アキュフェーズのエントリー・プリメインアンプ「E-280」
アキュフェーズはプリメインアンプ「E-280」を10月下旬に発売します。価格は33万円(税別)同社のエントリークラス・プリメインアンプで、「E-270」(2016年・30万円)の後継機。
「E-280」の内容や特徴を、「E-270」と比較しての違いも交えながらご紹介。
AAVA方式ボリュームを改善、SN比も向上
アキュフェーズの現行プリメインアンプは全て、独自のAAVA方式を搭載したボリューム部を搭載しているのが最大の特徴です。アナログボリュームながら、左右偏差やガリ、音量位置による音質変化などの極めて少ないボリュームで、2001年以降のモデルで搭載され始めるとともに、常に改良も施されてきています。
現在はアキュフェーズの全てのプリメインアンプとプリアンプに搭載されていますが、改良内容が増えるうちに、上位モデルと下位モデルでのAAVAボリュームのグレード差というものも出てきています。また、モデルチェンジごとに着実に新しいAAVA回路に替わっているという面もあります。
今回は、AAVA回路における総電流量を従来の2倍に、また、回路のインピーダンスを1/2とすることでノイズを低減。また低雑音で高精度な薄膜抵抗を採用。こうした改善により、「E-270」よりもS/N比を1dB改善。オーディオ機器のモデルチェンジでよくある、音はよくなったものの、物理スペックは同じということはなく、着実にスペックアップも果たしています。
ダンピングファクターの向上
また、近年のアキュフェーズのアンプでこだわっているのがダンピングファクターの向上。この数値が高まるとスピーカーに対するドライブ力も高まると言われています。一方で、実際の音質への影響はそれほどでもなく、あまり重視しないメーカーやユーザーもいるスペックではあります。
プロテクション回路にMOS-FETスイッチを採用するなどして出力回路の低インピーダンス化を図る従来からの方法に加え、パワーアンプからスピーカー出力端子間のパターンと配線を全面的に見直すことで、今回、「E-280」ではダンピングファクター数値を「E-270」の400から500にアップ。とくに低音の制動が難しいスピーカーに対してのコントロール力が上がっている可能性が高まっています。
オプションボード増設に新たに2スロット分対応
これもアキュフェーズのアンプではおなじみのオプションボード増設に新たに2スロット分対応。従来は1スロットでした。もちろん、従来通りライン入力増設ボードに加え、デジタル入力ボードやフォノ入力ボードにも対応。USB/同軸/光デジタル対応DACボード「DAC-50」やフォノイコライザーボード「AD-50」などを2つまで増設できます。
「E-280」ではフォノイコライザーとDAC増設を両立できませんでしたから、幅広いソースを聴きたいニーズに対する対応度は大きく向上しています。この点は音質やスペック以上に重要ととらえる向きもあるかもしれません。
プリメインアンプとしての基本的なスペックや機能性はほぼ同等
そのほか、プリメインアンプとしての基本的なスペックや機能性はほぼ同等。
大電力オーディオ用パワートランジスターを使用したパラレル・プッシュプル構成で、定格出力は8Ωで90W、4Ωで120W。
電源には大容量のトランスを搭載。フィルターコンデンサーは容量は従来と同じ30000μFですが、アルミ電解コンデンサーを新規開発。音質を向上させています。
パワーアンプ部はインスツルメンテーション・アンプ構成で、信号経路をバランス伝送化。カレント・フィードバック増幅回路を引き続き搭載。
プリ部とパワー部を分離し、それぞれ独立して使用できる「EXT PRE機能」も搭載。ヘッドホン出力、トーンコントロール、コンペンセーター、リモコンなど豊富な機能を搭載。
ライン入力5系統、レコーダー入出力1系統、バランス入力も1系統。スピーカー出力端子は2系統備えており、バイワイヤリング接続にも対応。
サイズは465W×151H×420Dmmで質量は20.4kg。
「E-270」からは着実に改良している印象
「E-270」からは着実に改良している印象。アキュフェーズとしてはエントリークラスですが、一般的な広さの部屋で、一般的な能率のスピーカーを常識的な音量で鳴らすのであれば、十分すぎるほどのスペック。オプションでの追加購入とはなりますが、レコード再生やUSB接続でのハイレゾ再生にも一台で対応できる利便性もポイント。
例によって?見た目はほとんど変わっていないので、買い替えても家族に気づかれにくいという独特のメリット?も維持されています。その点では思い切りデザインを変えたマランツのプリメインアンプとは好対照です(プリメインアンプ+Accuphase)。
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