直進性の強い風を遠くに届けて部屋の空気を循環させるための家電がサーキュレーター。エアコンなどの冷暖房具から発生する風を室内に効率よく広げたり、部屋干しの洗濯物を乾燥させたりするのにも役立ちます。
ただし、リビングや寝室でサーキュレーターを使用する場合は、騒音対策がしっかり施された機種を選びたいところ。また、当サイトでメインに扱っているオーディオにとってもサーキュレーターの騒音は大敵。使うなら少しでも静かな、しかし効果はあるモデルを選びたいところです。
そこで今回は、サーキュレーターの選び方や人気メーカーを踏まえた上で、静音性の高いおすすめ機種をご紹介します。
静音なサーキュレーターの選び方
静音性を重視するならDCモーター
サーキュレーターに搭載されているモーターにはACモーターとDCモーターの2種類があります。ACモーターは電気の周波数によって回転数が決まる仕組みですが、風量や音量を3〜4段階ほどしか調節できないので注意が必要です。価格が比較的安く機能もシンプルですが、やや作動音が気になる場合があります。
一方、DCモーターは入力する電圧によって回転数が決まる仕組みですが、無段階に風力を微調節できるのが特徴。風量と音量のバランスを幅広く選べるので、音が静かな微風も送れます。静音性にこだわりたい方にDCモーターはおすすめです。
ちなみに、静音性を重視する場合は「dB(デシベル)」という単位にも注目しましょう。静音性の高いサーキュレーターを入手したい場合は、目安として40dB以下の機種を選ぶと、高い静音性を得られます。
部屋の大きさで選ぶ
サーキュレーターを選ぶ際には、使用する部屋の大きさに適したモデルかどうかもポイント。風力が部屋の広さよりも小さい機種を選ぶと、部屋の隅々まで風を行き渡らせるのに時間がかかるため非効率です。逆に、風力が部屋に対して大きすぎる機種は消費電力が多くかかるため、電気代が余分にかかってしまいます。
カタログなどに記載されているスペック表では「適応床面積」や「到達距離○m」という項目を要チェック。一人暮らしなどのワンルームや寝室で使用する場合は適応床面積が6〜8畳の機種がおすすめです。比較的小さなリビングでは14畳前後、大きめのリビングでは24畳以上の機種を選びましょう。
使う場所で選ぶ
使う場所に適したサーキュレーターを選ぶのもポイントです。ベランダやキッチン・脱衣所・ロフトなど電源コードが届きにくい場所でも使用したい場合は、充電式バッテリーを搭載したコードレスモデルがおすすめ。コンセントから離れた場所にも簡単に設置できるので、さまざまな場所で空気の循環ができます。
また、小さな子供やペットがいる部屋で使用する場合は、羽根なしの機種がおすすめ。不意に手を入れて怪我をしたり、髪や毛が巻き込まれたりするなどのリスクを軽減できるため、安全に利用できます。
その他機能で選ぶ
首振り機能
サーキュレーターを扇風機の代わりや洗濯物の部屋干しにも使いたい場合は、首振り機能が搭載された機種がおすすめ。サーキュレーターは直進性の風を遠くまで届ける機器なので、本来は首振り機能を必要としません。
しかし、上下の角度調節や左右の首振り機能を備えていれば、扇風機のように広範囲に風を届けることが可能。空気の循環ついでに軽く涼を取ったり、部屋に干した洗濯物が乾燥するまでの時間を短縮したりできます。
タイマー機能
サーキュレーターの電気代を抑えたい方は、タイマー機能が搭載された機種がおすすめです。設定してから1時間後や2時間後に自動的に電源をオフにできるため、就寝後の電気代を効果的に節約できます。また、稼働音を気にせずぐっすり眠れたり、長時間の過剰使用による故障を防いだりするなどの恩恵が得られるのもポイントです。
似たような機能として切り忘れ防止機能があります。特にタイマーを設定しなくても、一定の稼働時間を過ぎると自動で電源がオフになるため、毎回いちいちタイマーを設定するのが面倒な方におすすめです。
リモコンの有無
広いリビングや寝室などでサーキュレーターを使用する場合はリモコンが付属する機種を選ぶのがおすすめ。風力調節や首振り・タイマー設定などの機能を遠隔から操作できるので、離れた場所からも快適に扱えます。また、寝室でも手元で操作ができるため、電源の切り忘れや強風モードのまま寝入ってしまうのを防げるのもポイントです。
サーキュレーターのなかにはリモコンが別売りの機種もあるので、遠隔で操作したい場合は付属リモコンの有無を確認しておきましょう。また、最近のサーキュレーターは多機能なので、頻繁に使いたい機能がリモコン操作に対応するかも合わせてチェックしておくのがおすすめです。
サーキュレーターのおすすめメーカー
アイリスオーヤマ (IRIS OHYAMA)
アイリスオーヤマは宮城に本社を置き、さまざまなジャンルの生活家電やペット用品を製造しているメーカーです。元々はクリア衣装ケースの開発から事業を始めましたが、2000年代からは生活家電にも参入。ユーザーのニーズを汲み取った製品開発を得意としています。
サーキュレーターでも幅広いラインナップを用意。「静音モード」を搭載した機種は稼動時の音量を35dB以下に抑えられるので、静音性にこだわりたい方にもおすすめです。また、部屋干し時に衣類の渇きムラを防ぎつつ乾燥を早められる「衣類乾燥モード」も、多くの機種で搭載されています。
山善 (YAMAZEN)
山善は大阪に本社を置き、生活家電から住設建材や産業機器まで幅広く取り扱っている総合商社です。大手家電メーカーに引けを取らない性能を持ちながら、搭載する機能を限定することで低価格を実現した「ジェネリック家電」の製造でも人気。2015年には第3回ジェネリック家電製品大賞に同社の扇風機が選ばれたという実績を持ちます。
