アユートは、同社が取り扱う韓国・Astel&Kernブランドの上級DAP「AK380」のメイン基板の修理対応と、AK380専用のアンプユニット「AK380 AMP」の修理対応を2020年10月13日をもって終了したと発表しました。
いずれもメーカーで一部修理用部品の確保が困難になったことが理由としています。
一方、両製品ともバッテリー交換については引き続き対応可能としています。
AK380は、2015年に当時のブランド最上位DAPとして、499,980円(税込み・当時)で発売された、超高級DAP。ブランド最上位なのはもちろん、確か、当時日本国内で発売されていたDAPとしては最も高価な製品でした。
2020年現在でも機能、性能面では十分に実用に値する内容
旭化成エレクトロニクスのDACチップ「AK4490」を2基搭載、PCM 384kHz/32bitとDSD 11.2MHzネイティブ再生をサポート、USB-DAC、DLNAやBluetoothにも対応、イヤホン端子は3.5mmに加え2.5mmバランス端子にも対応、と、現在でも機能、性能面では十分に実用に値する内容を備えています。
強いて言えば、現在のDAPの多くが対応しているAndroid OSを搭載していないため、各種ストリーミング再生に対応できないことや、Bluetoothコーデックの対応の少なさが5年前という時間を感じさせます。
それでも、PCM 384kHz/32bitとDSD 11.2MHzネイティブ再生とバランスイヤホン接続に対応していれば、ストレージ経由やネットワーク再生によるハイレゾ再生プレーヤーとしては現在でも十分でしょう。
DAPに限らず、オーディオ機器の価格の多くを占めるアナログ部や物量は数年程度では陳腐化しにくい要素でもあり、本機の再生音の実力は、最新機の定価15万円程度のクラスに負けるとは思えません。
そう考えると、現在のAK380の中古相場である約8万円は安いと思います。しかし、今後は、基板の不調によるメーカー修理ができなくなるため、AK380を中古購入しての長期間の維持の保証もできなくなります。
回転メカや高額ピックアップのないDAPはCDプレーヤーよりは故障しにくいでしょうが、屋外に頻繁に持ち出すDAPはやはり故障しやすいかもしれません。ただ、本機ほどの高級機になると、室内使用の時間の多いユーザーも多く、前ユーザーの屋外持ち出しによる故障のリスクは普通のDAPよりは低いような気がします。
また、消耗品であるバッテリー交換についてはまだメーカー対応できるので、この点では安心です。
それでも、本体修理不可の要素により、今後のAK380の中古価格は今よりも下落する可能性は高いのではないでしょうか(DAP+Astell&Kern)。