YAMAHA A-S3200 新旗艦プリメ!A-S3000と比較しての違いは?中古情報も

ヤマハのプリメインアンプ新フラグシップ「A-S3200」

ヤマハは、プリメインアンプの新モデル3機種を発表しました。「A-S3200」を5月29日より、「A-S2200」を6月12日より、「A-S1200」を5月29日より発売します。

価格はいずれも税別で「A-S3200」が640,000円、「A-S2200」が350,000円、「A-S1200」が240,000円。

それぞれ従来モデルの「A-S3000」(2013年・47万円) 「A-S2200」(2014年・25万円) 「A-S1100」(2013年・20万円)の後継機。

ここでは3モデル中最上位で、ヤマハのプリメインアンプとしてはフラグシップとなる「A-S3200」をご紹介。また、従来モデルである「A-S3000」と比較しての違いも解説します。

基本的な回路設計や出力、機能、入出力、付属品、寸法・重量など、両者はほとんど同じです。アンプとしてのおおまかな内容としては同等と言えそうです。ただし、後述の変更による音への影響はあるものと思われます。
 

「A-S3200」の内容・特徴

「A-S3200」は本体サイズは435(幅)×180(高さ)×464(奥行)mm、重量は24.7kg。ヤマハのグランドピアノと同じ塗装・研磨工程で仕上げたピアノブラックのサイドウッドに、往年のヤマハのコンポを彷彿とさせるアルミ素材のシルバーパネルを纏っています。

最大出力210W×2ch(4Ω)、130W×2ch(8Ω)。定格出力は100W×2ch(8Ω)、150W×2ch(4Ω)。消費電力は220W。

アンプ部に同社の特許技術であるフローティング&バランス・パワーアンプを採用しているのが最大の特徴。出力段の両チャンネルの+/ー側、計4組の電力増幅回路をフローティングすることで、プッシュプル動作の完全対称化と、全回路のグラウンドからの完全独立による外来ノイズの影響の排除を実現するとしています。21世紀に入ってからのヤマハの本格クラスのアンプで使われ続けている技術であり、すでに高い定評のあるものです。

「A-S3200」では、出力素子には、+側と-側で同一極性を持つMOS-FETを採用。フローティング&バランス・パワーアンプだけの特徴である、極性の違いによる音質差を無くし、完全対称設計による、SN感とセパレーションに優れた高い音場感を実現したといいます。

信号伝送・増幅は、フルバランス伝送。よって、全段バランス動作を実現するため、プリアンプ部の音量やトーン調整などの制御系回路においてもバランス動作を徹底しています。

MCヘッドアンプ付きのフォノイコライザーと、ヘッドホンアンプをそれぞれディスクリート構成で搭載。レコードやヘッドホンも高品位に楽しめます。

電源トランスには、磁束漏洩が少なく、電力変換効率および電源レギュレーションに優れた大容量トロイダル電源トランスを搭載。

フロントパネルには大型のレベルメーターを搭載。PEAK/VUの切り替えができます。

入力端子はXLRのバランス×2、アナログRCA×4、Phono×1を搭載。レックアウトも搭載。プリアウト、メイン入力も各1系統備え、プリアンプとして、あるいはパワーアンプとしての独立使用もできます。トーンコントロール、リモコンも装備。海外メーカーのプリメインアンプと違い、さすがに機能性は十分です。

「A-S3200」と「A-S3000」を比較しての違い

基本的な回路や機能にほとんど違いはありませんが、シャーシをはじめとする構造面、内部配線、ねじやインシュレーターの変更など、オーディオのマイナーチェンジではよく使われる手法による違いがあります。

シャーシ構造は「A-S3000」ではプリアンプ部とパワーアンプ部を独立、信号経路を最短化した「リジッド・ストリームラインド・コンストラクション」を採用していました。高剛性・二重構造のコンストラクションを採用、徹底した振動対策、信号経路の最短化を狙うもので、オーディオ的には理にかなっています。

「A-S3200」では基本構造は同じながらも、さらに、電源トランスやブロックケミコンなどの振動を伴う大型重量パーツをベースフレームにマウント、ベースフレームに溶接されたボルトに直接レッグを装着することで重量物を機構的に接地させ、圧倒的な構造の安定化を図る「メカニカルグラウンド・コンセプト」を謳っています。

純度の高い信号伝送を実現するため、徹底したローインピーダンス化を行うのも高級オーディオでは常道です。そのための信号経路の最短化を物理的に実現することと、信号伝達ロスを排除することを徹底。

その一環として、ブロックコンデンサーの配線、プリ部とパワー部との接続、パワー段からスピーカー端子への配線など、信号伝送の上で重要となる箇所にネジ止め結線を採用しているのは両機同じですが、「A-S3200」では、大電流経路の基板間や、ブロックケミコンの配線では非磁性で導電性に優れた真鍮製ネジによるネジ止めを新たに採用し、品位の向上を図っています。

スピーカーターミナルへの内部配線には新世代の銅導体PC-Triple C(ピーシー トリプルシー)を新たに採用し、全帯域にわたり情報量豊かで滑らかな音質と謳っています。

また、設置面を傷つけることなくピンポイント支持を可能にする、真鍮削り出しの特殊構造レッグを新たに装備。振動吸収性能も高まっているとしています。

なお、「A-S3000」ではボリュームコントロールにはラダー抵抗のみで構成されたカスタム仕様の新日本無線社製高精度電子ボリューム素子を採用と明記されていましたが、「A-S3200」では特にボリュームについての公式サイトでの説明はありません。

なお、「A-S3200」と「A-S3000」はいずれもメーカー保証は標準で5年です。

「A-S3000」の在庫や中古を求める人もいそうです

このように見てみると、たしかに「A-S3200」は「A-S3000」に比べて、内容は向上しているようです。ただ、基本回路をはじめ、機能、スペックもほとんど変わらないことと、価格の違いと実際にける金額との兼ね合いによっては、旧モデルの「A-S3000」が欲しいという人もいるでしょう。

たとえば、アキュフェーズのアンプのモデルチェンジもあまり違いがないように見えますが(パネルデザインがほとんど変わらないことが多いので、買い替えても家族に知られないのがメリットなどと笑い話のタネにされることもあります)、そのアキュフェーズのアンプでもモデルチェンジのたびにSN比などのスペックが変わっています。近年はダンピングファクターの数値のアップがアキュフェーズでは顕著です。

ヤマハの今回のモデルチェンジでは、SN比の数値は公式サイトを見ると、実は随分と変わっているように見えますが(新モデルのほうが低くなっているように)、普通は新モデルが低くなることはないので、これは測定条件が変わっただけの可能性もあります。ダンピングファクターの数値は同じです。もっとも一般的にはSN比やダンピングファクターは音にはあまり関係ないという向きは多いです。

結局、見た目も含めて、アンプとしての総合的なモノとして、「A-S3000」でも十分、という人がいておかしくない印象です。これで機能面でUSB-DACでも搭載していれば、また印象は変わったかもしれませんが。

「A-S3000」は今後は中古市場での売買が中心になっていきますが、中古市場では人気のモデルになるかもしれません(プリメインアンプ+YAMAHA)。

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