SONY STR-AN1000 360 Spatial Sound Mappingに対応した7.1chAVアンプ
ソニーは、一体型AVアンプの新製品として7.1chタイプの「STR-AN1000」を2023年3月18日に発売しました。オープン価格で税込みの実売価格は12万円程度です。
360 Spatial Sound Mappingに対応した初のAVアンプ
STR-AN1000では、同社ホームシアターシステムの「HT-A9」、サウンドバーの「HT-A7000」などではすでに実装されている「360 Spatial Sound Mapping(360SSM)」をAVアンプとして初採用したのが大きな特徴。複数の実スピーカーからの音波を合成し、広大な音場空間を創り出すとしています。
※360 Spatial Sound Mappingとは?
360 Spatial Sound Mappingは、音響空間の音場を空間的にマッピングし、複数のスピーカーから発する音声を正確に位置づける技術で、ソニーが開発しました。この技術により、音源の位置によって音像が変化し、より自然な音響空間を再現できます。
通常、ステレオ音源では、左右のスピーカーからの音が聴取者の耳に到達するタイミングに微小な遅延をかけ、音像を作り出すことができます。しかし、360 Spatial Sound Mappingでは、上下や前後など、立体的な空間の情報も加味され、より広がりのある音場を再現できます。
この技術は、VR、AR、ゲーム、映画など、視覚的なコンテンツと組み合わせることで、より没入感のある体験を提供することができます。また、音楽の制作やライブイベントでも使用され、より自然な音響空間を再現することができます。
高品位なサラウンドフォーマットに対応
SONY STR-AN1000は、そのほかDolby AtmosやDTS:Xなどの高品位なサラウンドフォーマットに対応しています。高い音場再現性能を実現し、臨場感あふれる音楽や映像の再生が可能です。(5.1.2ch構成に対応)
ワイヤレスリアスピーカー「SA-RS5」「SA-RS3S」や、ワイヤレスサブウーファー「SA-SW5」「SA-SW3」との接続にも対応。リアスピーカーは1組、サブウーファーは同種2台まで接続可能。
付属マイクを使用する自動音場補正機能は、従来の「D.C.A.C. EX」から改良して、3次元位置を測定・補正する「D.C.A.C. IX」を新搭載。360 Spatial Sound Mappingに必要な高精度測定と調整を担います。
高品位なアンプ部、デジタル部、ワイヤレス接続
SONY STR-AN1000は、高精度のD/Aコンバーターや、高性能のアンプ回路を搭載。また、アナログとデジタルの入力端子を豊富に備えており、高音質な音源からアナログ音源まで、幅広い音楽や映像の再生に対応しています。
アナログAB級動作の7chアンプ内蔵で最大出力は各165W(6Ω)。サブウーファー用のプリアウトは2つ搭載されていますが、2系統とも同じ信号が出力されます。
SONY STR-AN1000は、Wi-Fi(2.4GHz / 5GHzに対応)Bluetooth(LDAC対応)などのワイヤレスネットワーク接続に対応しています。スマートフォンやタブレット、パソコンなどのデバイスと接続して、音楽や映像のストリーミング再生が可能です。
音源再生としては、360 Reality Audioに対応。そのほか、最大192kHz/24bitのPCM、DSD 11.2MHzのハイレゾ音源に対応(DSDはネイティブ再生対応)。ただし、DSD 11.2MHzは2ch対応、マルチチャンネルは5.6MHzまでで、5.1ch対応。圧縮音源をハイレゾ相当にアップスケーリングする「DSEE Ultimate」も搭載。
ネットワーク機能として、「Works with the Googleアシスタント」「Chromecast built-in」「Spotify Connect」「AirPlay 2」に加え、新たに「works with SONOS」「Roon Tested」に対応。
ソニーの4Kテレビ・ブラビアとの連携機能も搭載。ブラビア本体スピーカーからも音を出すことができる「アコースティックセンターシンク」に対応するなどが可能です。
HDMIなど豊富で多彩、ハイスペックな入出力
HDMI入力は6入力/2出力。すべてがHDMI 2.1対応・HDCP2.3、VRR(可変リフレッシュレート)、ALLM(自動低レイテンシーモード)に対応するほか、2入力/2出力は8K/60Hzや4K/120Hzにも対応(40Gbps)。HDMI出力は2系統で、うち1系統がARC/eARC対応。
HDRはHDR 10、HLG、ドルビービジョン、IMAX Enhancedにも対応。
音声入力は光デジタル・同軸デジタル各1系統。ラインを4系統、USBをフロントに1系統。
