DENON DNP-2000NE HDMI搭載のネットワークオーディオプレーヤー
デノンは、HDMI端子も搭載したネットワークオーディオプレーヤー「DNP-2000NE」を2023年6月に発売。価格は275,000円。カラーはプレミアムシルバーに加え、グラファイトシルバーも用意。
デノン(と同じグループのマランツ)独自のネットワークオーディオプラットフォーム「HEOS」を搭載し、ネットワークオーディオプレーヤーとして動作。デノンのサウンドマスターの山内慎一氏が開発に携わっているのもアピールポイントとなっています(デノンの上位クラスの単品コンポではいつものことですが)。
有線LANのほか、IEEE 802.11a/b/g/n/ac対応無線LANも搭載。Amazon Music HDやAWA、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスを再生できるほか、NASなどに保存した音楽ファイルをLAN/Wi-Fi経由で再生できます。Bluetooth受信やAirPlay 2にも対応。Amazon Alexaによる音声コントロールにも対応。
PCと直接接続できるUSB Type-B、USBメモリーなどを接続できるUSB Type-A、光デジタルや同軸デジタルなど豊富なデジタル入力を用意しており、さまざまなデジタル機器と接続してDACとして使用できます。DACのアナログ出力は固定に加えて可変も装備。パワーアンプやアクティブスピーカーなどに直結して本機で音量調整できます。光デジタル出力1系統、同軸デジタル出力1系統も備えています。3段階ゲイン切り替え可能なヘッドホン端子も搭載。
デノンのピュア・オーディオ用コンポとしては初めてHDMI端子を装備しているのも大きな特徴。HDMI ARCをサポートしており、対応テレビとHDMIケーブルで接続し、テレビの音をDNP-2000NEから出力可能。テレビに接続されたその他のプレーヤーやゲーム機の音声も、DNP-2000NEを接続したHi-Fiシステムから高音質再生できます。
HDMI CECにも対応しており、HDMI CEC対応テレビとの電源の連動や入力ソースの自動切り替え、テレビのリモコンでの本機のライン可変出力の音量操作も可能。
再生対応ファイルは、DSDが5.6MHzまで、PCMは192kHz/24bitまで対応。DSD、WAV、FLAC、Apple Losslessファイルのギャップレス再生にも対応。
USB-DACとして使う場合は、DSDは11.2MHz、PCMは384kHz/32bitまで対応。USB-DACはアシンクロナスモードにも対応。光デジタルや同軸デジタル入力は192kHz/24bit PCMに対応。
デノンおなじみのアナログ波形再生技術である「アルファ・プロセッサー」は、最新かつ最上位バージョンである「Ultra AL32 Processing」を搭載。PCM信号に対して、前世代の2倍となる最大1.536MHzへのアップサンプリングと32bitへのビット拡張処理を実施。CDソースであっても高品位なハイレゾ相当の音源として再生します。
DAC部分には、110周年記念モデル「DCD-A110」と同様に、クアッドDAC構成を採用。デノンはこれまでバーブラウンブランドのDACチップ「PCM1795」の使用が続いていましたが、新たにESSの32bit対応DAC「ES9018K2M」を左右チャンネルにそれぞれ2基(4ch)ずつ、合計4基(8ch)使用。DACマスタークロックデザイン、ジッターリデューサーなどデノンのSACDプレーヤーなどで実績のある回路も搭載。
I/V変換アンプ回路には、オペアンプを使わず、厳選した高音質パーツや最上位SACDプレーヤー・SX1 LIMITED EDITION譲りのカスタムパーツを搭載したフルディスクリート回路を採用。最高級のPPSC-Xコンデンサー、デノン独自のカスタムパーツ、カーボン被膜抵抗やメルフ抵抗、導電性高分子コンデンサーなどの高品位部品も適材適所に搭載。
デジタル回路とアナログ回路の電源をトランスから完全に独立させた2トランス構成、内部、外部の不要振動を排除するダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクションなどのアナログ的な物量設計も投入。
