ヤマハは、ハイクラスAVアンプ「AVENTAGE」(アベンタージュ)の上位モデルとして、最上位「RX-A8A」を税込み418,000円で、最上位の次のクラスとなる「RX-A6A」を275,000円で、いずれも2021年8月31日に発売しました。
どちらもDolby AtmosとDTS:Xに対応したAVプリメインアンプ。Dolby Atmos Height Virtualizer機能も搭載しており、ハイトスピーカーを設置していない5.1ch、7.1ch構成でも、高さを含むあらゆる方向から音が感じられる没入感の高い音場が得られるのが特徴。
以上の基本を踏まえたうえで両機の違いを解説します。
内蔵パワーアンプ数はRX-A8Aは11ch、RX-A6Aは9ch。このため、どちらもAURO-3Dの11.1ch HEIGHT LAYER対応ですが、RX-A8Aは内蔵アンプでそのまま対応可能、RX-A6Aは2ch分の外部パワーアンプが必要な点も違ってきます。
内蔵パワーアンプの出力は各ch最大220Wで同じです。
RX-A8Aのみパワーアンプ電源用線材およびGND線材をセパレート型AVパワーアンプMX-A5200と同じ太さのものへ変更し、安定した電源供給ができるようになり、腰の低い低域再生を実現したとしています。
いわゆる内部配線の一部のグレードがRX-A8Aのみ高いわけです。安定した電源供給につながる部分での向上であり、音質には影響が出ておかしくはない部分です。
搭載しているDACチップはどちらもESSテクノロジー製ですが、RX-A8AはES9026PROを2基搭載
RX-A6AはES9026PROを1基とES9007Sを1基搭載。RX-A8Aのほうがよりグレードが高いチップを全chで統一して搭載しているので、より高音質かつ、全chの音質の均質性も高いと思われます。
スピーカー設定パターンメモリ数がRX-A8Aは4つ、RX-A6Aは2つ。RX-A8Aのほうがより多くのスピーカー設定に対応できるので、複数のパターンのシステムを構築している方により適しています。
外形寸法と重量は、A8Aが435×477×192mm(幅×奥行き×高さ)で21.4kg、
A6Aは435×442×192mm、重量は20.3kg。
幅と高さは同じですで前方から見た時のデザインも同じですが、RX-A8Aのほうが奥行きが3.5cmほど大きいので、ラック裏の空間をより取りにくく、設置に苦労することも考えられます。コンポの設置場所や裏面と壁面との距離は1cm単位でシビアなことも珍しくないので、高いほうがいいという単純な理屈で考えず、場合によってはRX-A6Aを選ぶのも選択肢でしょう。
消費電力はA8Aが600W、A6Aが500W。ただ、実際の使用時にこれほどの消費電力になることは両機ともないでしょう。よほどの大音量でない限り、この数分の一程度だと思われます。それでも、両機の消費電力には常時、A8AがA6Aの1.2倍程度かかる違いがある可能性はあり、少しでも省電力を志向したい場合はA6Aもアリでしょう。ただし、11.2chシステムを構築するならA6Aでは結局、外付けのパワーアンプを2ch分用意する必要があり、その分消費電力も増えますので、この場合は最初からRX-A8Aのほうを選んだほうが合理的でしょう。