東芝 REGZA X9900Mシリーズ 4K有機ELレグザ 2023年モデル
TVS REGZAは、4K有機ELレグザ「X9900M」シリーズを2023年4月21日に発売します。画面のサイズラインナップは、55型、65型、77型の3つ。いずれもオープン価格で、発売当初の税込み実売価格は44万円前後(55型)から。
4K有機ELレグザ「X9900M」シリーズ
・77型「77X9900M」 約935,000円 4月21日発売
・65型「65X9900M」 約594,000円 同上
・55型「55X9900M」 約440,000円 同上
2022年6月発売の旧フラッグシップ4K有機ELレグザ「X9900L」シリーズの後継機。「ミリ波レーダーによる自動画音調整」や「顔検出によるアニメ高画質化」などの新技術を搭載し、おもに画質面での向上が図られています。
「X9900M」シリーズの内容・特徴を「X9900L」シリーズと比較しての違いを交えてご紹介します。
「X9900M」シリーズで「X9900L」シリーズと比較して違うところ
視聴する距離に合わせて最適な画質に自動調整する「ミリ波レーダー高画質」機能を初搭載
「ミリ波レーダー高画質」と「ミリ波レーダー高音質」は、REGZAテレビ2023年モデルの上位クラスに搭載された新機能。物体とのおおよその距離が判定できる「ミリ波レーダー」を利用し、視聴者とテレビの位置に合わせて、映像と音の質を自動で最適化してくれます。
ミリ波レーダーは通常、自動運転車や安全確保のために使用されることが多い技術ですが、REGZAでは、この技術を映像・音声処理に応用することで、よりリアルな視聴体験を実現しようとしています。
「ミリ波レーダー高画質」は「ミリ波レーダー」を利用して、テレビに最も近い物体(人物)を検出することで、映像の明るさや色温度調整に加え、精細感とノイズ抑制も自動で調整。視聴者がテレビに近い位置で観ている場合には、ノイズ抑制を強めて自然な映像を実現し、テレビから離れた位置で観ている場合には、映像の精細感を高めてメリハリのある映像を再現します。
視聴する距離に合わせて最適な音質に自動調整する「ミリ波レーダー高音質」機能を初搭載
「ミリ波レーダー高音質」は、テレビスピーカーから出力される音を左右で調整することで、視聴位置に合わせて定位を最適化する機能です。テレビ画面の真ん中付近で視聴しても、真ん中からずれた位置で視聴しても、適切なステレオバランスを保った音で聴こえます。
視聴者が複数人の場合は、テレビに最も近いユーザーを基準に調整します。なお、この機能は内蔵スピーカーのみ対応し、外付けスピーカーには対応していません。
「ミリ波レーダー高音質」技術は、テレビ画面の見え方にも影響を与えます。例えば、音声がクリアになることで、映像に合わせて音量を上げる必要がなくなり、映像と音声のバランスが良くなります。さらに、音質の向上により、映画やドラマ、音楽などのエンターテインメントコンテンツをより鮮明で臨場感あるものとして楽しめるようになります。
有機ELパネルの性能の向上
いずれのサイズでも4K/3,820×2,160ドットの有機ELパネルを採用。さらに、自社開発の高冷却インナープレートとメタルバックカバーを組み合わせることで、有機ELパネルの性能を最大化。65型サイズの場合、新旧モデル比(65X9900Mと65X9900L)で輝度を約20%向上。また、77型での自社開発高冷却インナープレート仕様は今回が初となっています。
映像エンジン「ZRα」は、最新のアルゴリズムを使用した“2023年版”
「X9900M」シリーズの映像エンジンは「X9900L」シリーズでも使われた「ZRα」。エンジン内に、ディープニューラルネットワーク(ディープラーニング)=DNN機能を内蔵し、映像信号の処理・回析の精度を向上させ、精細感や質感のアップ、ノイズ低減などをより一層進めているというのがポイント。
ディープニューラルネットワークを駆使したハードウェアAIエンジンで、映像解析を高度化するため、高ビット精度の信号処理と最新の超解像技術を導入しています。
“ZRα”そのものの名称は「X9900L」シリーズと変わりませんが、最新のアルゴリズムを使用してアップデート。内容的には“ZRα II”になっているとしています。
新しい超解像技術「AIナチュラルフォーカステクノロジー(立体感復元超解像技術)」
美肌AIフェイストーンZRα
ネット動画AIビューティZRα
地デジAIビューティZRα
といった高精度な回路で高画質化を図っています。
立体感復元超解像「AIナチュラルフォーカステクノロジーPRO」にアップグレード
立体感復元超解像「AIナチュラルフォーカステクノロジー」もPROつきにアップグレード。
