以前からその登場が予告されていたダイソン初のヘッドホン「Dyson Zone 空気清浄ヘッドホン」が唐突に5月23日に国内発表され、当日中に発売されました。
本体カラーはウルトラブルー/プルシアンブルー、プルシアンブルー/ライトコッパーの2色。価格はウルトラブルー/プルシアンブルーが121,000円、プルシアンブルー/ライトコッパーが137,400円。
ダイソン初のヘッドホンというだけでも驚きですが、なんと空気清浄機能を内蔵、また、空気清浄用のシールドを装着して使用しているときのビジュアルの強烈さ、高額な価格など、発売前から話題になっていました。
なお、カラーによって価格が違うのは付属品の違いがあるため。ヘッドホン自体は同じものです。ウルトラブルー/プルシアンブルーモデルには静電活性炭フィルターが1セット(2枚)、プルシアンブルー/ライトコッパーモデルは2セット(4枚)付属。そのほかプルシアンブルー/ライトコッパーモデルにのみ、機内用ヘッドフォンアダプター、持ち運び用ケースなども付属。
外形寸法は240×210×200mm(幅×奥行き×高さ)、重さはヘッドフォン単体で595g、シールド装着時で670g。
空気清浄機能を搭載。各イヤーカップ内のコンプレッサーが、二重構造のフィルターを通して空気を吸い込み、浄化した空気を、取り外し可能な非接触型シールドを通して、着用者の鼻と口に届けるとしています。空気清浄機能の風速を低・中・高・オートから選択できます。
静電フィルターは、0.1ミクロンの微粒子を99%捕集し、カリウムを含んだカーボンフィルターが都市汚染の代表的な酸性ガスを浄化するとしています。微粒子はもちろん、酸性ガスを緩和することでニオイまでも大きく緩和できるとのこと。
ヘッドホンとしてはアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載したBluetooth対応ヘッドホンとなっています。
40mm口径のネオジムマグネットを用いた専用ドライバーを搭載。再生周波数は6Hz〜21kHz。ドライバーの出力は毎秒48,000回の高度な信号処理によって均等化。ノイズキャンセリングと組み合わせて、全周波数帯域に渡って、高周波の歪みを聞き取れないレベルまで中和するとしています。
ANC機能は、マイク8基を使用して、1秒間に384,000回周囲の音をモニタリング。最大38dBまでノイズを低減すると謳います。
2基のマイクによるビームフォーミング技術とノイズ抑制技術により、クリアな音声通話、音声録音、音声コントロールができるとしています。
操作部はイヤーカップ部の側面に搭載。スティック操作でさまざまな音楽再生操作ができるようになっています。
後述の専用アプリ「MyDyson」にて、高音域を鮮明にするエンハンスド、低音を強調するベースブースト、よりフラットなニュートラルの、計3モードのイコライザーが選択可能。
専用アプリ「MyDyson」に対応。空気環境データのトラッキング、オーディオ設定の切り替え、バッテリー残量の確認、フィルターの交換などが可能。
最長使用時間は約50時間(音楽再生のみ)。空気清浄時はモードによって異なり、1.5~4時間。
これまで、どこにもないタイプの製品だけに、各マスコミでも本機のレビューに苦慮している印象です。
というのも、ヘッドホンとして見ればオーディオ・ビジュアル系サイトの範囲ですが、空気清浄機は守備範囲外。逆に空気清浄機として見れば家電系サイトですが、そうなるとオーディオ機器についてはあまり詳しくないといったレビュー側の得手・不得手も影響しているような気がします。何より、これまでにどこも作らなかった、考えなかった製品ということは大きいのでしょうが。
当サイトも基本的にはオーディオ・ビジュアル系サイトなので、どうしてもヘッドホンとしての音質や性能に目がいきますし、空気清浄機についてはあまり詳しくないというのが本音です。ただ、本機のように口に当てるタイプの空気清浄機もこれまでにないのでしょうから、空気清浄機云々もあまり関係ないのかもしれません(元からあるガスマスク?に近いのでしょうか?)
ヘッドホンとしてのオーディオサイトのレビューや分析は興味深いものです。ダイソンのオーディオ製品参入第一弾、それもこれまでのノウハウを活かすというほどでもなく、全くの新規ということもあるのでしょう。従来型のオーディオメーカーとはかなり異なる製品作り・音作りのようです。
ダイソンはかなり響きを排除した評価用リスニングルームでGenericのアクティブモニタスピーカーを設置して音作りを行っているそうで、だからといって、いわゆるモニターライクとも異なり、音源をダイレクトに聴かせるもののようです。
既存オーディオメーカーのモニターライクといっても、実際にはメーカーごとの個性というか考え方があって、また、本当に素のままの音で音楽鑑賞というのも実際的ではないという面もあって、うまくバランスを取って仕上げているものです。
しかし、ダイソンはどうやら本当に素の音に近いものを提示してくるようです。そのこだわりは相当なようで、本当に付帯音や歪みを排除したクリーンでクリア、全音域に均等に配慮したサウンドになっているようです。なんだかダイソンの掃除機のコンセプトのようです。
そのサウンドは、たしかに音に悪影響のはずの要素を徹底的に取り除いたもので、音源本来の素の音のようです。ただ、現在のオーディオでこのような方向性を突き詰めると、音の響きが少ないように感じられたり、楽器の質感があまりにも素っ気なく感じたり、音楽として聴いていて面白くないと言われるような音になる場合も、レビューからはうかがえました。
原音や収録音に忠実なモニター用機器も検聴には使えるけれども、音楽鑑賞用としては使いたくないと言われる機器もあります。「Dyson Zone 空気清浄ヘッドホン」ももしかして、そのような音質傾向になっているのかもしれません。
ANC性能に関しては、38dBという謳い文句どおりの基本性能は有しているようです。自らが騒音現となる空気清浄機を至近距離で使いながらANCを行うという強引な状況ですが、空気清浄機を動かしていてもそうでなくとも十分なANC性能のようです。
ただ、トランスペアレンシーモード時に空気清浄機能を使うと、外音取り込み性能は若干落ちるようです。
アルミ製のシュラウド、適切な側圧と柔らかなタッチのイヤーパッドなどによって、気になる装着感は意外にも?良好なようです。高いだけあって、革製ショルダーバッグが付属するなどモノとしての質感はさすがに高級掃除機を普及させたダイソンだけあるようです。
Dyson Zone 空気清浄ヘッドホンは、その個性的でサイバーパンク的な外観でインターネット上で話題になっています。一部の人々は、このヘッドホンのデザインが未来的でクールだと感じています。一方で、他の人々は、このヘッドホンのデザインが奇妙で違和感があると感じています。人前で着けたくはないという厳しい意見もあります。
Dyson Zone 空気清浄ヘッドホンのデザインは、ダイソンの空気清浄機のデザインに似ています。ヘッドホンのイヤーカップには、空気清浄機と同じようなフィルターが搭載されています。このフィルターは、空気中の汚染物質を除去し、クリーンな空気を提供するものであり、こうした諸々の機構もあって、独特なデザインになったのでしょうか。
Dyson Zone 空気清浄ヘッドホンのデザインは、賛否両論ありますが、間違いなく注目を集めるデザインです。このヘッドホンは、空気汚染が深刻な都市で生活する人々にとって、魅力的な選択肢となるかもしれません。
日本で一般的にたくさん売れるのは難しいのではないかという憶測も多いですが、大気の空気汚染が激しい外国では需要がありそうという見立てもあり、世界規模で見れば売れる地域もありそうです。