ハイセンスジャパンは、ミニLEDバックライトと量子ドット技術を搭載した、4K液晶テレビ「U9H」シリーズを2022年6月下旬より発売。
65型(65U9H)と75型(75U9H)の2サイズを用意。価格はどちらもオープン価格で、発売当初の税込み実売予想価格は65型が25万円前後、75型が35万円前後。
ハイセンスが日本国内で発売するテレビとしてはじめてミニLEDバックライトと量子ドット技術を搭載しているのが最大の特徴。
同時に発表された下位シリーズ「U7H」と比較しての違いも交えながら「U9H」シリーズの内容をご紹介。
(U7Hシリーズについては以下で個別にもご紹介しています)
「U9H」シリーズ最大の特徴が、繰り返しになりますが、ミニLEDバックライトと量子ドット技術による高輝度なディスプレイ性能。従来の液晶テレビで使われているLEDよりも小型の、高輝度LEDバックライトを直下に配置。それらを数多く敷き詰めることで、細部まで明るくメリハリのある鮮やかな映像表現を実現しています。ミニLEDバックライトは直下型になります。
バックライトから出た光の波長をナノサイズの半導体粒子で変換する構造により、鮮やかな色再現に寄与するという量子ドット技術も採用。従来の液晶テレビよりも純度の高い3原色(RGB)を生成し、現実に近い鮮やかな色彩を可能にしています。DCI-P3カバー率は約97%というハイスペックを実現しています。
「U7H」シリーズでは通常サイズのLED光源(直下型)を採用し、量子ドット技術も搭載していないのが違いです。
「U9H」シリーズのパネルは120Hzの倍速パネルを採用。
120Hz駆動を活かす、フレーム補間&3Dノイズリダクションの「クリアモーション」による滑らかな動きもポイントです。
倍速パネル、フレーム補間、「クリアモーション」はU7Hも同様に備えています。
「U9H」シリーズではミニLEDバックライトをエリアごとに細かく分割して制御する「ローカルディミングPro」(部分駆動回路)も搭載。明るい部分と暗い部分の差をはっきりと描写。映像の奥行き感がアップし、高いコントラストを実現しています。
「U7H」シリーズではパネルは倍速ですが、ローカルディミング自体採用していません。
「U9H」シリーズでは75型、65型ともに、IPS系の広視野角なADS方式を採用。「U7H」シリーズは85/65/50/43型はVA液晶、75/55型はADS液晶(IPS系)を搭載。
テレビの画質を大きく左右する映像エンジンは「U7H」シリーズと同じ「NEOエンジンPro」を搭載。NEOエンジンProは、2018年に東芝映像ソリューション(現TVS REGZA)と共同開発した映像処理回路の最新進化版で2022年モデルから新規に搭載されています。
最近の4K液晶テレビは4K以外の放送波やネット動画なども4K相当などの高画質にアップコンバートして表示してくれます。その回路の内容が「U9H」シリーズではさらにグレードアップしています。
「高精細ノイズ処理」、「エリア別適性露出復元」、「3段階超解像処理」という従来の処理に加え、
具体的には以下の4つの回路による画像処理が加わっています。
「AI放送高画質処理」
「AIネット映像高画質処理」
「AIシーン別超解像処理」
「AIモーション別超解像処理」
いずれも「NEOエンジン 2021」の内容に加わるものであり、さらなる高品位な高精細画像が楽しめます。
また、「美肌リアリティーPro」回路も新規で追加されています。
カラーマネージメントについても64色軸色彩コントロールが加わっています。
「U9H」シリーズのスピーカーは、左右にメインスピーカーとツイーター、背面のサブウーファー、そして上部に2つのイネーブルドスピーカーを備えた「7スピーカー立体音場システム」を使用。実用最大出力は70W。左右に加え、高さ方向の音表現も可能なDolby Atmosにも対応。イネーブルドスピーカーがあるため、Dolby Atmosの再現性も高まっています。