ニューラルネットワークが“構図”を推定。構図の中の被写体の顔や衣装を把握して質感や精細感を向上する事で、映像の中の“主役”がより際立つようになったとしています。
※REGZAの立体感復元超解像「AIナチュラルフォーカステクノロジー」について
「AIナチュラルフォーカステクノロジー」は、画像処理にAIを活用することで、立体感をよりリアルに表現することができるもの。
具体的には、画像の奥行き情報を分析し、AIが自動的に奥行き方向の情報を補完することで、より立体感のある映像を作り出すことができます。また、従来の超解像技術では失われていた映像の詳細情報を補完することで、より鮮明でクリアな映像を再現することも可能となっています。
この技術により、リアルな立体感と高画質の映像表現を実現することができ、テレビ視聴者に、より没入感のある映像体験を提供します。
新搭載の「ネット動画ビューティPRO」
「ネット動画ビューティPRO」とは、テレビの放送番組にあるコンテンツ情報がないネット動画の高画質化を実現するための機能。従来の「ネット動画ビューティZα」からアップグレード。
AI技術を用いて、ネット動画のコンテンツの種類や特徴を自動判別し、最適な画質を実現を意図します。
従来の弱点として、24コマ映像がフィルムなのか、それともフィルムライクな演出を狙ったビデオ(24コマ収録のミュージックビデオ)なのかの判別ができず、それぞれの最適化に不足していた部分がありました、
「ネット動画ビューティPRO」では、映像内のフィルムグレインを検出することで、ビデオ/フィルム/フィルム風の映像を識別し、各ジャンルに合わせたノイズ抑制を行い、的確な高画質化を図っています。この機能により、圧縮ノイズを抑制し、精細感も高めつつ、バンディング(画像にできる濃淡の縞)のない滑らかなグラデーション描写を可能にすることができます。
「アニメビューティPRO」
「アニメビューティPRO」は、アニメ映像の種類を識別し、映像処理技術を施すことで、アニメ映像をリアルに再現する技術。
具体的には、セルアニメやデジタルアニメなどの種類を判別し、AI解析のアニメ用顔検出によってキャラクターの顔と背景を判別し、それぞれ最適な処理を施します。人物はノイズを抑制しながらなめらかに、実写のような背景はキメ細かくリアルに再現するような画質チューニングが施されます。
また、ネット動画をはじめ、地デジなどの放送番組コンテンツにも効果を発揮することができます。
「ゲームモード」に3つのモード「ゲームセレクト」機能を追加
従来からゲームに適した「ゲームモード」が充実しているのがレグザの特徴でしたが、さらにパワーアップ。
3つのモード「ゲームセレクト」機能を追加。ゲーム画質に忠実な「スタンダード」、“映画モード”ライクに仕上げた「ロールプレイング」、低遅延性能と暗部視認性を高めた「シューティング」から、ゲームに応じてモードをセレクトすると、低遅延を維持したまま“高画質に”ゲームが楽しめるようになりました。
最小遅延速度は、シューティングが0.83msec、スタンダードとロールプレイングが0.93msec(1080p/120Hz、1080p/60Hz、4K/60p入力時)。
低遅延ゲームモードの「瞬速ゲームモード」は引き続き搭載。
「ざんまいスマートアクセス」も進化
全録機能「タイムシフトマシン」を引き続き搭載していますが、録画番組を自動で整理してくれる機能のうち「ざんまいスマートアクセス」が進化。
新モデルでは、テレビ番組だけでなく、ネット動画からもユーザーの嗜好に合わせたコンテンツをレグザがピックアップ。タグを切り替えるだけで、テレビ番組・ネット動画を横断して、好きなジャンルやアーティスト出演のコンテンツを探すことができるようになりました。
リモコンのダイレクトボタンが追加
付属リモコンには、従来ボタン「Prime Video」「Netflix」「Disney+」「ABEMA」「YouTube」「TVer」「U-NEXT」「hulu」「Net-VISION」に加え、新たに「NHKプラス」と「WOWOWオンデマンド」が追加され、業界最多となる11個ものダイレクトボタンを搭載。
ネット動画サービスでDAZNが追加
ネット動画サービスは従来から主要なものはカバーしていますが、「X9400L」シリーズでは非対応だったDAZNに対応しました。
サイズラインナップ
「X9900M」シリーズの画面のサイズラインナップは、55型、65型、77型の3つ。「X9900L」シリーズでは55型、65型の2つでした。77型サイズの有機ELレグザは「77X9400」(2020年モデル)以来、約3年ぶりの投入。大画面の選択肢が増えました。
東芝 REGZA X9900Mシリーズのそのほかの内容(X9900Lと共通)
