TEAC(ティアック)は、A4サイズのコンパクトな筐体の単品コンポ・Referenceシリーズの新製品として、USB-DAC搭載のネットワークオーディオプレーヤー/プリアンプ/ヘッドホンアンプ「NT-505ーX」を、2021年9月18日より発売。税込み価格は206,800円。ブラック(B)とシルバー(S)の2色を用意。
従来モデル「NT-505」の後継機。
「NT-505」に搭載されていたDACチップ・旭化成エレクトロニクス(AKM)製「VERITA AK4497」から、ESS Technology製「ES9038Q2M SABRE32 Reference DAC」にDACチップを変更するなど、両機を比較しての違いを交えつつ、「NT-505ーX」の内容をご紹介。
例によって、旭化成のDACチップが当面、供給が期待できない状況下で、DACチップを変更するとともに、アナログ処理部なども変更することで、新モデルとして従来以上のパフォーマンスを狙っています。
DACチップの変更により、ESS独自技術の32-bit HyperStream II DAC architectureとTime Domain Jitter Eliminatorが新たに利用可能になりました。これにより、優れたダイナミックレンジとリニアリティの向上を実現し、動特性に優れたより正確でクリアなオーディオ再生が可能になったとしています。「ES9038Q2M 」は左右に各1基モノラル使用されています。「NT-505」でも「AK4497」を同様に2基使用していました。
アナログ処理部には、「NT-505」で採用していた独自の電流伝送強化型出力バッファー回路「TEAC-HCLD」をさらに改良した、「TEAC-HCLD2」を4回路搭載。
新たに電流伝送能力の非常に高いラインバッファーアンプIC(LME49600)を採用し、片チャンネルあたり正負2回路構成とすることで、バランス出力の場合はディファレンシャル(差動)、アンバランス出力の場合はパラレル(並列)で駆動。
バランス出力時にはフルバランス駆動、アンバランス出力時には4回路を使ったパラレル駆動により、両出力ともに、より低インピーダンス化され、電流供給能力を高め、更に音楽の表現力をアップしているとしています。
従来から3点支持のフットも変更。微細振動に影響されにくく、安定した設置を可能にするというオリジナルの「Stressless Foot」を採用。削り出しスチール製フットを筐体底板に、ぶら下がる状態で取り付けることにより、安定感のある、より自然で豊かな響きを実現させているとしています。
新たにトップパネルにセミフローティングトップパネルを採用。トップパネルをネジでシャーシに締め付けず、サイドパネルのみで挟み込んだ半固定状態にすることで、開放感に優れた音を実現したと謳っています。
入力はLAN端子やUSBのほか、光/同軸デジタルとアナログ(RCA)も装備。USB端子はUSBメモリを挿しての再生にも対応。
対応音声フォーマットはDSDが22.5MHz、PCMが768kHz/32bitまで。MQAにも対応。
Bluetooth入力にも対応。SBC、AACに加え、aptX HDやLDACといった高音質コーデックにも対応しています。
USB伝送には一定のデータ量をコンスタントに転送して安定したデータ転送を実現する「Bulk Pet」技術も採用。音質の異なる4種類の転送モードを選ぶことができます。
5種類のPCMデジタルフィルター、2種類のDSDデジタルフィルターを搭載。DSD 24.5MHz、PCM 384kHz/32bitへのアップコンバートにも対応。クロックは44.1kHz系/48kHz系専用のデュアルクロック搭載。外部10MHzクロック入力にも対応。
OpenHome対応のほか、Spotify ConnectやRoon Ready対応、TIDALやQobuzへの対応などが可能となっています。LUMIN Appにも対応。TEAC純正の再生アプリケーション「TEAC HR Streamer」(Android・iPad/iPhone対応)も用意。
出力は、ヘッドホン端子のほか、XLRバランスとRCAアンバランスを装備。ヘッドホン端子は3.5mmステレオミニ端子×1のみ。
伝送ラインのホット、コールドも独立した4回路構成の可変ゲインアンプ型電子ボリュームであるアナログ音量調整器「TEAC-QVCS」も引き続き搭載。抵抗ラダーを切り替えることで0.5dBステップの高精度アナログ音量調整器として機能。高性能なプリアンプとしても使用できます。
外形寸法は290×248.7×81.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3.9kg。前から見る限り、外観上の違いもほとんどありません。
旭化成エレクトロニクスの工場火災の影響と思われるDACチップの変更をメインに、アナログ段の改善を図ったようなモデル。DACチップのグレードとしては従来よりも落ちているものの、全体の作りこみでむしろ最終的なアナログ出力の再生音は向上させようという意識があるようです。
具体的には「空間描写性と解像度特性が、一層、高まった」というファイルウェブのレビューに端的に表れているようです。