S.M.S.L D400EXは、プリアンプとDACを一体化したデジタルセンター(USB入力対応単体DAC)です。国内アマゾン価格は約14万円。以下に特徴をまとめます。
ハイレゾ音源に対応:D400EXは、DSD512やPCM768kHz/32bitまでのハイレゾ音源に対応しています。MQAにも対応しています。
AK4499EQ DACチップ搭載:D400EXは、AK4499EQ DACチップを搭載しており(AK4191EQと組み合わせ)、高精度な音質を実現しています。
Bluetooth 5.0対応:D400EXは、Bluetooth 5.0に対応しており、スマートフォンやタブレットと接続することができます。LDAC(24bit/96kHz)・aptX・aptX-HD・AAC・SBCといった様々な高音質Bluetoothオーディオにも対応。
ボリューム調整機能:リモコンによる音量調整が可能で、ヘッドホンの音量やスピーカーの音量を簡単に調整することができます。
フィルター切り替え機能:D400EXは、デジタルフィルターを切り替えることができます。それぞれのフィルターにより、音質の特性を変化させることができます。
可変ライン出力を搭載:D400EXは、可変ライン出力を搭載しており、単体DACとしても、プリアンプとしても使用することができます。
高効率電源と高精度クロック:D400EXは、高効率スイッチング電源と高精度クロック回路を搭載しており、ノイズの影響を受けにくく、安定した音質を実現しています。
以上のように、D400EXは、ハイレゾ音源に対応しているほか、AK4499EQ DACチップを搭載しており、高精度な音質を実現しています。また、Bluetooth 5.0に対応しているため、スマートフォンやタブレットとも接続可能であり、プリアンプとしても使用することができます。
「AK4191」と「AK4499EX」の技術的特徴と音質的メリットは?
「AK4191」と「AK4499EX」はセットでオーディオデバイスのデジタル-アナログ変換器 (DAC) チップで、音声信号をデジタルからアナログに変換する役割を担います。以下にそれぞれの技術的特徴と音質的メリットを簡単に説明します。
AK4191:
デジタルデータコンバーター。DA変換におけるデジタル信号処理を AK4191にて行うことで、アナログ出力へ重畳するデジタルノイズの影響を極限まで低減し、聴感上の S / N 感を向上させられると謳っています。マルチビット デルタ・シグマ モジュレーター、256倍オーバーサンプリング処理のデジタルフィルターを搭載。64bit/1536kHz の PCM データ入力、DSD1024(44.8MHz)データ入力が可能。
クロストークの低減やイメージングの向上など、高品質なサウンド再生を実現しています。
低ノイズ回路を採用しており、高い信号対雑音比 (SNR) を実現しています。
電源電圧が低くても動作する低消費電力設計で、バッテリー駆動のポータブルオーディオ機器にも適しています。
AK4499EX:
デルタ・シグマ型のDACチップ。トップエンドのDACチップの1つであり、32ビット8チャンネルDACアーキテクチャを採用しています。フルディファレンシャル回路設計により、SNRやダイナミックレンジ (DR) が向上し、高品質なサウンド再生を実現しています。
製造プロセス因のノイズを抑制する新開発の「DWA ROUTINGテクノロジー」により、従来フラッグシップ「AK4499EQ」を超える世界最高クラスのアナログ特性を実現したと謳っています。
「AK4499EX」のSN比は135dB、THDは-124dB。
従来フラッグシップの「AK4499EQ」はSN比が134dB、THDが-124dBでした。
DSD512などの高解像度音源に対応しており、より自然な音色表現を可能にしています。
どちらのDACチップも高品質なサウンド再生を実現しており、両チップを組み合わせることで現代最高峰のスペックと音質を実現できるとしています。ただし、その音質差は個人の感覚によって異なるため、必ずしもAK4499EX+AK4191が優れているとは限りません。また、実際の音質はDACチップ以外にも周辺回路や実装方法などに影響されるため、製品全体のバランスが大切です。
XMOS Technologies社のXU316 USBプロセッサーは、USBオーディオデバイスの開発に用いられるプロセッサーで、以下に特徴を挙げます。
大容量データの高速処理が可能
XU316は、最大16本のコアを搭載しており、USBオーディオデバイスから送信される高速・大容量のデータを高速処理することができます。
USB Audio Class 2.0対応
XU316は、USB Audio Class 2.0に対応しています。これにより、高品質なオーディオストリームの転送が可能となります。
多様なオーディオフォーマットに対応
XU316は、多様なオーディオフォーマットに対応しており、PCM, DSD, DoP, AC-3などのデジタルオーディオ信号をサポートしています。
柔軟なプログラミングが可能
XU316は、C/C++などの一般的なプログラミング言語でプログラミングが可能です。また、XMOS独自の開発環境「xTIMEcomposer Studio」を使用することで、より簡単かつ柔軟なプログラミングが可能となります。
低ジッターのクロック回路を搭載
XU316は、低ジッターのクロック回路を搭載しており、高品質なオーディオ再生を実現することができます。
以上のように、XU316は高速処理や多様なオーディオフォーマットに対応することができ、高品質なオーディオストリームの転送に適したUSBプロセッサーです。
SMSL D400EXは、Qualcomm社製の最新のQCC5125 Bluetoothプロセッサを採用。
Qualcomm社製QCC5125 Bluetoothプロセッサは、Bluetoothオーディオ機器の開発に用いられるプロセッサで、以下に特徴を挙げます(D400EXでは関係ない特徴もあります)。
高音質オーディオサポート
QCC5125は、最新のBluetooth 5.2に対応し、高音質オーディオの再生が可能です。また、Qualcomm社独自のaptX Adaptiveコーデックにも対応しており、高品質な音声をワイヤレスで伝送できます。