以下は「X9900M」シリーズの内容で、「X9900L」シリーズと共通しているものです。
OSは引き続きLinuxベースのオリジナル
ネット接続やネット動画、ネットワーク機能などを司るOSについては、「X9400L」シリーズ同様、Linuxベースのオリジナルでレグザ専用にカスタマイズしたもの。他社で採用の多いAndroid OSではありません。これはAndroid OSの動作が不安定だとか、操作後の反応が遅いなどの弱点を考慮したうえで、より快適な操作感を重視した結果のようです。
主要なネット動画サービスに対応
視聴可能なネット動画は、Netflix、Prime Video、Disney+、YouTube、Net-VISION、TVer、SPOOX、Paravi、DMM.com、Rakuten TV、dTV、ABEMA、U-NEXT、Hulu、NHKプラス、WOWOWオンデマンド、DAZN。
主要なネット動画サービスは網羅しています。このうちDAZNは「X9900M」シリーズで追加されています(上述も参照)。
HDR規格への対応
HDR規格は、HDR10、HLG、HDR10+、HDR10+ ADAPTIVE、DOLBY VISIONに加え、DOLBY VISION IQに対応。「X9900L」シリーズと同じ対応内容となっています。
サウンドシステムは、総計90Wの「レグザ重低音立体音響システムXHR」
サウンドシステムは、総計90Wの「レグザ重低音立体音響システムXHR」を引き続き搭載。フルレンジ×2、ツイーター×2、サイドツイーター×2、トップツイーター×2、ウーファー×1に加え、画面自体を振動させるスクリーンスピーカーの“10スピーカー”を、マルチアンプで駆動。立体音響のDolby Atmosにも対応。
トップ&サイドツイーターにより音の拡がりと定位を強化しており、よりリアルな音場空間を創出します。画面自体を振動させるスクリーンスピーカーを初搭載することで、映像と一体感のあるサウンド表現を実現しています。ハイレゾ対応も謳っています。
このサウンド機能の構成も「X9900L」シリーズと同様です。
ただ、使用するユニットを調整しすることで「X9900L」シリーズよりも音質は向上しているとしています。
全録機能「タイムシフトマシン」も引き続き搭載
搭載チューナーは、地上×9(タイムシフトマシン含む)、BS/110度CS×3、BS/CS 4K×2。別売のUSB HDDを使って、地上/BS/CSの2番組同時録画や4K放送の裏番組録画が行なえ、放送済みの番組をさかのぼって見られる全録機能「タイムシフトマシン」も引き続き搭載。
「過去番組表」やテレビ起動時やチャンネル選局時に気になる番組を見つけてもボタン1つでオープニングから視聴できる「はじめにジャンプ」、ジャンル別リストから見たい番組をすぐに再生できる「ざんまいスマートアクセス」、見たいシーンにアクセスできる「シーンリスト」、2K/4K放送番組を自動録画してくれる「おまかせ録画」などの豊富な録画機能を引き続き利用できます。
このうち「ざんまいスマートアクセス」機能が進化しています。内容については上記の「ざんまいスマートアクセス」も進化を参照してください。
HDMIなどの入出力と対応規格
HDMI入力は4系統で、うち入力1/2がHDMI2.1をサポート。自動的に低遅延モードに遷移するALLMのほか、4Kのハイフレームレート映像が楽しめる4K120p入力、映像のちらつきやカクツキを軽減するVRR、高音質音声データのHDMI伝送に対応するeARC(入力2のみ)機能を備えています。
HDMI以外の入出力端子は、4極ミニプラグのビデオ入力(映像・音声LR)、光デジタル音声出力、ヘッドフォン出力、LANを各1系統用意。USB端子は4系統で、タイムシフトマシン専用×2、通常録画専用×1、汎用×1。
どちらをどう選ぶ
2023年モデルの「X9900M」シリーズは2022年モデルの「X9900L」シリーズよりも確実に画質が高まっているようです。また、「ミリ波レーダー」などにより、音質の向上も期待できます。「X9900M」シリーズは2023年現在、REGZA最高画質の有機ELテレビとなることは間違いないでしょう。
とはいえ、「X9900M」シリーズ発売直後からしばらくは「X9900L」シリーズも購入でき、しかも実売価格は「X9900L」シリーズのほうが安いでしょう。機能面ではあまり違いはなく、最新ゲーム機への対応で重視したいHDMI入力関連の機能・スペックも同等ですので、「X9900L」シリーズがお得に感じる場合もあるかもしれません。
価格に納得できれば、「X9900M」シリーズの高品位はもちろんアリだとは思いますが。
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