生産終了機器情報。X7は中国FiiO(フィーオ)によるポータブルオーディオプレーヤー。2015年に実売9万円ほどで発売。当時のブランドフラグシップDAPでした。
1.4GHz Cortex-A9 CPUの「Rockchip RK3188」を搭載し、DACチップに「ESS ES9018S」を採用。RAMは1GB。
Android OSを採用し、純粋な音楽プレイヤーとして機能する「Pure Music モード」と、Android OS上でアプリの使用やブラウジングなどを行える「Androidモード」を利用できるなど、今日のようなAndroid搭載DAPの先駆けであり、また中国メーカーによるハイコスパな高音質DAPの先駆けとしても記憶されるべきポータブルオーディオ業界の名機です。
本体サイズは130(幅)×64(高さ)×16.6(奥行)mm、重量は220g。4型タッチパネルを採用。IPS液晶で、解像度は480×800ドット。電源は3500mAhリチウムイオンバッテリーを内蔵し、連続駆動時間が約9~10時間。内蔵メモリーは32GB、外部メモリーはmicroSDメモリーカードスロット1基で最大128GBに対応。
DSDは最大5.6MHz(ネイティブ再生)に対応し、DSF/DFFのほかにISOファイルの再生も可能。加えて、DXDにも対応。PCMはWAVファイルの64bit/384KHzを最大にハイスペックに対応。
USB-DAC機能やDLNA機能にも対応。Bluetooth受信も可能。各種イコライザー機能も搭載。
また、今日ではFiiO以外のメーカーも採用することのある着脱式モジュールも特筆点。別売りモジュールの交換により、ヘッドホンアンプの強化や2.5mmバランス接続に対応させられるなどの拡張性もあります。なお、後継モデルのFiiO X7 MKIIでも同じアンプモジュールを使用できます。標準状態では一般的な3.5mmステレオミニヘッドホン端子となっています。
FiiOのフラグシップDAPの系譜の最初のモデルであり、2021年現在はM15(実売15万円程度)がその座に当たります。
DAP業界は変化が激しいだけに、このX7はいろいろと古さは否めません。Androidのバージョンもアップデートしても5.1止まりのようです。Google Playには非対応。
ですから、Android機能を利用して最新のサブスクを楽しむにしてもいろいろと問題がありそうです(裏技などもあるようですが)。Spotify、Apple Musicは使えるようです。そもそもFiiO純正の操作アプリで動かして音楽を聴くのが基本のようです。
ただ、Android機能抜きに、純粋な単体DAPとしてみれば、DSDやPCMの再生スペックは実用上問題ありません。再生対応フォーマットで時期的な古さを感じさせるのはMQA非対応くらいでしょう。
Bluetoothまわりも古いでしょうが、これも有線メインなら関係ないでしょう。
つまり、本機は、純粋なDAPとしてはスペック的には問題はなく、中古価格が安ければ、最新のエントリークラスのDAPよりもDA変換からアナログ回路、ヘッドホンアンプに至る部分の品位では上回れるものと思われます。
実際、ネット上での中古価格は1万円台前半というものもあり、現行新品機で同価格帯のヘッドホン出力の音質が本機を上回れるとは思えません。
標準でバランス接続に対応していないのも弱点ですが、一応2.5mm接続対応モジュールのAM3も中古市場で購入可能です(相場は1.5万円くらい)。4.4mm対応のAM3Bもあります。
ただ、これも加えるとそれなりの価格になるので、本機だけを安く入手して、アンバランス駆動専用で使ったほうがコスパはいいと思います。
本機はまだ高級DAPが少なかった時代のモデルということもあり、著名レビュアーの長文レビューもあるなど、音質面では参考情報になりそうです。ただ、いずれのレビューも発売当時の評価基準で書かれていることは念頭に入れたほうがいいかもしれません。
https://sandalaudio.blogspot.com/2016/01/fiio-x7-dap.html
https://review.kakaku.com/review/K0000837738/#tab
https://one-hack.com/fiio-x7-review/