一般的なダイナミックマイクに比べて高音質なのが魅力の「コンデンサーマイク」。従来からの音楽制作での録音での使用に加え、最近ではゲーム実況や動画配信など、幅広いジャンルでユーザーが増えてきています。
最近ではUSB接続できるマイクも登場するなど製品の範囲も広がっています。となると、初心者にとっては、どの製品を選ぶべきか迷うことでしょう。そこで、コンデンサーマイクの選び方やおすすめのモデルなどをご紹介します。
- コンデンサーマイクとは
- コンデンサーマイクの選び方
- コンデンサーマイクのおすすめメーカー
- コンデンサーマイクのおすすめモデル
- オーディオテクニカ(audio-technica) サイドアドレスマイクロホン AT2020
- ソニー(SONY) エレクトレットコンデンサーマイクロホン ECM-PCV80U
- シュア(SHURE) MOTIV MV88 iOS デジタル・ステレオ・コンデンサー・マイクロホン
- シュア(SHURE) KSM9 コンデンサーボーカルマイクロホン
- タスカム(TASCAM) コンデンサーマイクロホン TM-80
- マランツプロ(marantz PROFESSIONAL) MPM-1000 Large Diaphragm Condenser Microphone
- ブルーマイクロホン(Blue Microphones) blackout yeti STUDIO
- レイザー(Razer) Seiren Emote RZ19-03060100-R3M1b
- ロード(RODE) NT1-A 1インチ・カーディオイド・コンデンサーマイク
- ブルーマイクロホン(Blue Microphones) Bluebird SL
- アーカーゲー(AKG) C314
- ゼンハイザー(SENNHEISER) Vocal Condenser Microphone e 965
- ノイマン(NEUMANN) TLM103
コンデンサーマイクとは
コンデンサーマイクとは、電気をためることができる素子である「コンデンサー」を使ったマイク。音の振動を電圧の変化にして伝送するのが原理です。簡単に使えるダイナミックマイクとは違い、電源の供給が必要ですが、感度が高く高音質な録音が可能なので、音楽制作に関わる多くのユーザーが選ぶ方式です。
電源の供給はファンタム電源から行うのが一般的。オーディオインターフェイスやマイクプリアンプと呼ばれる製品の多くには、標準で搭載されています。
コンデンサーマイクは、湿度や振動に弱いのが弱点ですが、繊細な音質と周波数範囲の広さが特徴で、音質面での魅力は大きいもの。おもに室内でのレコーディングや動画配信での使用に向いています。
コンデンサーマイクの選び方
指向性で選ぶ
指向性とは、マイクがおもに集音する範囲や方向を示します。コンデンサーマイクには「単一指向性(カーディオイド)」「無指向性」「双指向性」などが存在し、集音できる範囲は各モデルによってさまざまです。
「単一指向性」は、マイクの正面から音を拾うタイプ。周囲の雑音をカットしやすいので、ボーカル録音や動画配信に向いています。「無指向性」は、360°方向の音を拾えるタイプ。会議の様子を録音したい場合や環境音を捉えたい場合におすすめです。「双指向性」は、正面と背面の音を拾うタイプ。向かいあった対談やインタビューの録音に最適です。
接続端子をチェック
XLR
キャノンコネクターとも呼ばれるXLRは、業務用のマイク接続用端子としては標準的な規格です。ケーブルを外す際のロックボタンがついているのも特徴。
伝送経路で生じるケーブル内外からの影響を低減できる構造のため、長く引き回してもノイズが少なく、安定した音の伝送が可能なため、スタジオやDTMでの本格的なレコーディングに幅広く使われています。
高音質な高品位モデルも数多く、本格的な高音質録音を行いたいのであればまず選ぶべきタイプです。
一般ユーザーにおいても、録音や配信の「サウンド」にこだわりたい場合におすすめ。
USB