外形寸法はアンテナを寝かせた状態で434×421×107mm(幅×奥行き×高さ)、重量は9.7kg。
DENONの110周年記念モデルのSACDプレーヤー「DCD-A110」からディスクドライブ機構を省いたようなモデルとも言われており、中級ネットワークオーディオプレーヤー/DACとして十分な音質的実力と、HDMI搭載による現代的な機能性・利便性を併せ持った意欲作と言えるでしょう。
DNP-2000NE レビューサイト
DENON DNP-2000NE 各種レビューや製品情報から読み取れる評価のまとめ・考察
1990年代から2000年代初頭のデノンのコンポからすると、物量や本体サイズ、重量が小さくなっている割に価格は上がっている印象は受けます。しかし、デジタル回路を中心とした技術や、アナログ回路も含めた部品の質の向上もあるので、いつまでも大型筐体に重い本体が売りのデノンというわけではないようです。
実際、近年のデノンのネットワークオーディオプレーヤーやSACDプレーヤーはかつてよりも小型・軽量?ながら、音質的には満足できるという声が多いものです。
デノンの中級からハイクラスに相当するネットワークオーディオプレーヤーはDNP-2500NEが生産終了になり、後継機が待たれていました。本機はDNP-2500NEより小型・軽量になっていますが、価格的には同クラスであり、最新機のアドバンテージを含めて、DNP-2500NE後継に相応しいモデルと言えそうです。
DENON DNP-2000NE 音質面での評価のまとめ
DNP-2000NEの音質面での評価は高いものがあります。もともと、デノンのSACDプレーヤーやネットワークオーディオプレーヤーは、音質面での評価は高く、とくに近年のサウンドマスターの山内慎一氏が音質に関与したモデルではその傾向はいっそう強まっているので納得できることです。
デノンのDACやディスクプレーヤーというと、ややピラミッドバランス的な帯域バランスをベースに、繊細さと力感を両立したサウンドという基本傾向があります。それがサウンドマスターの山内慎一氏の就任以降は、よりフラットな傾向にシフトしつつ、最新ハイレゾ音源のフォーマット上のスペックの高まりとともに、情報量の豊富さも高まっているという印象です。
他のメーカーもフラット傾向で情報量豊富、レンジ感もダイナミックレンジも高いという傾向は持っているものですが、デノンの場合は、音の厚みや力感に富み、音像の実体感や立体感にも富んでいるという特徴があります。
本機のレビュー記事でもこうしたデノン特有とも言える音質傾向に触れていますし、それらを長所としてとらえています。というのも得てして、最近のDACはワイドレンジで情報量が豊富であっても、音の厚みや音像の実体感に乏しい傾向があると言われているからです。
デノンはハイレゾ登場以前から音の厚みや音像の実体感に定評があり、この長いノウハウと伝統の継承が生きているのでしょう。この長所のうえで、ハイレゾ時代ならではの情報量やレンジ感、空間表現力も備えているなら、実に魅力的なデジタル機器と言えるでしょう。
DENON DNP-2000NE HDMI端子の利便性
本機はデノンのピュアオーディオ機器でははじめてHDMI入力を搭載したDACを備えているのも特徴です。AVアンプなどのビジュアル機器ではいくらでもありましたが、ステレオ専用のDAC機能のみを使いたい場合はAVアンプでは無駄が多すぎるだけに、本機を歓迎したいオーディオ愛好家は少なくないでしょう。
各種レビューでも、テレビ、Blu-rayプレーヤー、ゲームコンソールなど、さまざまな機器を簡単に接続して利用できるメリットや、DNP-2000NEのリモコンで接続されたHDMI機器を制御できる利便性、一本のケーブルで映像と音声を伝送できる簡便性などが評価されています。
DENON DNP-2000NE 気になる点としては
本機に対する数少ない不満としては、アナログ出力とヘッドホン出力にバランス接続がないことくらいでしょう。ただ、デノンはミドルクラスではバランス接続は省く伝統があるので、そこは割り切るうところでしょう。むしろ無理やりバランス出力を付けることでの無用なコスト上昇がないことを良い点として受け取りたいところです。
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