上品な高音を狙っています。
樹脂含浸が施された無垢マホガニーをエンクロージャーに使用。これもまた見かけの美しさと音響面でのメリットを持ち合わせた贅沢な素材です。真鍮ダイキャストボードによるユニフレームバッフルボードなどの技術も加わり、単に立派な箱にユニットを収めたというのとは一線を画するクオリティーを発揮します。
専用スタンドも用意されていました。LS-V1-M(2台1組、¥40,000)。本機はこのあと、SX-V1A、SX-V1Xとモデルチェンジされていきます(スピーカー+Victor)。
2021年の今見ても魅力的に感じるスピーカーです。
現在のビクター(JVC)はご存じの通り、ウッドスピーカーに方向替えしているので、本機のようなスピーカーは望めません。
また、本機のような当時のビクターのスピーカーの系譜を手掛けたエンジニアはクリプトン(KRIPTON)に移籍し、この方向性を推し進めたスピーカーを販売し続けているのも知られています。
ただ、クリプトンのスピーカーはたしかに音質もよく、性能も現代化(ハイレゾ対応など)していますが、コストアップの影響で、このころのビクターのスピーカーよりも明らかに高額になっています。おそらく、現在「SX-V1-M」同等クラスの内容でクリプトンで新モデルを作るとなると、倍額でもきかないかもしれません。
https://ameblo.jp/jairocafe/entry-12346211109.html
(修理・メンテナンスにも役立つ情報あり)
http://variouskraft.com/AUDIO-3menteSP2-4_Victor_SX-V1.html
(興味深い開発秘話)
http://catwerx.jp/SX-V1.php
だからといって、これだけ古いスピーカーを中古で買うのも内部部品の劣化などのリスクはあります。そういったこともわかったうえで、楽しめる人にはまだまだ面白いスピーカーかもしれません。
中古相場は6万円前後するようです。専用スタンド込みでもあまり価格は変わらないので、スタンドセットの中古を狙いたいところです。
なお、本機はかの佐村河内守氏が愛用していたスピーカーとしても知られます。本当は音が聴こえていた彼は、いわば世間に隠れて本機から音楽を聴いていたと思うとなんとも言えない気がします。
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型
ユニット 低域用:14.5cmコーン型 高域用:2.5cmドーム型
インピーダンス 4Ω
シングルワイヤリング
周波数特性 55Hz~30kHz クロスオーバー周波数 4kHz 出力音圧レベル 87dB/W/m
外形寸法 幅200×高さ343×奥行263mm 重量 8.0kg