SACDプレーヤー兼ネットワークオーディオプレーヤー・Technics SL-G700
Technics SL-G700はパナソニックのオーディオブランド・テクニクスによるSACDプレーヤー兼ネットワークオーディオプレーヤー。2019年8月に税別28万円で発売されました。
テクニクス初のSACDプレーヤーという記念すべきモデルであると同時に、ネットワークオーディオプレーヤー機能や豊富なデジタル入力を搭載した、いわゆる全部入りデジタルプレーヤーです。
SACD再生機能搭載の全部入りプレーヤーは珍しいだけに貴重なモデル
SACD再生機能搭載の全部入りプレーヤーは2021年現在も珍しいだけに貴重なモデルです。
本機・SL-G700の内容をご紹介するとともに、購入者などの音質などへの感想、中古販売情報などもご紹介します。
本体サイズは430(幅)×98(高さ)×407(奥行)mm、重量は約12.2kg。ボディカラーはシルバー。この薄型ボディに豊富なデジタルプレーヤー機能を搭載。ヘアライン仕上げの7mm厚アルミフロントパネルや3mm厚アルミサイドパネルを採用した本体は見た目にも高品位。高音質志向の高剛性設計も徹底させています。
CD部の再生可能ディスク(8cmまたは12cm)がSuper Audio CD(2chステレオのみ)、CD、CD-R、CD-RW。フォーマットがSuper Audio CD、CD-DA。DVDやBD、UHD BDなどには対応しない、純オーディオディスクプレーヤーです。SACDについてはマルチch再生には対応していないのは残念ですが、これは現在SACDを再生できる他社のプレーヤーでも同じ状況であり、妥当なところでしょう。
PC、ネットワーク、ストリーミング系への入力はUSB2系統とWi-Fi(IEEE 802.11a/b/g/n/ac、2.4GHz/5GHz)。
前面USB端子にはUSBメモリ、背面端子にはUSB接続の外付けHDDを接続して音楽ファイルを再生できます。
ネットワーク入力では、インターネットラジオや、パソコン/NASに保存したハイレゾ音源などのネットワーク再生も可能。ネットワークプレーヤーとしての操作は付属リモコンでできるほか、無料のタブレット/スマホアプリ「Technics Audio Center」から画面を見ながら操作できます。
ネットワーク、USBではWAV/AIFFは384kHz/32bitまで、FLAC/ALACは384kHz/24bitまで、DSDは11.2MHzまでのファイル再生に対応。また、MQAファイルやMQA-CDのフルデコード再生が可能なのも特徴。
Google Chromecast対応アプリを使ってスマートフォンなどからの操作で音楽ストリーミングサービスを聴ける「Chromecast built-in」や、Googleアシスタント搭載機器と連携して音声で操作ができる「works with Google アシスタント」に対応。さらに、AirPlay 2もサポート。
そのほか、Bluetooth入力にも対応。コーデックはAACとSBCをサポート。
DACチップは、旭化成エレクトロニクスの上位クラス製品「AK4497」をL/Rに1基ずつ搭載。フィルター、クロック、電源なども本格単品コンポとして凝った内容を備えています。
パナソニックのオーディオ機器や映像レコーダー/プレーヤーなどでもおなじみの「ハイレゾリマスター」も搭載。44.1kHz/16bitで記録されたCDの音楽データやMP3などの圧縮音源を、帯域拡張とビット拡張に対応したデジタル信号処理して最大192kHz/32bitのハイレゾ信号に変換して再生できます。
同軸/光デジタル音声の入出力端子を各1系統と、バランス/アンバランスの固定アナログ音声出力を装備。単体DACとして使えます。また、デジタルプレーヤーとしてもバランス出力できるので、接続できる機器の範囲が広がります。
ヘッドホンアンプに凝っているのも特徴。ヘッドホン専用DA回路として、テクニクス独自の音声処理LSIである「JENO Engine」を搭載。ヘッドホンアンプには、オーディオ信号の電圧増幅と電流増幅をそれぞれ独立したアンプ回路で行なうClass AA方式を採用。高品位なオペアンプで電圧を増幅させ、電流供給能力の高いオペアンプで電流を増幅。JENO Engineから出力される高品位なPWM信号を高精度にアナログ信号に変換。幅広い負荷インピーダンスのヘッドホンを適切に駆動し、低歪みかつ広帯域な音が楽しめるとしています。ヘッドホン出力は標準端子1系統。
2021年現在から見てあえて気になる点
発売当時としては最新、最高の機能性を纏ったモデルと言えましょう。
2021年現在からみると、MQA再生はMQA-CD再生はできないのは残念なところ。
また、USB接続についてはPCと直接USB接続して使うことはできませんが、これはネットワーク接続してくださいということなのでしょう。USB-HDDを直接接続できるのは便利です。
購入者の感想やレビューの傾向
販路が少なく、しかも値引きもあまりないモデルということもあり、似たような立ち位置にあるマランツのSACDプレーヤーやネットワークオーディオプレーヤーよりは購入者の感想やレビューは少ない印象。
その少ない感想からは、音質はこの価格で機能てんこ盛りということもあり、たとえば同価格帯の他社SACDプレーヤーあたりとは少し異なるようです。
ネットワークオーディオプレーヤーとしては非常に多機能で、満足している人は多いようです。ただ、基本的にネットワークオーディオプレーヤーとしての操作は、タブレットなどを使用することは前提になることには留意が必要です。
また、これも発売時期の影響もあり仕方がない面はありますが、本機はSpotifyやDEEZERには対応しているものの、Amazon MusicにはHDも含めて対応していません。また、当然?mora qualitasにも対応していません。このあたりははハイレゾストリーミング再生機器として使うには痛いと言わざるを得ません。
総じて、本機はCDに加えてSACDも聴く、ネットワークオーディオプレーヤー機能はストリーミングよりも、手持ちのハイレゾ音源などを聴くのがメインという方に向いていそうです。MQAに関してもダウンロードしたMQA音源をネットワークかUSB経由で聴く方に適しているでしょう。
こうした単体のSACDプレーヤーなどは中古での入手も考えられますが、本機の場合、流通自体少ないようで、あまり中古はみかねないようです。そういう意味では流通量の多いDENONやmarantzの同価格帯のSACDプレーヤーとは異なります(SACDプレーヤー+Technics)。
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