高性能プロセッサー
QCC5125には、64ビットのクアッドコアプロセッサーが搭載されており、高速で安定した処理を行うことができます。また、最新のDSP技術により、高品質な音声処理を実現します。
ノイズキャンセリング技術
QCC5125には、Qualcomm社独自のノイズキャンセリング技術が搭載されており、周囲の騒音を自動的に取り除くことができます。
高度な接続性能
QCC5125は、Bluetooth 5.2に対応しており、高度な接続性能を発揮します。また、Qualcomm社独自のTrueWireless Mirroring技術により、左右のイヤホン間の遅延を最小限に抑えたワイヤレスイヤホンを実現します。
長時間のバッテリー駆動時間
QCC5125には、省電力機能が搭載されており、長時間のバッテリー駆動時間を実現します。また、Qualcomm社独自のQuick Charge機能により、短時間での充電が可能です。
以上のように、QCC5125は、高品質な音声再生やノイズキャンセリング機能、高度な接続性能など、Bluetoothオーディオ機器に求められる機能を備えたプロセッサーです。
仕様 | 値 |
---|---|
入力端子 | USB/光ファイバー/同軸/I2S/Bluetooth/AES |
出力端子 | ライン(RCA)、バランス ライン(XLR) |
THD+N | 0.000067%(-123.5dB)、0.000053% (-125.5dB)(A-WTD) |
ダイナミックレンジ | XLR:133dB RCA:128dB |
SNR | 133dB |
Bluetooth ver | BT5.0(LDAC・APTX・APTX-HD・AAC・SBCに対応) |
USB伝送方式 | 非同期伝送 |
対応OS(USB接続) | Window7/8/8.1/10/Mac OSX10.6以降/Linux/Android(otg)/ios(AppleLightning-USB camera kit) |
対応ビット | USB/I2S: 16bit/24bit/32bit/1bit 光ファイバー/同軸: 16bit/24bit/1bit |
対応サンプリングレート | USB/I2S:PCM 44.1~768kHz DSD64、DSD128、DSD256、DSD512 |
光ファイバー/同軸: PCM 44.1~192kHz | |
MQA decoder | USB/光ファイバー/同軸/AES |
MQA-CD decoder | 光ファイバー/同軸/AES |
消費電力 | 6W |
スタンバイ電力 | <0.5W |
サイズ | 高さ46mm×幅188mm×奥行き240mm |
S.M.S.L D400EXの各種レビューから以下のような傾向が読み取れます。
高品質な音質を提供するため、最新・高性能のDACチップと最新のXMOSプロセッサーが搭載されており、解像度の高い音楽にも対応していると評価されています。対応フォーマットやスペックにも不足はありません。
とくに旭化成エレクトロニクス(AKM)のフラッグシップDACチップ「AK4191」&「AK4499EX」デュアル搭載という構成は、2023年現在、多くのオーディオ愛好家が注目している構成であり、このDAC構成だけでとりあえず入手しておきたいと言われるほどです。
音質については、AKMのDACの特徴と言われる自然さや柔らかさを備えつつ、ハイスペックなDACチップらしい豊富な情報量や緻密な再現性も備えているようで、ワイドレンジでフラット、聴感上のSN比の高い、いわゆるオーディオ愛好家が好む音調ではあるようです。そのうえで繊細さや美麗さも含んだ音楽鑑賞向けの性質もあり、オールマイティー的なよさを持つようです。搭載チップならではの音質的アドバンテージとして、卓越的な生楽器の質感の自然さや、音色パレットの豊富さ、音場空間の奥行方向の描写力があるようです。
また、中華DACとよくある弱点と言われる、いわゆるデジタル臭い音(情報量は多いが楽器の質感や輪郭が人工的で不自然、左右の広がりはあるのに楽器の前後関係の描写力が弱い、高域はきつく、低域は薄い、全体に圧迫感を感じるなど)の傾向もほとんど感じられないようで、単体DACとして完成度の高い好モデルに仕上がっているようです。
Bluetoothの接続安定性に関して、QCC5125プロセッサーの採用により改善されているとの意見が多数あります。対応コーデックも現行の据え置き機としてはまずまずです。
デザインがスタイリッシュで、比較的コンパクトでありながら、高音質な再生ができることが評価されています。
一部のレビューでは、価格がやや高いという指摘もありますが、高品質な音質や機能性を考慮すると、むしろコストパフォーマンスは良いとの意見もあります。なかには既存の大手メーカー製なら100万円クラスの音が出ているという感想もあり、人にによってはウルトラハイCPなモデルかもしれません。
一方、中華DACとしては結構高額といっても、単体DACとしてはハイエンドとは言えないクラスのため、電源(スイッチングを採用)やアンプ回路やクロック性能といったところに、部品・製造コストの限界があります。そのため、内外のハイエンドクラスのDACとは音質差(アタックの瞬発力や低音に腰の入った感じ、電源のチープさによってノイズっぽくなるなど)があるのも現実なようです。ただ、その差は人によっては気にならない、気が付かないかもしれないですし、この価格でこの音なら満足ということも十分あり得るでしょう。
本機よりはるかに高額な大手メーカー製の単体DACでも、DA変換にまつわるデジタル領域での諸問題を全て解決できているわけではありません。しかもそれが音質に影響を及ぼしていると考えられる現状では、単体DACとして適度な価格で、現在最高峰のDACチップを積んでいる本機を導入し、今後さらに新型のDACチップを積んだSMSLの新型に乗り換えていくといったほうが、現実的な気もします。
要は単体DACとして、よほど本格的にこだわったシステムにまでいかない、求めないのであれば、幅広いユーザー・使い方に適応できる汎用性の高い最新DACと言えそうだということです。デスクトップメインのPCオーディオ用の範疇なら、これで十分という印象でしょうか。