Panasonic VIERA JX950シリーズとJX900シリーズ
パナソニックの4K液晶テレビ・VIERA 2021年モデルの最上位・JX950シリーズは同じく2021年モデルのハイクラス機・JX900シリーズと比較して何が違うのかを解説。また、両モデルに共通の特徴も紹介し、両シリーズの内容を把握できるようにします。
両シリーズのラインナップと実売価格
JX950
・75型「TH-75JX950」:42万円前後/6月25日発売
・65型「TH-65JX950」:35万円前後/4月23日発売
・55型「TH-55JX950」:27万円前後/4月23日発売
JX900
・75型「TH-75JX900」:未定/2021年秋発売
・65型「TH-65JX900」:29万円前後/4月23日発売
・55型「TH-55JX900」:20万円前後/4月23日発売
JX950シリーズとJX900シリーズを比較しての違い
JX950シリーズとJX900シリーズのおもな違いは、自動音質調整機能「オートAI音質」、「プレミアム液晶ディスプレイ」、「イネーブルドスピーカー」、およびスタンドのスイーベル機能の搭載有無。
液晶ディスプレイの違い
JX950シリーズは東芝の工場で高精度に組み上げた、独自設計の「プレミアム液晶ディスプレイ」を搭載。具体的にはバックライトの強化だけでなく、ディスプレイ内部の部材構成が最適化がなされています(バックライトの増量など)。
プレミアム液晶ディスプレイは、液晶ビエラ史上最高クラスの高輝度と、高いコントラスト性能を謳っており、HDRコンテンツのようなコントラスト性能が高いほどリアリティーが高まるコンテンツでの表現力を高めています。また、バックライトLEDの放熱設計の強化による画質向上の効果をもたらしています。
スピーカーなどサウンド面の違い
両シリーズとも、立体音響のDolby Atmosに対応。テレビ本体のスピーカーのみで立体音響を再生。従来のステレオ音声も立体音響に変換でき
JX950シリーズのアンプ構成は計60W(15W+15W+15W+15W)。スピーカー構成はフルレンジ2基に加えて、イネーブルドスピーカー2基を搭載。
テレビ背面上部に搭載したイネーブルドスピーカーは、音を天井に反射させることで立体的で臨場感ある音を生み出すことに寄与。最新の立体音響であるDolby Atmosコンテンツの再現性もアップしています。音像定位を画面中央に寄せ、より自然な聴こえになる効果もあります。
JX900シリーズのアンプ構成は30W(15W+15W)にスピーカーはフルレンジ2基と、小規模になっています。
JX950シリーズのみ「オートAI音質」を搭載
JX950シリーズのみ、マイク測定方式の音場補正システム「オートAI音質」を搭載。リモコンに内蔵したマイクでテレビから発するテストトーンを集音・測定・演算・補正処理を行うことで、それぞれの環境に応じた最適な音質調整を行い、環境に左右されない高音質を実現します。単体のAVアンプでは広く搭載されていますが、テレビでは他社も含め、高級機で搭載されることがある機能です。
AIと謳っているだけに、コンテンツやシーンに応じて音場と音質に自動的に調整するのもポイント。ニュースでは声がはっきり聴こえるように、スポーツではスタジアムの広さや立体感が感じ取れるようなサラウンド感を演出というように、自在かつ最適に調整します。
スタンドの機能と構造
スタンドの機能と構造も違います。
JX950シリーズではテレビの向きを左右に変えられ,見やすい画面の向きにかんたんに前後15°の範囲で動かせる「スイーベル(首振り)」機能を搭載。
両シリーズとも、地震などでのテレビの転倒を防ぐ転倒防止スタンドを搭載。いずれも底部の吸着システムを使い、転倒を防ぎます。スタンドのデザインも両シリーズともスタイリッシュな円形となっています。
両シリーズで共通の内容
上記以外の内容、チューナー数や映像処理回路、ネットワーク機能などは両シリーズで変わりません。
「オートAI画質」新搭載など
同時に国内発表された4K有機ELモデルにも用いられる自動画質・音質調整機構「オートAI画質/音質」を新搭載し、進化した信号処理技術「ヘキサクロマドライブ+」を搭載。
「オートAI画質」は、100万を超える映像のシーンから学習用データベースを構成しているAI(人工知能)によりシーンに応じて自動的に最適な画質の調整を可能にしているということで、つまり、コンテンツや今現在の画像に応じた自動画質調整がより向上したという認識でいいでしょう。
「ヘキサクロマドライブ+」はHDR10/HDR10+コンテンツの入力時、シーンに応じてHDRトーンマッピング処理を動的に変化させる技術が追加されており、高輝度域でも色鮮やかで、階調豊かな映像を実現したとしています。
AIによる機械学習で素材をHDRのような高コントラスト映像に変換する「AI HDRリマスター」や4K/HLG放送の高コントラスト化処理、HDR10規格のUHD BDコンテンツを高コントラスト化する「ダイナミックメタデータクリエーション」、入力された映像信号のオリジナル解像度を判別してディテール処理を最適化させる「素材解像度検出 4Kファインリマスターエンジン」、そして映像内で物体が動く量を検出・背景と分離して破綻のない倍速補間を行なう「オブジェクト検出 倍速表示」などは従来から継続して搭載。
「HDR10+ ADAPTIVE」に新対応