本来、パソコン用途に使われるUSB端子は、パソコンだけでなくタブレット、スマホでのUSB端子の普及に伴い、マイクを接続する端子としても使えるようになりました。
USB接続のコンデンサーマイクは、パソコンに直接つなげて使用できます。電源の供給も同じUSBケーブルで行います。別途、オーディオインターフェイスなどを購入する必要がないので、予算や機器の規模を抑えられるのがメリット。
ただし、音質はそれほど高くないのが普通です。楽器やボーカルを高音質に録音するよりも、動画配信やゲーム実況を手軽に行いたい方におすすめです。
3.5mmステレオジャック
3.5mmステレオジャックは、ヘッドホンやイヤホンの接続にも利用されている一般的で汎用性の高い端子です。現在も多くのパソコンやタブレット、スマホでマイク入力端子として採用されているので、使いやすいのがメリットです。スマホにコンデンサーマイクを直接接続したい場合におすすめ。
ただし、スマホに接続できるマイク端子は、3.5mm4極プラグが多く。3.5mm3極プラグは使用できない場合があるので、注意が必要です。
こちらも、XLRに比べると、手軽ではありますが、音質的にはそれなりな面は否めません。それでも、ダイナミック型を使うよりは繊細な高音質を簡単に手に入れたい場合にはおすすめできます。
価格で選ぶ
ダイナミックマイクに比べて、価格が高い傾向にあるコンデンサーマイク。それでも、エントリーモデルであれば安い製品も存在します。初めてコンデンサーマイクを購入する場合には、3万円までのモデルがおすすめ。この価格でも最近では、ハイコスパなコンデンサーマイクが多く製造されているので、エントリーモデルであっても、動画配信などでは十分に活躍します。
ゲーム実況や趣味で音楽製作・録音をしている方であれば、より品質の高い3~5万円のモデルが最適。ノイズが少なくクリアな音声が録音できます。本格的なレコーディングに使用したいのであれば、10万円前後のモデルがおすすめ。プロの現場で使用されているスタンダードなモデルが存在する価格帯でもあります。
コンデンサーマイクのおすすめメーカー
オーディオテクニカ(audio-technica)
長年コンデンサーマイクを作り続けている国内メーカー。比較的低価格ながら、高品質なコンデンサーマイクが多く、コスパに優れている点が魅力です。エントリーモデルから、プロの現場でも使われているモデルまで、幅広いラインナップを揃えているのも特徴。
ソニーほどの一般的知名度はないかもしれませんが、プロ業界をはじめとして日本を代表する音響機器メーカーとして揺るぎない地位を確立しており、製品の信頼性も随一。幅広くおすすめできます。
ソニー(SONY)
漫才用のマイクとしてテレビでも見る機会の多い「C-38B」は、じつはソニーが開発したコンデンサーマイクです。一般コンシューマー向けの機器をたくさん販売しているイメージもあるソニーですが、実際には業務用のオーディオ機器も数多く製造。もちろん、マイクも多くの製品を発売しています。
ラインナップが多く、価格も幅広いので、初心者から本格なレコーディングを行いたい方まで、幅広い用途におすすめできるメーカーです。
シュア(SHURE)
世界的に見るとまず有名なマイクメーカーとして挙げられる存在。シュアは「SM58」や「SM57」など、世界の業界ではスタンダードとされるダイナミックマイクが有名。
それだけでなく、コンデンサーマイクにおいても名機を送り出してきています。低価格でコスパに優れたモデルはもちろん、高音質な録音が可能なモデルまで、さまざまなコンデンサーマイクを製造。ロングセラーの定番モデルも多数あり、安定の品質を確保できる鉄板メーカーのひとつと言えるでしょう。
Lightning接続できる珍しいタイプのコンデンサーマイクも手掛けるなど、時代の変化に合わせた先端性と柔軟性も持ち合わせています。
コンデンサーマイクのおすすめモデル
オーディオテクニカ(audio-technica) サイドアドレスマイクロホン AT2020
