ベルリン・フィル「デジタル・コンサートホール」が、新たにハイレゾでの配信をスタート
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が運営する映像ストリーミングサービス「デジタル・コンサートホール」(DCH)が、新たにハイレゾでの配信をスタートさせることが発表されました。価格は据え置きで、年額149ユーロ(約19,400円)、月額19.9ユーロ(約2,590円)。
導入記念キャンペーンとして、7日間の無料キャンペーンも実施されます。
ハイレゾでの提供はまずはアーカイブ音源(オンデマンド再生)からスタートし、今後、生放送についても対応予定としています。音声フォーマットは最大96kHz/24bitのFLACとなっています。これまでのスタンダード:48kHz/16bit/320kbps、AACから大幅にスペックアップします。不可逆圧縮のロッシー音声からいっきにCD相当のロスレスも飛び越えてハイレゾ対応化となります。映像は最大4K。
ハイレゾ音声再生対応デバイスとしては、まずはスマートフォンアプリ(iOS/Android)とApple TVからスタートし、その他のTVおよびウェブブラウザは今後の対応となります。
このハイレゾ対応の実現は、「デジタル・コンサートホール」のストリーミングパートナーとして長く協力関係にある日本のインターネット企業IIJ(インターネットイニシアティブ)のサポートによるものとしています。
映像配信サービスとして世界で初めてロスレス音声を提供するという歴史的快挙を「デジタル・コンサートホール」が成し遂げます。オーディオ・ビジュアル愛好家にとっても待望のハイレゾ対応化でしょう。価格の据え置きもありがたいところです。
ベルリン・フィルと最新オーディオとの関わり
ベルリン・フィルと最新オーディオ・ビジュアルというと意外な取り合わせのようにも感じるかもしれませんが、ベルリン・フィルの芸術監督を長年務め、もはや歴史上の人物となっている、かのヘルベルト・フォン・カラヤンこそがCD(コンパクトディスク)の直径と収録時間の決定に関わったという逸話があるほどです。
ソニーはカラヤンを形だけのCD開発アドバイザーにしたつもりで、11.5cm直径で収録時間が60分の試作品を事後承諾を取ろうとカラヤンに見せたところ、「それではベートーヴェンの第9が一枚に収まらないからだめだ」と言われたことから現在の12cm、約75分という規格に決まったという経緯。このCDのサイズを基に現在の光ディスクのサイズも横並びになっていることも考えると非常に大きな影響です。
ベルリン・フィルとオーディオとの関わりを考えると今回、映像配信サービスとして世界で初めてロスレス音声(およびハイレゾ音声も)を提供するというのは不思議ではありません。
もし、カラヤンが今の時代に生きていたら、もう何年も早くに実現していたかもしれませんが。
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