パナソニックの4K液晶テレビ・VIERA 2020年モデルのハイクラス機・HX900/HX850シリーズは同じく2020年モデルのスタンダードクラス機・HX750シリーズと比較して何が違うのかを解説します。
おおまかに言って、HX750シリーズはHX900/HX850シリーズよりもおもに画質面でのグレードが下がった普及機という位置づけ。画質にこだわるよりも、より手頃な価格で4K液晶テレビ、それもパナソニックの現行機が欲しいという人に向いているでしょう。
なお、HX900/HX850シリーズとしてひとまとめにしていますが、この両シリーズは基本的に画質、音質、機能は同じで、展開サイズが異なるのが違いという程度です。HX900シリーズは55、65、75V型の大きめの3サイズで、HX850シリーズは43、49V型と小さめのサイズをラインナップ。
そのほか、HX900のスタンドにはスイーベル機能が備わっており、テレビの画面を簡単に左右に動かす事ができるのがHX850との違いです。
こちらのページでHX900/HX850シリーズの内容を詳しくご紹介しているのでこちらも参考にしてみてください。
HX900/HX850シリーズとHX750シリーズの画質面の違いとしてはまず、HX900/HX850シリーズが倍速駆動対応、HX750シリーズは倍速駆動非対応が挙げられます。
動きの速い映像で、残像感を抑えられる機能である倍速駆動は、一定レベルの高画質液晶テレビでは一般的な装備ですが、いわゆる普及クラスでは搭載されません。この有無による価格差は必ずあるほどコストにも影響する要素です。
ただ、スポーツ観戦やゲームをあまりせず、ドラマや映画(ジャンルにもよりますが)、報道やバラエティーといったあまり動きの多くない素材では倍速なしでもあまり残像が気にならない場合も多いものです。
HX900/HX850シリーズでは画質処理エンジン「ヘキサクロマドライブ」や、地デジ放送も新4K放送も高コントラスト映像に高画質化する「AI HDRリマスター」、動きのある被写体をなめらかにくっきり表示する「オブジェクト検出 倍速処理」を搭載。
HX750シリーズでは上記とは異なり、「色忠実補正回路」「4Kファインリマスターエンジン」「クリアモーション」といった回路で高画質化を行います。
高画質化回路の内容・グレード差による画質の品位の違いは相応にあるはずですが、その差を大きいと思うか、小さいと思うかは、主に見るコンテンツの種類や視聴環境、主観にも左右されるとは思います。
HX900/HX850シリーズではLEDバックライトの明るさをエリア毎に分割駆動する「バックライトエリア制御」と、液晶パネルの輝度情報を微少なエリア毎に制御することで明暗の表現力を高める「エリアコントラスト制御」を搭載し、“Wエリア制御”で高いコントラストと階調表現を両立。HX750はエリアコントラスト制御のみ備えています。
なお、パネルはいずれもIPS方式のエッジ型となっています。HDRについても主要な4規格(HDR10/HDR10+/HLG/ドルビービジョン)に対応しています。
音質面ではいずれも、高さ方向の音表現も可能にする立体音響技術のDolby Atmosに対応。内蔵アンプの最大出力は合計30W。
独自の測定方法に基づいた位相補正により、音響特性・音像定位を改善。映像と音声で回路を分離するオーディオ専用回路も採用。低ノイズ・低歪みを実現したことで、クリアでパワフルな音声を実現としています。これらの説明はいずれも同じなので、どうやら音質面では基本的に3シリーズとも同様の内容のようです。
HX900/HX850シリーズでは転倒防止スタンドが付属していますが、HX750には付属していません。地震の多い日本だけに注目できる機能ですが、実際にはパナソニック以外のメーカーでは同様の機能を搭載していないだけに、どれだけ重視するかは個人の考え方によるところは大きいでしょう。
チューナー数はHX750シリーズではBS4K/110度CS4Kチューナー×2基、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×2基ですが、HX900/HX850シリーズでは4Kチューナーは2基で同じですが、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×3基となっています。
アプリや各種ネット動画サービスへの対応(Netflix、Amazon Prime Video、YouTube、Hulu、U-NEXT、ABEMA、dTV、デジタル・コンサートホール)は同等。
一方、HX900/HX850シリーズにはリモコンに音声操作マイクを内蔵。音声入力で番組やインターネット動画の検索、録画予約、チャンネルや音量変更といった操作ができます。GoogleアシスタントやAmazonのAlexaにも対応。HX750ではこの音声操作マイクがありません。ただし、GoogleアシスタントやAmazonのAlexaに対応したスマートスピーカーを使うことでHX750でも音声操作は可能です。
サイズ展開面では、HX900シリーズは55、65、75V型の大きめの3サイズで、HX850シリーズは43、49V型と小さめのサイズをラインナップしており、両シリーズを合わせて4Kテレビとしては小型から大型までをカバーしています。
一方、HX750シリーズは43、49、55V型の3サイズのラインナップ。どちらかというと、4Kテレビとしては小型から普通サイズでの展開となります。これはHX750シリーズを買う人はできるだけ価格を抑えて4Kテレビを買いたい傾向があるため、サイズが大きいだけで価格が高くなる65型以上のラインナップは置かなかったのかもしれません。
もっとも、このようなサイズ展開はメーカーごとに考えは異なっており、ソニーではスタンダードクラスの4K液晶テレビでも75型を展開しています(例:KJ-75X8000H)。
そのほか、デザイン面ではHX900シリーズは55、65型でパネル面とフレームの段差をなくしたフラット構造により、スタイリッシュなデザインを実現している一方、HX750の55型では従来通りなので、特に55型だけでの比較ではHX900のデザインが優れていると言えるでしょう。
以上のように見てみると、Panasonic HX900/HX850シリーズとHX750シリーズはおもに画質面が異なるものの、そのほか、音質面や機能面ではそれほど違いはありません。基本的に同じパナソニックの中で比較検討するならどれだけ画質にこだわるのか、サイズや予算との兼ね合いも含めて考えることになるでしょう。あとはデザインや転倒防止機能の有無でしょうか。
他社との機能面での比較で言えば、ソニーやシャープのようにAndroid OSは搭載していないので、多機能性やアプリ追加の自由性は少ないのは弱点ですが、一方では対応機器から4K録画番組を4K解像度のまま受信・再生できる高度なDLNA機能はパナソニックだけのアドバンテージなので、その点も比較検討のポイントになるでしょう。(4Kテレビ+Panasonic)