対して「U7H」シリーズはフルレンジのステレオスピーカー構成(10W+10W)にテレビ背面に20W出力のサブウーファーを搭載。実用最大出力は40Wで「従来の薄型テレビでは実現出来なかった迫力の重低音を実現する」としています。「U9H」シリーズよりはスピーカー数、アンプ出力は劣ります。
「U7H」シリーズもDolby Atmosにも対応していますが、イネーブルドスピーカーはないため、上下方向の再現性は「U9H」に譲ることになります。
音響最適補正技術「Eilex PRISM」やサウンドリマスター「Eilex FOCUS」は両シリーズで搭載しています。
以下、「U9H」シリーズと「U7H」シリーズで共通の内容です。
HDRは、HDR10をはじめ、HLGとHDR10+、Dolby Vision、Dolby Vision IOなど、さまざまなフォーマットに対応。
Dolby Vision IQでは、テレビ本体の光センサーで取得した部屋の明るさ情報をHDR画質処理に反映。室内環境に左右されることなく常に最適なDolby Vision画質で映像を楽しめる。HDR10+信号を部屋の明るさに応じて自動調整するHDR10+ ADAPTIVEにも対応。
「U9H」シリーズのHDMI入力は4系統で、このうちHDMI1~2は4K/120p入力に対応。VRRやALLMもでき、AMD FreeSync Premiumも新たにサポート。
2021年モデルからの「ゲームモード」は4K/120p入力時は約0.83msの低遅延を実現する「ゲームモードPro」に進化しています。
HDMI入力自動画質調整も備え、HDMI入力の音声フォーマットを解析し、接続したレコーダーで視聴しているコンテンツが録画番組か、Blu-rayかを判断して、適切な画質に自動調整してくれます。
「U9H」シリーズのチューナー数は、BS 4K/110度CS 4K×2、地上/BS/110度CS×3。別売りのUSB HDDへの録画に対応。4K放送の裏番組録画や、地上/BS/110度CSの裏番組を2番組同時に録画できます。(4K放送は2番組同時録画はできません。)
2021年モデルから引き続き独自開発のVIDAAプラットフォーム3.0を採用し、多彩なインターネット動画配信サービスに対応。
付属リモコンは、ボタンの文字の大きさを2021年モデルから改善して、より見やすくなり、リモコン裏面には滑り止め加工も施されました。抗菌加工も施されています。動画配信サービスのダイレクトボタンは6つから9つに増えています。
Bluetooth対応リモコンになったので、テレビに向けなくても使えるようになりました。
そのほかスマートフォンの画面をテレビに映し出せる「スクリーンシェア」や、Bluetooth接続、音声でチャンネル、音量、入力切替などが操作できる「VIDAA Voice」も新搭載しています。
「U9H」シリーズは、ハイセンスとしてはじめてミニLEDバックライトと量子ドット技術を搭載しているのが最大の特徴であり、いわばハイセンス国内モデル史上最高画質の液晶テレビです。
ただ、その分価格もそれなりであり、ハイセンスにコストパフォーマンスを求める向きには高いと思われるかもしれません。
同時発表の下位モデル「U7H」はミニLEDバックライトと量子ドット技術を搭載しておらず、ローカルディミングにも非対応、サウンドシステムもやや簡略化ですが、画質の多くに影響する映像エンジンが「U9H」シリーズと共通、そのほか、基本的な内容、機能も共通と、コスパの面では「U7H」シリーズのほうが優位かもしれません。「U7H」シリーズのほうがサイズラインナップがはるかに多いのも実際に選ぶときには大きなポイントでしょう。
参考:「U7H」シリーズのラインナップと発売当初の実売価格
85型「85U7H」 7月下旬 40万円前後
75型「75U7H」 6月下旬 25万円前後
65型「65U7H」 6月下旬 18万円前後
55型「55U7H」 6月下旬 14万円前後
50型「50U7H」 6月下旬 12万円前後
43型「43U7H」 7月下旬 11万円前後