エントリークラスながら、高いクオリティを備えたコンデンサーマイクです。専用設計のダイヤフラムにより、幅広い周波数特性を実現。単一指向性なので、サイドとリアからの集音を抑え、前方からの音声を的確に拾えます。ボーカルの自宅録音や動画配信にもおすすめです。
専用のスタンドマウントが付属しているので、好みのスタンドに取付け可能。キャリングポーチも同梱されており、スタジオに携帯するコンデンサーマイクとしてもおすすめです。
なお、USB入力に対応した「AT2020USB+」、さらに2020年8月には、通常モデルの本体に美しいメッキ仕上げを施し、振動ノイズを減衰するショックマウント「AT8458a」を付属した限定モデル「AT2020V」と「AT2020USB+V」もラインナップされています。
ソニー(SONY) エレクトレットコンデンサーマイクロホン ECM-PCV80U
2種類の接続方式が選択できるコンデンサーマイクです。XLR-3.5mm3極ケーブルに加え、USBケーブルが付属。同梱されているUSB Audio Box「UAB-80」を利用すれば、USBケーブルでパソコンと簡単に接続できます。
「UAB-80」は、オーディオ出力端子を備えているので、パソコンを介さずマイクの音をヘッドホンでモニタリング可能。低価格ながら卓上設置用のマイクスタンドも備えており、動画配信におすすめです。
シュア(SHURE) MOTIV MV88 iOS デジタル・ステレオ・コンデンサー・マイクロホン
iOSデバイスと相性がよいコンパクトなコンデンサーマイクです。本体にLightning端子を備えており、iPhoneやiPadに直接接続が可能。モバイルデバイスで簡単にクオリティの高い音声収録ができます。
マイク部は角度の調節や回転ができるので、音源を拾いやすい位置に設定可能。「ShurePlus MOTIV Video動画撮影アプリ」や、「ShurePlus MOTIV モバイル・レコーディング・アプリ」を使用すれば、MV88のオーディオメーターを自由にカスタマイズできます。モバイルデバイスで簡単に使用できるコンデンサーマイクとしておすすめのモデルです。
シュア(SHURE) KSM9 コンデンサーボーカルマイクロホン
世界中のアーティストに使用されているボーカル用コンデンサーマイクです。単一指向性だけでなく、さらに指向性を強めた「スーパーカーディオイド」にも切替え可能。ボーカリストの繊細なニュアンスをしっかりと集音します。
厳しい耐久性基準をクリアしているので、ライブで使用するコンデンサーマイクとしてもおすすめ。ジッパー付きのキャリングケースが付属しているので、安心して携帯できるのもポイントです。
タスカム(TASCAM) コンデンサーマイクロホン TM-80
幅広い用途に使用できるコンデンサーマイクです。18mmの大型振動板(ダイヤフラム)を搭載しており、放送用やボーカル・アコースティックギター・管楽器の集音など、さまざまな目的に使用できます。
振動を吸収するサスペンションやデスクトップスタンド、ケーブルなどが付属しているにも関わらず、低価格で購入できる点もおすすめです。
マランツプロ(marantz PROFESSIONAL) MPM-1000 Large Diaphragm Condenser Microphone
コスパに優れたXLR接続タイプのコンデンサーマイクです。高い感度を誇る単一指向性のマイクであり、低価格ながら高音質な録音が可能。ウインドスクリーン・ショックマウント・デスクトップスタンドなど、付属品も充実しています。
ボーカル録音からゲーム実況、動画配信と、幅広い用途に使用可能。初めて購入するコンデンサーマイクとしてもおすすめの製品です。
ブルーマイクロホン(Blue Microphones) blackout yeti STUDIO
DTMに使えるソフトが付属したコンデンサーマイクです。レコーディングソフト「PreSonus Studio One Artist Microphones Edition」や、マスタリングソフト「iZotope Ozone Elemena」が使用可能。USBや3.5mmステレオジャックで簡単にパソコンに接続でき、DTMでのボーカル録音におすすめです。
