ラックスマンは、ベルトドライブ方式のアナログレコードプレーヤー「PD-151MARKII」を2022年5月に発売。価格は393,800円。
前モデルの「PD-151」は2018年11月に発売され、高性能でハイコスパなレコードプレーヤーとして人気を集めていましたが、2020年に搭載アームのメーカーが休眠会社となりアーム供給が途絶えた事で、2021年7月に完了となっていました。しかし、「PD-151」の売れ行き自体は好調であり、同程度の製品の需要も見込めるということから、アーム供給を変えての後継機の開発を行ったものです。
そこで、新たに開発したオリジナルアームを搭載したのが「PD-151MARKII」。
トーンアームは、初動感度に優れたSAEC開発のナイフエッジ技術を採用したスタティックバランス型の「LTA-309」を新たに搭載。
S字アームの先端をユニバーサルタイプとすることで、ラックスマン「LMC-5」をはじめとする、様々なカートリッジの装着・交換を容易にし、汎用性を確保しています。
LUXMANロゴ⼊りオリジナル・ヘッドシェルが付属。ヘッドシェル自重は13g。適合カートリッジは4~10g。「PD-151」では適合カートリッジは4~12gでしたので、少し変わっていますのでご注意ください。
ドライブモーターは、PD-151開発時に完成させた、オリジナル仕様の低速度・高トルクのブラシレスDCモーターを搭載。ワウ・フラッターは0.04%以下。サイン波PWM、PID制御方式による正確な回転数を実現。レコード回転数は33 1/3rpm、45rpm、78rpmの切替式で、各回転数独立調整機能を備えています。
ターンテーブルは、極厚のアルミ材を削り出して製造された4kgの重量級プラッターと、複数の軸受構造を組み合わせた16mm径の高硬度ステンレス製スピンドルシャフトで、高い慣性力による安定した回転を生み出します。
内部パーツを10mm厚アルミ削り出しのトップパネルに取り付けた、独自のアンダースラング(吊り下げ)方式により高剛性と制振性を両立。振動源となるモーターと電源トランスは制振ゴムでフローティング。底部の大口径インシュレーターにも、温度特性に優れた制振ゴムを採用。高さ調整(最大8mm)が可能。
「PD-151」から装着方向を変更し、端子全体でケーブルの重量をサポートできるようにした金メッキ仕上げのACインレットを採用。従来より導体を太くしながら取り回しの良いスリムタイプに進化したノンツイスト構造の新電源ケーブル「JPA-10000i」が付属しています。「PD-151」では「JPA-1000」が付属していました。
カートリッジ出力にはスタンダードなDIN→RCA端子タイプのOFCフォノケーブルを付属。
別売オプションとして、カムサポート式ヒンジ装備の専用アクリル製ダストカバー(55,000円)を用意。ヘビーウエイト(価格未定)、ヘッドシェル(価格未定)も発売予定。
外形寸法は465×393×132.5mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は15.8kg。消費電力は5W。
基本的にはトーンアームの変更で、すでに完成度の高い全体の設計にはほとんど手は加えていないようです。電源ケーブルも変更されており、トーンアームの変更と合わせてどのように「PD-151」と音が変わったのか、あるいは変わっていないのかは注目されるところです。
各種レビューによるとPD-151MARKIIのサウンドは、ナイフエッジ技術を採用したスタティックバランス型トーンアームへの変更の効果か、キレがよく、明快でタイトな傾向の音質のようです。ここは従来とはやや異なるようです。
一方、従来のPD-151でも備えていた、S/N感の高い静寂なサウンドや、肉付きの良い密度のある音表現などはうまく継承しているようで、総じて、レコードならではの厚みのあるサウンドと、現代的なリアリティーを両立した素晴らしいプレーヤーとなっているようです。
レコードプレーヤーにはさらなるハイエンドモデルがあり、当のラックスマンにもPD-191Aといった高級機があります。そうしたもっと上の機器と比べると、高度な繊細感や、消え入るような余韻といった細かな音の描写力はやや不足しているようです。この領域となるとレコードではかなりコストをかけないと難しいだけに仕方ないでしょう。
このクラスにもなるとカートリッジは付属せず、自分で選んで好みのサウンドを追求することになりますが、個々のカートリッジの能力を引き出すだけの基本性能の高さも備えているようです。
カートリッジ選びに悩みたくなければ、いわば純正の「LMC-5」がありますが、結構高価。DENON DL-103Rのような数万円クラスでも超定番のロングセラーあたりでも楽しめるようです。