ソニーは、新開発の“認知特性プロセッサー”「XR」を搭載する4Kテレビ「BRAVIA XR」シリーズを2021年モデルとして発表。液晶テレビでは「X95J」「X90J」の2シリーズを発表しました。
このうち、下位に当たる「X90J」シリーズは、2020年モデルのハイクラス機「X9500H」相当の実力があるとされています。
そこで、「X90J」シリーズと「X9500H」シリーズを比較しての違いを解説し、どちらを選ぶのがお得なのかがわかるようにします。
「X90J」シリーズの内容や特徴はこちらの記事で詳しくご紹介しています。
また、「X9500H」シリーズの内容や特徴もこちらの記事で詳しくご紹介しています。
■X90Jシリーズ(実売価格は発売当初の予想)
・XRJ-75X90J(75型)385,000円前後 5月22日発売(2021年)
・XRJ-65X90J(65型)297,000円前後 5月1日発売
・XRJ-55X90J(55型)264,000円前後 5月1日発売
・XRJ-50X90J(50型)209,000円前後 4月24日発売
■X9500Hシリーズ(実売価格は2021年5月現在)
・KJ-75X9500H(75型)320,000円前後
・KJ-65X9500H(65型)220,000円前後
・KJ-55X9500H(55型)140,000円前後
・KJ-49X9500H(49型)110,000円前後
両シリーズのサイズラインナップはほとんど同じですが、最小サイズが「X9500H」では49型に対して、「X90J」シリーズでは50型となっていることに注意してください。
実売価格は旧モデルで型落ちになるタイミングの「X9500H」シリーズと発売当初の価格となる「X90J」シリーズでは同列に比較できないことにも留意してください。
液晶テレビの画質を大きく左右する映像エンジンを2021年モデルの上位クラスでは一新。
「X90J」シリーズでは新プロセッサー「XR」を搭載。人の認知特性に基づく分析も行う「XR Picture」、映像とともに音も同時に処理できる「XR Sound」から構成。
新プロセッサー「XR」は人間の認知特性を取り入れた処理を行うようになったことを特徴としています。
従来は色やコントラストといったような映像信号を個別に処理していたものを「XR」ではまるで人の脳のように映像信号を横断的に分析するという原理。
要は「X9500H」シリーズで搭載していた「X1 Ultimate」よりも大幅に向上した映像エンジンということです。
そのため、「X9500H」シリーズで搭載していた各種の高画質化回路(4K アップスケーリング、HDR リマスター、トリルミナス プロ、モーションクラリティー、など)の頭にすべて「XR」が付いて、新プロセッサー「XR」によるさらなる高画質化を実現していることをアピールしています。
さらに、「X90J」シリーズでは、刻々と変化する夕焼けの赤や紫など、微妙な色合いもリアルに再現する「XR スムージング」も新搭載。
明るい部分を、より明るく映し出すための回路である「XR Contrast Booster(コントラストブースター)」も新搭載しています。
「XR」プロセッサーは、新たにサウンドも処理。高級オーディオにも採用されるDSPも新搭載。それぞれのスピーカーに最適な帯域を割り振ることで、定位感の向上を実現したとしています。あらゆる音源を臨場感あるサウンドにする「XR Sound(エックスアール サウンド)」として高音質化をアピールしています。
いずれのシリーズにおいても、立体音響を強化したサラウンド規格である「ドルビーアトモス」に対応しています。
「X90J」シリーズでは2chステレオ信号も独自のアップミキサーで、5.1.2chへアップスケーリング可能な「3D サラウンド アップスケーリング」機能も新搭載。「ドルビーアトモス」だけでなく幅広い音源でより立体的なサウンドを楽しめます。
音声面では、「Acoustic Multi-Audio」を両シリーズとも搭載。まるで画面から音が出ているかのように音像を定位させられます。
両シリーズともフルレンジで低中高音を引き出せるという「X-Balanced Speaker」という新形状の振動版を搭載。
「X90J」シリーズはアンプを1個搭載の実用最大出力が20Wで、フルレンジ×2、ツイーター×2(10+10)(フルレンジとツイーターが1組で10W×2)。
