ソニーはネックバンド型Bluetoothイヤホンの「WI-SP510」を2020年6月6日に発売。オープン価格で税込み実売価格は9,000円程度です。
防水性を備えたスポーツ向けのモデルで、型番的には2018年発売で実売価格も同じ「WI-SP500」の後継機が上位機のように見えます。
しかし、「WI-SP500」はインナーイヤー型構造で開放型、「WI-SP510」は一般的なカナル型で密閉型と、音の聴こえや装着感に関わる基本的な部分で大きな違いがあるため、どちらも併売される別系統のモデルのようです。
とはいえ、定価が同じで(発売から時間が経っている「WI-SP500」の実売価格は下がっていますが)、同じくスポーツ向けということもあり、この2モデルは使い方や目的によって比較検討されるべきでしょう。そうしたことから、「WI-SP510」の内容や特徴を「WI-SP500」と比較しての違いも交えながらご紹介します。
「WI-SP510」はイヤホンとしては上述のように一般的なカナル型を採用。カナル型としては大きめの12mm径のダイナミック型ユニットを採用。また、「EXTRA BASSサウンド」を採用したサウンドチューニングを行っています。いわゆる重低音重視のサウンドで、フラット傾向ではありません。
一方、「WI-SP500」はカナル型に比べて大口径ユニットを採用しやすいインナーイヤー型であるため、ユニット口径は13.5mmとさらに大きくなっています。ただ、開放型は重低音再生が弱い傾向があることと、「WI-SP500」では特に重低音サウンドを謳ってはいません。サウンド傾向としてはフラットからかまぼこ傾向と思われます。
両機は形式の違いによってサウンド傾向が異なるだけでなく、遮音性の違いによる使い勝手の違いがあります。「WI-SP500」では遮音性が低いインナーイヤー型ということと、外音を取り込みやすくする独自のイヤーピースも相まって、イヤホンを付けたままでも外の音が聴こえやすいようになっています。これは屋外のランニング時などに周囲の音を聴き取り、安全性を確保しやすいためです。
反面、周囲の音が入ってくるため、音楽に別の音がかぶさって集中しにくい面はありそうです。また、音漏れが大きいため、電車の中のような他人との距離が近い公共の場所での使用は控えたいところです。
一方、「WI-SP510」では遮音性が高いため、屋外でも音楽やトレーニングに集中しやすく、音漏れも少ないので、公共の場所でも使いやすいでしょう。一方、遮音性の高さは周囲の音に気づきにくさにもつながるので、屋外で使用する場合は、安全性の確保には十分注意が必要です。本機には、遮音性の高さと安全性の確保を両立できる「外音取り込みモード」は搭載していないだけに。
対応コーデックは両機ともSBC、AAC。
「WI-SP510」は汗をかいても使用でき、運動後には水洗いも可能なIPX5防水仕様。「WI-SP500」ではIPX4(あらゆる方向からの飛沫に対して本体機能を保護)と防水性ではやや劣ります。
携帯性に関わる部分では、「WI-SP510」はハウジングにマグネットを備え、使わないときはマグネットで左右のイヤホンを結合してコンパクトにまとめられます。
「WI-SP500」では左右のイヤホンを一つにまとめられる専用キャリングホルダーが付属しています。コンパクトにまとめられる点では両機同様ですが、「WI-SP500」では専用の付属品を無くするとまとめにくくなる点には注意しましょう。
「WI-SP510」のバッテリー持続時間は最大約15時間。10分の充電で60分の再生が可能。充電端子はUSB-C。
「WI-SP500」のバッテリー持続時間は最大約8時間。充電端子はMicro USBと、ロングバッテリー性では新しい「WI-SP510」のほうが大きく優れています。充電端子がUSB-Cなのも大きいでしょう。
使用感や装着感に関わるネックバンドの様子もかなり異なります。
「WI-SP510」では操作部やバッテリーを左右のネック部分に振り分けて設置。一方、「WI-SP500」ではネック部分には何もなく、左右のイヤホン部に操作部とバッテリーを配置。
ネック部分に多少の重さを感じるか、イヤホンそのものに重さを感じるかの違いで、どちらがよいとは言い切れず、好みで選ぶべきでしょう。
イヤーピース関連では、「WI-SP510」はイヤーピースが4サイズに加えて、スポーツ時などに装着を安定させるために耳のくぼみに装着させるアークサポーターと呼ぶイヤーフィンを3サイズ付属しています。
一方、「WI-SP500」はサイズ違いのイヤーピースを付属するのみで、イヤーフィンは付属しません。シンプルな装着という点では「WI-SP500」でしょうか(Bluetoothイヤホン+SONY)。