サーキュレーターも山善では扇風機と並ぶヒット製品。設定温度より高くなると自動でオン・低くなるとオフになる温度センサーや、タバコやペットなど気になるにおいを消臭しながら風を送る、バイオフィルターが搭載された機種などが発売されています。
ボルネード (Vornado)
ボルネードはアメリカのカンザス州に本社を置く、サーキュレーターのトップブランドとして知られるメーカー。世界で初めてサーキュレーターを開発したことでも有名で、創業者で発明家のオダーが、航空力学を元にプロペラ飛行機のメカニズムを扇風機に取り入れたといわれています。
ボルネードのサーキュレーターは強力な空気循環力を持つのが特徴です。空気を攪拌(かくはん)するのではなく循環することに重きを置いた設計なので、大きな部屋でも快適な空気環境を実現しているのがポイント。機能性の高いデザインも魅力で、インテリア性の高いサーキュレーターを探している方にもおすすめです。
静音性の高いサーキュレーターのおすすめ
アイリスオーヤマ(IRIS OHYAMA) 強力コンパクトサーキュレーター PCF-C15T
一人暮らしの方におすすめなコンパクトで静音性の高いサーキュレーターです。サイズがわずか22×20.3×30.3cmの小型ボディにも関わらず、適応床面積は8畳まで対応。35dB以下に稼働音を抑えられる「静音モード」を搭載しているので、就寝時も音を気にせず使用できます。
また、首振り機能を搭載しているのもポイント。5分間風量強で上下左右に首振りする「強制攪拌モード」を使用すれば、部屋の温度ムラを少なくできます。冷暖房具の設定温度を抑えても部屋の温度を快適にキープできるので、光熱費の節約に効果的です。
そのほか、風量調節は3段階に対応。タイマー機能は1・2・4時間の設定が可能で、各モードの遠隔操作に対応するリモコンが付属します。事故・ケガ防止のために羽根に指が届きにくい設計なのもポイントです。
山善(YAMAZEN) DCエアーサーキュレーター YAR-XD182
DCモーターを搭載した小型でおしゃれなデザインのサーキュレーターです。最弱運転時は「静音モード」に対応しており就寝時に眠りを妨げません。4段階の風量調節が可能で、6畳程度までの部屋に対応しています。
左右に加えて、上下3段階の首振りが可能。冷気が下にたまる夏は45°、暖気が天井にたまる冬は90°、そして春秋は中間の75°という使い分けができます。操作は本体前面のタッチスイッチを使用。リモコンも付属し、遠くから各種操作ができます。
タイマーは4時間に設定可能。加えて、前回の運転終了時の状態で運転を再開できる「メモリー機能」が付いているため、使用の際にいちいち設定をし直す手間が省けます。トルネードガードは着脱式なので掃除が簡単にできるのもポイントです。
ボルネード(Vornado) モダンサーキュレーター 660-JP
約6〜35畳の室内に幅広く対応するパワフルな中型サーキュレーターです。独自の設計構造によって生み出された強力な竜巻状の風が、最長で25m先まで届くのが特徴。天井が高くて広いリビングやオフィスの会議室・ホール・店舗などでの使用にもおすすめです。
風量は4段階に調節が可能。「強」で運転するのは空気の循環を感じるまでの最初の数分だけで、通常は「弱」か「中」で十分なので電気代の節約に効果的です。加えて、弱運転時は51dB以下に音量を抑えられるため、静かな事務所と同じような環境で作業に集中できます。
空気循環を重視しているので、左右の首振り機能は非搭載ですが、上下は0〜90°までの角度調節が可能なため、季節や用途に合わせた使い分けができます。
コイズミ(Koizumi) コードレスマルチファン KCF-2392/W
1台で2役を兼ねるコードレスタイプのサーキュレーターです。最大で約8時間の連続運転が可能な充電式バッテリーを搭載しています。コードが届かない場所でも使用できるのはもちろん、設置する場所をコンセントのある位置に制限されず自由に変えられるのも魅力です。
DCモーターを採用しているため、静音性が高いのも特徴。10段階の風量調節に対応しており、「TURBO機能」を使用するとスイッチを押すだけで最大風量に設定できるので、今すぐ強い風がほしいときに重宝します。
手動による上下の角度調節や高さ調節に加えて、左右3段階の自動首振りに対応しているため、扇風機としても使用可能。1〜8時間までの4段階調節が可能なタイマー機能とリモコン操作にも対応しています。
パナソニック(Panasonic) 羽根なしサーキュレーター 創風機Q F-BP25Z
強力な送風性能を持つ羽根なしデザインのサーキュレーターです。流体力学から導き出された独特の球面デザインを採用しているのがポイント。周辺の空気を誘引することで風力を増幅できる構造のため、直進性の強いジェット気流を遠くまで届けられます。また、送風方向を自由自在に選べるのも特徴です。
また、扇風機としても使用可能で、「1/fゆらぎ」機能は高台のそよ風のような「心地よいと感じる自然のリズム」を再現します。風に長時間当たってもストレスを感じにくく、快適な空間で過ごせるのが魅力です。
涼しい印象の青と温かな印象のオレンジという2色のLEDによって空間を優しく照らせるのもポイント。また、別売りの首振りスタンドを組み合わせれば、左右方向に最大360°の回転が可能です。
まとめ
サーキュレーターには各用途に適した設置方法があります。冷気は下に溜まる性質があるため、冷房と併用する場合は床など低い位置に設置するのが最適。逆に、暖房と併用するときは暖気がたまりやすい上方向に向けるのが効果的な使い方です。サーキュレーターを上手く活用して快適な空気環境を整えつつ、電気代を賢く節約しましょう。
コメント