本体にボリュームやゲインコントローラー、ミュートスイッチを備えており、操作性にも優れています。指向性は「単一指向性」「無指向性」「双指向性」だけでなく、左右から集音する「ステレオ」を切替え可能。幅広い目的に使用できるおすすめのコンデンサーマイクです。
レイザー(Razer) Seiren Emote RZ19-03060100-R3M1b
8ビットのLEDディスプレイを備えた珍しいタイプのコンデンサーマイクです。本体正面にあるディスプレイには、100種類以上の動的/静的アイコンを表示可能。専用の配信アプリを利用すれば、設定したコメントやサブスクリプションなどに連動して、アイコンを表示できます。
指向性は、単一指向性を強めた「ハイパーカーディオイド」を採用。声のニュアンスを細かく捉えられます。柔軟性の高いマイクエクステンダーが付属しており、高さや位置を調節できる点もおすすめです。
ロード(RODE) NT1-A 1インチ・カーディオイド・コンデンサーマイク
エントリーモデルとして人気のコンデンサーマイクです。比較的低価格で購入できるにも関わらず、高品質なボーカル録音が可能。低ノイズ設計なので、ギターやパーカッションなど、楽器の録音にも最適。ホームスタジオ録音におすすめのモデルです。
ショックマウントやポップフィルター、ダストカバーが付属しているのもポイント。オンライン登録により、10年間の延長保証が受けられる点も大きなメリットです。コンパクトサイズで置き場所を取らない点でもおすすめできます。
ブルーマイクロホン(Blue Microphones) Bluebird SL
レトロでおしゃれなデザインのコンデンサーマイクです。伸びのよい高域と滑らかな中域が特徴。単一指向性のマイク部には、ハンドメイドの「ラージフラム・カプセル」が採用されており、厚みのあるサウンドの録音が可能です。
ショックマウントや木製のハードケースが付属。全周波数帯域でバランスに優れているので、ボーカルだけでなく、楽器の録音にもおすすめです。
アーカーゲー(AKG) C314
コスパに優れたハイクオリティなコンデンサーマイクです。ダイヤフラムは、上位機種である「C414 XLS」と同じモデルを搭載しています。
2枚のダイヤフラムを平行に設置した「デュアル・ダイヤフラム」設計により、近接効果によるノイズ発生を抑制。全帯域でクリアな音質を実現しており、微細なニュアンスまでしっかりと集音できます。
指向性は、使用用途にあわせて切替えが可能。「単一指向性(カーディオイド)」と、正面のより狭い集音を範囲に絞った「スーパーカーディオイド」に加え、無指向性や双指向性でも使用できます。背面のスイッチで簡単に切替えられる点もおすすめです。
ゼンハイザー(SENNHEISER) Vocal Condenser Microphone e 965
スタジオクオリティを備えたハイエンドなコンデンサーマイクです。単一指向性の高感度マイクは、「カーディオイド」と「スーパーカーディオイド」の切替えが可能。ライブステージでも充分使用できる堅牢性も兼ね備えています。
プロの現場での使用を想定して設計されており、バランスがよく、明瞭かつ高品位なサウンドが特徴。ハウリングの抑制力にも優れています。音質だけでなく、堅牢性にもこだわる方におすすめです。
ノイマン(NEUMANN) TLM103
老舗メーカー・ノイマンのエントリーモデルとして最適なコンデンサーマイクです。セミプロからプロまでのニーズに応えるクオリティを誇り、低ノイズでクリアなサウンドの録音が可能です。単一指向性で、艶のある高音域が特徴。ボーカルや楽器の音を立体的に捉えられます。
余計な機能を省き、ノイマンのコンデンサーマイクとしては低価格を実現。プロ用のコンデンサーマイク入門機としてもおすすめのモデルです。
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