B&W 800 D3シリーズ 生産終了 中古名機化?
英国のスピーカーメーカー・B&Wのフラグシップスピーカーシリーズである「800 D3シリーズ」が生産完了となるそうです。
B&W 800D3シリーズが在庫限りで生産完了へ。後継モデルは未定。
「800 D3シリーズ」はB&Wを代表するだけでなく、オーディオ業界を代表するスピーカーの名機とみなされています。
その源流は、1980年代の「Matrix」シリーズにまで遡りますが、今日のような高い評価を決定づけたのは、スピーカーの革新的技術と言われる「Nautilus」技術を搭載した、1998年の「Nautilus 800シリーズ」の登場からでしょう。俗に「ちょんまげ」と呼ばれる独創的なフォルムをしたツイーターがメイン筐体の上にちょこんと載っている姿を知らないオーディオ愛好家はいないでしょう。
Nautilus 800/1998年10月
800S/2005年5月
800 D/2010年4月
800 D3/2015年10月
その後、上記のようなシリーズのモデルチェンジを行っており、そのたびごとに、基本的な外観を買えることなく、内部は大幅な改良・変更を行うことで、常にスピーカー業界の第一線のモデルとしての評価を維持してきたと言えるでしょう。
B&Wと言えば、黄色いケブラーコーンも代名詞ですが、800D3シリーズでは思い切って一心。カラーリングも異なるコンティニウムコーンに変更したことは驚きを持って受け止められました。
今回の生産終了は残念なように見えますが、実は2020年には2005年以来続いているモデルチェンジの終期に当たっており、むしろ遅すぎたくらいです。もしかして、コロナウイルスの影響があるのでしょうか。
従来モデルを生産完了にするということは、次期モデルの計画もあると考えられますが、上記の国内ニュースサイトによれば、現時点で後継機の話はなく、仮に発売になるとしても1年以上先になる模様、などと伝えています。
本当ならば、フラグシップモデルの販売が滞ることになりますが、これもコロナウイルスの影響なのでしょうか。
たしかに、屋内で行うオーディオは、コロナウイルス以降、販売はむしろ回復傾向にあると言われていますが、趣味性の高い高級機はその限りではないようですし、また、生産状況の安定的な確保についても難しいようです。こうした要素を考えれば、「800 D3シリーズ」のような一般離れしたスピーカーの生産や販売は世界的にも難しいのかもしれません。
英国の代表的なスピーカーメーカーと言えば、KEFもあり、そちらは「MAT」や「Uni-Core」といった新技術を次々と発表。早速搭載スピーカーも販売し、その評価も上々など、勢いのあるところにはあります。
KEFもB&Wと並ぶスピーカーメーカーであり、Bladeのような超高級機も扱っています。一方で、Qシリーズや、アクティブスピーカーなど、一般的なユーザーでも購入しやすく、置き場所も取らないスピーカーでも大きな存在感を発揮しています。最新作の「LS50 Wireless Ⅱ」(「MAT」技術も早速搭載)などがその代表です。
B&Wもエントリー機やアクティブモデルも出していますが、KEFに比べて存在感が弱い印象もあります。
コロナ時代以降にもスピーカーメーカーが安定して生き残っていくのに、両者が対照的な結果にならないことを祈ります。
「800 D3シリーズ」が中古でしか入手できない、B&W最後の名機、になどならないようになって欲しいものです。
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