「X9500H」シリーズはフルレンジとツイーターを分けて駆動するバイアンプ構成の実用最大出力が30W(10+10+5+5)と、アンプ構成と出力は「X9500H」シリーズのほうが上回っています。
アンプはいずれもソニー独自のデジタルアンプ「S-Master」を採用しています。
ソニーの近年のテレビというとAndroid OSによる多機能性も魅力ですが、今回はGoogleの最新スマートテレビOS「Google TV」を新搭載(Chromecast with Google TV相当の機能を内蔵)。
基本的に「X9500H」シリーズに搭載されていたAndroid OSであることに変わりはありませんが、YouTubeやNetflixなど各サービスのアプリが並んでいた従来のUIから、各サービスを横断してコンテンツをレコメンドしてくれる新UIになるなど、より使い勝手の向上を図っています。また、Googleアシスタントを搭載し、音声での操作が可能です。
Chromecast built-in、Apple AirPlay 2、Apple HomeKit、Amazon Alexaにはこれまで同様に対応。
「X90J」シリーズでは購入特典として、BRAVIA XRシリーズ専用コンテンツサービス「BRAVIA CORE(ブラビアコア)」も提供。ソニー・ピクチャーズの最新作や過去の名作などを配信で視聴できます。最大4K HDRの高画質で2年間見放題で見放題対象外の最新映画など10作品が見られるチケットが貰えます。
「X90J」シリーズは4Kチューナーおよび地デジ/BS/110度CSチューナーを3基ずつ搭載。外付けUSB-HDDへの4K放送2番組同時録画も行えます。2K/4K放送を問わず2番組同時録画と1番組の視聴が可能です。
一方「X9500H」シリーズは4Kチューナーは2基で4K裏禄対応に留まります。
「X90J」シリーズのHDMI端子はHDMI 2.1に規定される各項目のうち4K/120p、VRR(可変リフレッシュレート)、ALLM(自動低遅延モード)、に新対応。PS5などの最新ゲーム機への対応はこれで万全です(eARCにも引き続き対応)。
HDMI2.0に留まり、4K/60pまでの入力とeARCの対応に留まっていた「X9500H」とはこの点では大いに向上しています。
斜め視聴時でも広い視野角と高いコントラストを実現する光学設計技術「X-Wide Angle」については、「X9500H」シリーズ(49型は除く)のみ搭載。
視野角の広さの点では「X9500H」シリーズに分があります。
ネット動画ボタンに「Prime Video」と、新しくなったブラビア公式アプリ「My BRAVIA」が加わるなど、ボタン配置が少し異なっています。
いずれも倍速120Hz駆動のパネルを採用。バックライトは直下型で部分駆動にも対応。パネル方式はVA型。
HDR方式はいずれもHDR10、HLG、Dolby Visionをサポート。TSUTAYA TVで展開するIMAX Enhancedコンテンツに対応。またNetflix画質モードも備えています。
スタンドの位置を外側・内側に変更できる2wayスタンドを採用しているのは同様(どちらも最小サイズの49型、50g型では外側のみ)。
画質面・機能面・音質面ではいずれも「X90J」シリーズが「X9500H」シリーズを上回っているように見えます。
ただ、「X90J」シリーズで最初に発売される「XRJ-50X90J」が展示・発売され始めると、「X9500H」シリーズのほうが画質が良いように感じるという人もいて、なんとも言えないところです。一方で、「X9500H」シリーズよりも画質がかなり良いという感想もあり、難しいところです。
少なくとも、機能面、音質面では「X90J」シリーズが「X9500H」シリーズを上回っているのは間違いないようです。
何より、HDMI2.1関連、特に4K/120pへの対応はPlayStation 5やXbox Series Xで高品位にゲームを楽しみたい方にとっては重要です。4K/120pなどHDMI2.1関連を重視するならこの2モデルでは「X90J」シリーズとなります。
あとは、実売価格が「X9500H」シリーズは割安という現実的な面があります。4K/120pでのゲームをしないのであれば、予算と画質の違いを見比べて、機能の違いも考慮して、どちらを選ぶのもアリかもしれません(4Kテレビ+SONY)。