HDRについては従来2020年モデルでのHDR10、Dolby Vision、HLGに加え、部屋の明るさに合わせて自動調整する新機能「Dolby Vision IQ」と「HDR10+ ADAPTIVE」にも新対応。それぞれ、Dolby VisionとHDR10+の画質を部屋の環境により左右されずに最大限に引き出す技術です。
映像モードも拡張されており、一部の4K有機ELビエラで採用していた「フィルムシネマ」(Filmmaker Mode)、「キャリブレーション」、「プロフェッショナル」が新たに追加。
いずれも倍速・IPSパネル
いずれも、4K/3,840×2,160ドットの倍速パネルを採用。パネル方式はIPS。
エッジ型LEDバックライトと信号処理によるコントラスト処理を組み合わせた「Wエリア制御」(部分駆動)も従来より高精細なアルゴリズムを搭載して採用しています。
チューナー数、OS、リモコンなどの使い勝手面
操作系では独自OSの最新版「MY HOME SCREEN 6.0」を搭載。UIをリニューアルし使い勝手を向上させたほか、Bluetooth端末の2台同時接続にも対応。
BS4K・110度CS4Kチューナーを2基、地上/BS・110度CSチューナーを3基搭載。2K放送、または4K+2K放送の2番組同時録画に加え、4K2番組同時録画に新対応。4K2番組同時録画は業界初の快挙です。
2画面機能も4K放送に新対応。2K/4K放送+2K放送、2K/4K放送+BD/録画番組視聴が可能に。ただし、4K放送の2画面表示はできません。
お部屋ジャンプリンクを使った4K放送番組の受信に引き続き対応。4Kディーガなど“4Kお部屋ジャンプリンク対応サーバー”を組み合わせることで、ディーガ内の4K録画番組を4K解像度のまま受信・再生できます。
新メニュー画面とデザイン一新のBluetoothリモコンも付属。従来のビエラ音声操作に加え、新モデルではGoogle アシスタントとAmazon Alexaに対応。
HDMI2.1対応
HDMI2.1対応も2020年モデルから強化。従来はeARC、ALLMのみ対応でしたが、新たに4K/120p入力をサポートした「ゲームモード エクストリーム」を搭載。PlayStation 5やXbox Series X、PCからの4K/120p映像を表示できるようになりました。
HDMI入力端子は4系統で、HDMI 1~2が40Gbps(最大4K120p)、HDMI 3~4が18Gbps(最大4K60p)入力に対応。HDMI 2はeARCをサポート。
HDMIの他には、ビデオ入力×1、光デジタル音声出力×1、サブウーファー端子兼用ヘッドフォン×1、LAN×1、USB×3を装備。USB1端子のみUSB 3.0に対応。無線LANを内蔵。
外形寸法と重量の違い
JX950シリーズのスタンドを含めた外形寸法と重量は、75型が168×35×104.4cm(幅×奥行き×高さ)。重量は約56.5kg。65型が145.1×34.8×89cm(幅×奥行き×高さ)で、約39.5kg。55型は123.1×34.8×76.6cm(同)で、約28.5kg。
JX900シリーズのスタンドを含めた外形寸法と重量は、75型が168×35×104.4cm(幅×奥行き×高さ)。重量は未定。65型が145.1×34.8×89.0cm(幅×奥行き×高さ)/約32.5kg。55型が123.1×34.8×76.6cm(同)/約23kg。
下位のJX900シリーズのほうがサイズは同一でも5kg以上軽いことがわかります。
両シリーズとも75型のみ他サイズと異なる点あり
なお、両シリーズとも、最大サイズの75型のみ他のサイズと異なる点があります。
具体的にはHDMI2.1仕様が異なります。
他サイズと同様、4K/120p入力とALLMサポートに加え、新たに、「VRR」(可変フレームレート・フレームレートが変動するゲーム映像を滑らかに表示)と、「AMD FreeSync Premium」(AMD製対応グラフィックスカード接続時に低遅延で滑らかなゲーム映像を表示可能)に対応しています。
いずれもハイスペックなゲーム機やPCと接続して高品位なゲームを楽しむときに有用な機能です。
また、TH-75JX950のスタンドはスイーベル機構は搭載しません。
どちらをどう選ぶか
どちらをどう選ぶかは、どれだけ高画質と高音質にこだわるか、ということでしょう。
ただ、画質面での違いの要因としてはプレミアム液晶ディスプレイくらいしかなく、液晶テレビの画質を大きく左右する映像エンジン、パネル駆動、バックライト制御、パネル方式(IPS)は共通なので、下位のJX900シリーズでも十分な画質レベルに達していると言えそうです。
一方、音質面ではオートAI音質、およびイネーブルドスピーカーの搭載有無で、画質よりも差をつけている印象ですが、これもスピーカーをサウンドバーなどの外部機器でまかなおうとしているのであれば関係なくなります。
JX950シリーズの55、65型は最新の高級4Kテレビながら、HDMI2.1への対応度合いが少し中途半端なのも気になります(もっとも、ハイスペックでゲームをしないのであればあまり関係ありませんが)。
設置性の良さでは、より軽量なJX900シリーズのほうが良好でしょう。このクラスともなるとあまりそういったところは問題にはならないかもしれませんが(4Kテレビ+Panasonic)。
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