FiiO BTA30 Pro Bluetooth送受信機能を備えたUSB-DAC
FiiOはBluetooth送受信機能を備えたUSB-DAC「BTA30 Pro」を12月2日に税込み実売価格約1.6万円で発売しました。
従来モデル「BTA30」(国内税込み価格1.2万円程度)の後継機。
「BTA30 Pro」の内容を「BTA30」と比較しての違いを交えながらご紹介
「BTA30 Pro」の内容を「BTA30」と比較しての違いを交えながらご紹介します。
外形寸法は120W×25.8H×55Dmmで、質量は145g。入力は光/同軸デジタルとUSB Type-C。
DACチップの変更とDACとしての対応スペック強化
DACチップは「BTA30」のAKM製「AK4490EN」からESS製「ES9038Q2M」に変更。旭化成の火事に伴うDACチップ供給の停止の影響でメーカーごとDACチップを替えています。
このDACチップの変更によるものか、DACとしての対応スペックが大幅に強化。
同軸デジタル入力時は最高192kHz/24bitのPCMと、DSD64(2.8MHz、DoP)のネイティブ変換に対応。光デジタル入力時は最高96kHz/24bit、USB入力時はPCMのみで最高48kHz/16bitまでと、やや中途半端だった「BTA30」から、
同軸デジタル入力時は最高384kHz/24bitのPCMと、DSD128(5.6MHz、DoP)のネイティブ変換に対応。USB入力時は最高384kHz/32bitのPCMと、DSD256(11.2MHz、DoP)のネイティブ変換に対応と大幅に向上。単体DACとしてほぼ十分なレベルに達しています。
Bluetooth送受信フォーマットは同様
Bluetoothチップは引き続きクアルコムの「CSR8675」を搭載。
Bluetooth受信機としてはSBC/AAC/aptX/aptX HD/LDACコーデックに引き続き対応。送信機としては、SBC/aptX/aptX HD/LDACに加え、aptX LL(Low Latency)にも引き続き対応しているBluetoothレシーバー/トランスミッター。送受信を問わず2台のデバイスの同時接続をサポートするBypass機能も搭載。ただし、LDACおよびaptX LL使用時は2デバイスへの同時送信はできません。
USB入力音声もLDAC送信できるようになったのは大きなポイント
LDACでの送信には、「BTS30」では送信させたい再生機器と光/同軸デジタル端子経由で接続する必要がありましたが、「BTA30 Pro」ではこの制約が撤廃。USB入力音声もLDAC送信できるようになりました。つまり、PCの音声を簡単にLDAC送信できるBluetoothトランスミッターになったわけです。この機能を切望していた人は多いようで、今回のモデルチェンジで大いに注目されるポイントです。
出力や電源関連
出力端子としてRCAアナログ出力×1、光/同軸デジタル出力×1。有線接続のみでDACとしても使えます。
ライン出力のボリュームを可変できるのでアクティブスピーカーなどにも直結できます。アプリ「FiiO Music」を使うことで、Bluetoothフォーマットの優先順位変更や音量調整などもできます。
電源はUSB端子からの供給が必要。Android端末はUSB OTG経由で使用できる可能性がありますが、個々の機種仕様に依存するため動作保証されません。また、Lightning端子を備えるiOS端末はUSB OTG経由でBTA30 Proに十分な電源を供給することができず、使用できません。Type-C端子を備えるiPadなどは使用可能な場合がありますが、動作保証されません。電源供給の仕様と使いたい機器との組み合わせには十分ご注意ください。
そのほか、シャーシがアルミ合金となり、堅牢性が向上。重量も若干増え、ケーブルの重さで後ろにひっくり返るようなことも起こりにくくなっています。
天板にはステータスLEDが増え、入力切り替えがわかりやすくなりました。
「BTA30 Pro」「BTA30」比較表
- | BTA30 Pro | BTA30 |
Bluetoothバージョン | 5.0 | 5.0 |
DACチップ | ES9038Q2M | AK4490 |
Bluetoothチップ | CSR8675 | CSR8675 |
DSPチップ | CT7302 | CT5302 |
オペアンプ | OPA1662 | OPA1662 |
Bluetooth受信 | SBC/AAC/aptX/aptX HD/LDAC | SBC/AAC/aptX/aptX HD/LDAC |
Bluetooth送信 | SBC/aptX/aptX LL/aptX HD/LDAC | SBC/aptX/aptX LL/aptX HD/LDAC |
対応 サンプリングレート (入力) | USB:384kHz/32bit,DSD256(DoP) 同軸デジタル:384kHz/24bit,DSD128(DoP) 光デジタル:192kHz/24bit | USB:44.1/48kHz,16bit 同軸デジタル:192kHz/24bit, DSD64(DoP) 光デジタル:96kHz/24bit, DSD64(DoP) |
対応 サンプリングレート (出力) | 同軸デジタル:384kHz/24bit DSD128(DoP) 光デジタル:192kHz/24bit | 同軸デジタル:最大192kHz/24bit 光デジタル:最大192kHz/24bit |
アップサンプリング出力 | 最大192kHz/24bit | 最大192kHz/24bit |
無線送信距離 | 30m(SBC時/遮蔽物なしの値) | 30m(SBC時/遮蔽物なしの値) |
RCA出力時S/N比 | ≥118dB | ≥115dB |
RCA出力時のTHD+N | 0.0008%(USB DAC 1kHz) | 0.002%(SPDIF48kHz/24bit 1kHz) |
USB端子 | タイプC | タイプC |
サイズ(W×D×H) | 120×55×25.8mm | 120×55×23.5mm |
重量 | 145g | 115g |
従来機から順当な改善がうれしいポイント
「BTA30」は、aptX LLやLDAC送信に対応している貴重な据え置き型のDACとして手ごろな価格もあり、人気がありました。
しかし、LDAC送信はUSB入力時は不可、USB-DAC使用時の対応スペックの低さなどの使い勝手の悪さもあり、一部ではこれらが改善された後継機が期待されていました。そこに登場した「BTA30 Pro」は期待通りの改善(USB入力もLDAC送信対応、ハイレゾ対応USB-DAC機能)を果たしており、それでいて価格の上昇も少ないので、高い人気を集めそうです。
なお、発売されたばかりの本機ですが、世界的な部材供給不足の影響を受け、受注を一時停止するとのこと。しばらくは市場在庫のみの販売となります。その後の受注再開は目指すようですが、詳しくは未定のようです。
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