STR-AN1000は、シンプルなデザインで操作が簡単な新GUIでセットアップも簡単。専用のアプリ「Music Center」を使用して簡単に操作することもできます。また、Googleアシスタント搭載スマートスピーカーとの連携もサポートしており、音声での操作が可能です。
高性能ながら従来機同様のコンパクトサイズ
外形寸法は従来モデル「STR-DN1080」と変わらない430×331×156mm(幅×奥行き×高さ)。重量は少し増加し、10.3kg。STR-AN1000は従来機同様のコンパクトなサイズでありながら、より高性能な機能を搭載しています。高性能・高音質志向のアナログアンプタイプのAVアンプでありながら比較的場所を取らずに設置することができるため、部屋のインテリアにも馴染みやすく、利便性にも優れています。
以上のように、SONY STR-AN1000は、3Dオーディオ対応、高音質な再生性能、ワイヤレスネットワーク接続、簡単なセットアップ、コンパクトなサイズなど、多くの特徴を備えたAVアンプです。
SONY STR-AN1000のレビューサイト情報
各レビューから読み取れるSONY STR-AN1000の傾向
Sony STR-AN1000は以下のような傾向がレビューから読み取れます。
音質については音の質感が自然で、高音や低音が良く出ると評価されています。中音域については、やや強めに出るという声もありますが、全体的なバランスは良いとの評価が多いようです。サラウンド効果についても、自然な広がりがあるとの評価が見られます。
操作性についてはメニュー画面が見やすく、使いやすいという評価が多いようです。リモコンの反応も良く、スピード感があるとの声があります。
接続性についてはハイスペックなHDMI端子が4つ搭載されており、複数の最新機器を接続することができるのも便利です。
Wi-FiやBluetooth接続にも対応しており、スマートフォンやタブレットから音楽をワイヤレス再生できるという点も好評。
その他の機能についても音声認識機能に対応しており、音声で操作することができる点が評価されています。
総合的に見て、価格を考慮したうえで、音質や操作性、接続性、機能性に優れたAVアンプであると評価されています。また、4K映像や音声認識機能にも対応しており、最新の技術にも対応している点が評価されています。
各種レビューから読み取れるSONY STR-AN1000の360 Spatial Sound Mapping再生の音質は?
SONY STR-AN1000最大の売りはAVアンプとしてはじめて360 Spatial Sound Mapping再生に対応したことであるだけに、この再生についてのレビュー内容が注目されます。
発売直後のSTR-AN1000の各種fレビューでは360 Spatial Sound Mapping再生の音質については、一部言及があるものの詳細なレビューはまだ限られています。
たとえば、tecstaff.jpの記事によると、同製品はサラウンド再生において音場が広がり、臨場感ある音質を実現しているとのことです。また、Kakaku.comのユーザーレビューによると、360 Spatial Sound Mapping再生の音質についても高い評価が寄せられており、臨場感があり、迫力のある音楽や映画の再生が可能であるとの意見が多く見られました。
一方、tecstaff.jpのレビュー記事では、360 Spatial Sound Mapping再生においてもソースによって音質に違いがあることが示唆されています。記事によると、音場が広がり過ぎる場合や、音声が荒くなる場合があるとのことです。
以上の情報から、STR-AN1000の360 Spatial Sound Mapping再生の音質は一般的に高い評価を受けていることがわかります。ただし、音場が広がり過ぎると感じる場合もあるため、スピーカーの配置や音源の品質によって影響を受けることがあるようです。
これは、「HT-A9」や「HT-A7000」では、スピーカー内蔵マイクを活用して互いのスピーカー位置を正確に把握することで「360 Spatial Sound Mapping」を高精度に実現している一方、AVアンプでは組み合わせるスピーカーがユーザーによって千差万別なうえ、スピーカーにマイクが搭載されているわけでもいないため「360 Spatial Sound Mapping」の音質自動調整が難しい面が出ているのかもしれません。
ソニーとしてはこの点をわかっており、音場補正機能「D.C.A.C(Digital Cinema Auto Calibration)」を最新の「D.C.A.C IX」にアップデートして搭載することで乗り切ろうとしていますが、この条件下での製品第一弾ということで、完全な完成度とはいかないのかもしれません。今後の新製品やあるいはファームウェアのアップデートなどにも期待したいところです。
コメント