テクニクスの最上位プリメインアンプ「SU-R1000」
2021年2月にテクニクスの最上位プリメインアンプ「SU-R1000」が税込み83万円で発売されました。本機の内容やレビュー情報などをお届けします。
テクニクス史上最高価格となるプリメインアンプ
「SU-R1000」はテクニクス史上最高価格となるプリメインアンプ。価格的にはアキュフェーズやラックスマン、デノンなど国内のオーディオメーカーの高級プリメインアンプとも肩を並べる堂々たるモデル。
テクニクスというと、これまでも大手家電メーカーらしからぬ、また他社のマネが多いと言われてきた松下電器とも思えぬほど、独創的なオーディオ技術を開発し、搭載してきました(クラスAA、MASH、TAKEコンデンサー、バッテリー駆動への以上なこだわりなど)。
テクニクスがこだわるD級増幅を採用
本機もその伝統に漏れず?高級プリメインアンプとしては異例のD級増幅を採用。最近はマランツも高級機で使い始めていますからそれほど珍しくもないでしょうが、テクニクスの場合はかなり前からD級増幅にこだわっていて、マランツのように社外からD級アンプモジュールを買って使うのとは違います。
テクニクス(パナソニック)のD級アンプというと、格安のAVアンプであるにも関わらず(せいぜい8万円クラス)、オーディオ用アンプとして一部で非常に高い評価を得た「SU-XR」シリーズがあります。AVアンプなのになぜかステレオ再生を最重視し、複数チャンネルのD級アンプをバイアンプ使用して、ステレオ再生を強化する手法も効果的でした。最終モデルでは6chのアンプでステレオ駆動させるという仕様でした。これが2000年代中頃の話。
テクニクス(パナソニック)はこの「SU-XR」シリーズも含め、着々とD級アンプ(PWM変調タイプ)のノウハウを蓄積していったようで、最近は4Kテレビの上位モデルでもテクニクスチューニングと称してD級アンプ技術を使っています。
独自のPCM → PWM変換素子「JENO Engine」
テクニクスのD級アンプの特徴は独自のPCM → PWM変換素子「JENO Engine」です。フルデジタルアンプ方式を採用しているテクニクスでは、その際に必須のPCM → PWM変換に着目。ここでの高品位化が全体の底上げにつながると考えているものです。
JENO Engineでは、デジタル信号に対するサンプリング変換回路とデルタシグマ変調(ノイズシェイピング)によるPWM信号への変換、そしてジッター成分を抑制するクロック回路で構成。
出力素子にGaN-FETを採用しているのも大きな特徴
また、出力素子にクラスDアンプで一般的なMOS-FET素子ではなく、GaN-FETを採用しているのも大きな特徴。これも他社では行っていないだけに、相当に独自の工夫や苦労があったものと推測されます。JENO Engineでは、1.536MHzの超高速スイッチングでPWM信号を生成しており、出力段であるFETの応答速度が求められた結果であるということで、ハイレベルな技術が新たなハイレベルな技術を喚起した結果と言えましょう。
接続するスピーカーの負荷に合わせてドライブする「LAPC」という独自機能も注目。マイクでの測定などが不要なのもポイントで、オーディオに詳しくなくても簡単に使えるのも特筆ものです。
また、同梱のテストレコードを再生測定し、カートリッジの特性を補正し本来の音質を再現するというフォノイコライザーの凝りぶりは他にはないほどのものです。
Technics SU-R1000の仕様
■定格出力:150W+150W(8Ω)、300W+300W(4Ω)、推奨負荷インピーダンス:4Ω-16Ω
■周波数特性:PHONO(MM):20Hz-20kHz、LINE:5Hz-80kHz(-3dB)、DIGITAL:5Hz-80kHz(-3dB)
■ヘッドホン:ステレオ(Φ6.3mm)0.75mW、32Ω PC:背面、USB Bタイプコネクタ×2
■アナログ入力:LINE×2:ピンジャック、LINE XLR×1:3ピン、XLR、PHONO(MM/MC)×1:ピンジャック、PHONO XLR(MC)×1:3ピン、XLR、MAIN IN×1:ピンジャック、REC IN×1:ピンジャック
■デジタル入力:光デジタル入力×2:光⾓型端⼦、同軸デジタル入力×2:ピンジャック、
■アナログ出力 PRE OUT×1:ピンジャック REC OUT×1:ピンジャック
■システム接続 システムコントロール端子×1:Φ3.5 mmジャック
■同軸デジタル入力、PCM:最大 192 kHz/24bit、
■光デジタル入力、PCM:最大 96 kHz/24bit、
■PC入力(USBタイプB)
■USB規格:USB2.0 High-speed、USB Audio Class 2.0、Asynchronous mode
■USB再生フォーマット:PCM 最大 384 kHz/32 bit、DSD 2.8 MHz/5.6 MHz/11.2 MHz/22.4 MHz(ASIO Native mode のみ)
■DSDコントロールモード:ASIO Native mode、DoP mode MQAデコーダー
サイズ
W(幅) : 430 mmH(高さ) : 191 mmD(奥行) : 459 mm
重量
22.8 kg
Technics SU-R1000 レビュー情報について
本機についてのレビュー・感想の情報は、まだ発売されたばかりであることや、販路が限られていること、アキュフェーズやデノン、ラックスマンほどにはやはりこれまでの高級プリメインの実績の点からはすぐには数が出ないだろうということなどから、一般ユーザーレベルではまだないようです。
一方、オーディオ系ニュースサイト、加えて、オーディオ販売専門店などがいくつかのレビュー記事を公開していて、参考になるでしょう。なかにはテクニクス提供という記事もあり、内容の見極めが難しいところもあるでしょうが、それでも、音質はアナログ入力よりもデジタル入力が有利であるとか、フォノイコライザーにかなり凝っているため意外にもアナログレコード再生用にも適しているといった情報は役に立ちそうです(プリメインアンプ+Technics)。
Technics SU-R1000 レビューサイトの紹介
スピーカーを最適駆動、Technics次世代デジタルアンプ「SU-R1000」の音
https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/special/1298192.html
デジタル処理で新次元のレコード再生、Technics「SU-R1000」を聴く
https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/special/1300097.html
テクニクス初の最上位プリメイン「SU-R1000」を聴く。革新的な技術は音をどう進化させたか?
https://www.phileweb.com/review/article/202102/15/4119.html
TECHNICS SU-R1000 レビュー記事 – DynamicAudio 5555
https://dynamicaudio4f.wordpress.com/2020/11/08/technics-su-r1000/
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