DENON DHT-S217 税込み約3万円のサウンドバー
デノンは、サウンドバー「DHT-S216」の後継機「DHT-S217」を2022年5月中旬に発売します。オープン価格で税込みの実売価格は29,700円前後。
DHT-S216の後継機
「DHT-S216」の発売当初の税込み実売価格23,000円程度よりも価格は7千円ほど上がっていますが、内容は新たにDolby Atmosの3Dオーディオ信号のデコードに対応するなど、サラウンドデコード規格の対応範囲とサラウンド再生能力が大幅に向上しており、以前からハイコスパなサウンドバーと言われていた「DHT-S216」よりもさらにハイコスパなモデルと言える意欲作です。
「DHT-S217」の内容・特徴を「DHT-S216」と比較しての違いを交えつつご紹介
「DHT-S217」の内容・特徴を「DHT-S216」と比較しての違いを交えつつご紹介。
DHT-S216同様にデノンのサウンドマスターが関わった音質重視モデル
「DHT-S216」と同様に、デノンのサウンドマスター・山内慎一氏が開発の初期から関わっており、音楽鑑賞用のオーディオスピーカーとしても評価の高かった美点も引き継いでいます。山内氏がサウンドチューニングを担当し、Hi-FiコンポやAVアンプと同様の厳格な音質評価と、チューニングを実施。山内氏が掲げるフィロソフィー「Vivid & Spacious」サウンドを実現したと謳っています。
ドルビーアトモスに新対応するなど対応サラウンド規格が充実
SoCは、上位のサウンドバー「DHT-S517」に搭載しているのと同じものに変更。これにより、S216はロッシーなドルビーデジタル信号までの対応でしたが、S217はロスレスであるDolby TrueHDベースのAtmosに対応。
「DHT-S217」の対応音声フォーマットは、リニアPCM 7.1ch、ドルビーデジタル、ドルビーデジタルプラス、Dolby TrueHD、Dolby Atmos、MPEG-2 AAC、新4K/8K衛星放送で使用されているMPEG-4 AAC。
S216ではドルビーデジタル、DTS、MPEG-2 AAC、リニアPCMでした。
S217はDTSが非対応になっていることには注意が必要です。DTSをリニアPCMマルチチャンネルに変換できる機器と接続すればDTSサラウンドを品位を損ねずに聴くことはできます。
基本的な構造や筐体サイズ、搭載しているユニットやその個数は従来同様
基本的な構造や筐体サイズ、搭載しているユニットやその個数もS216と同じ。つまり、Dolby Atmosイネーブルドスピーカーは搭載していません。
外形寸法は890×120×67mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は3.6kg。
しかし、Atmosのハイト音声をデジタル信号処理することで、ハイトスピーカーやDolby Atmosイネーブルドスピーカーが無くても、より臨場感のある再生ができるというDolby Atmos Height Virtualizerを備えており、価格やスピーカー構成を考えると贅沢な機能です。
また、ステレオや5.1ch、7.1chの音源を再生する場合も、立体的な3Dサウンドにアップミックスして再生できる機能も引き続き搭載。
サラウンドモードと「PURE」モードも同様
サウンドモードは、「MOVIE」「MUSIC」、夜間などで音量を控えめにした時でも、小さな音が聞き取りやすい「NIGHT」、ニュースやナレーション、映画のセリフなどを明瞭にする「DIALOG ENHANCER」モードを引き続き搭載。
S216からの特徴である「PURE」モードも搭載。サウンドモードやバーチャルサラウンド処理をバイパスし純度の高い再生が可能になります。サラウンドを効かせる必要の薄い、ステレオ収録の音楽に適しています。
バスレフポートの仕上げと脚部に変更
スピーカーユニットは、前面の左右端に25mm径のツイーター、45×90mmの楕円形ミッドレンジを各2基搭載。中央付近に、下向きに75mm径のサブウーファーを2基搭載。このユニット構成と内蔵アンプ、電源部などのオーディオ部の内容はS216同等のようです。サブウーファーの音量はメインとはべつにリモコンで調整できます。
なお、バスレフポート部分はS216が光沢仕上げだったのに対して、S217ではマットな仕上げに変わっています。
また、脚部も改良。従来よりも20%、約1mm高くしました。これにより、低域の抜けの良さを改善したとしています。
HDMIは新たにeARCに対応
入力端子は、4K対応のHDMI入力、光デジタル入力、AUX入力を各1系統。出力は、4K対応HDMI、サブウーファー出力を各1系統。HDMIは新たにeARCに対応しています。そのほか、Bluetooth入力にも対応。コーデックは従来どおりSBCのみ。
DHT-S217ならではの美点に注目
「DHT-S216」はどちらかというと、音楽鑑賞時の音質を重視した異色のサウンドバーでした。一方で、サラウンド用のサウンドバーとしては、ドルビーアトモスどころか、Dolby TrueHDに対応していない、つまりドルビーデジタルのレベルという、HDMI装備タイプとしては最低限の対応は弱点でした。
今回、その弱点が払拭され、ドルビーアトモスにも対応し、本格的なサラウンド・サウンドバーの入門機として大きく生まれ変わったと言えるでしょう。
スピーカーやアンプ構成、もっと言えば、筐体そのものをうまく先代から使いまわすことで、コスト上昇を最低限に抑えて、うまくレベルアップさせている印象です。そのぶんイネーブルドスピーカーの新設は行われておらず、これを搭載する他社機とはさすがにドルビーアトモス再生時の上下方向の再現性には差が出るでしょうが、この価格、このサイズ、音楽鑑賞時の音質といった、本機ならではの美点が納得できれば、イネーブルドスピーカー搭載の他社機とも競争できるでしょう。
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