What Hi-Fi?が「MQAが経営破綻」(破産)と報道?
ハイレゾ相当のPCM音源をリニアPCMに比べて10倍以上に圧縮記録できる「MQA」規格。このMQAを開発・運用している「MQA Ltd」という米国企業が経営破綻したというニュースが海外のオーディオニュースサイト「What Hi-Fi?」で報じられたとのこと。
「What Hi-Fi?」の報道を国内オーディオメディアのファイル・ウェブとavcatも相次いで報道。
さらにavcatのツイッターでも最新情報が続報されており、
デジタル音楽技術「MQA」の開発元であるMQA Ltd.が経営破綻
正式のプレスからも情報が出てきましたので確定と思います
現在買収先を探しているとのことで
米国連邦破産法第11条に匹敵する行政管理への移行も https://t.co/N6fV7OiMpu pic.twitter.com/6MGSFVhgJ0— avcat (@avcat_jp) April 7, 2023
残念ながら本当のもようです。
MQAとは
MQAはCD程度のデータ量(16bit/44.1kHz 1.41Mbps)でも24bitや176.4kHzといったハイレゾ相当のデータをロッシー圧縮することで入れ込める技術。ハイレゾストリーミングでもデータ量を節約しつつハイレゾ相当の品位が楽しめるなどのメリットがあります。
MQAはハイレゾデータの圧縮だけでなく、時間軸情報の高精度化という特徴もあり、ロスレスフォーマットのFLACを上回る低ジッター性による高音質も売りにしていました。
しかし、MQAは非常に厳格なライセンス方式を採用しており、MQAエンコードされた音楽ファイルを再生するには、MQAライセンスを持つ再生機器が必要です。この制限は、MQAが普及する障害となる可能性があると見られてきました。
※MQAフォーマットには、以下のような問題点が指摘されていました
・プロプライエタリであるため、オープンなフォーマットではありません。MQAは、ライセンスを持っていない再生機器やソフトウェアでは再生できないため、利用者にとって制限が多いことが指摘されています。
・MQAは、CD品質やハイレゾ音源の品質を向上させることができると謳っていますが、元々の録音やマスタリングのクオリティによっては、それ以上の効果を発揮することができません。また、MQAのエンコードやデコードには高度な処理が必要であり、対応する再生機器やソフトウェアがない場合、MQAファイルの再生ができないことも問題となっています。
・MQAは、不可逆的なデジタル信号の改変を行っているため、音楽ファイルの正確性が損なわれる可能性があります。このため、MQAのフォーマットが音楽産業の標準になることについては議論があります。
以上のように、MQAフォーマットには問題点が指摘されていますが、一方で高音質化に貢献する技術として注目されている側面もあります。
MQAはいろいろと指摘される点はありましたが
実際、MQAでエンコードしたコンテンツはMQA-CDはじめ、世間にはかなり増えていました。
しかし、MQAデータをハイレゾに展開して再生するにはMQAデコーダー機能を搭載した機器でなければならず、その普及は進んでいませんでした(マニア向けDACやDAPでさえ、MQA対応機器は半分にも満たないのではないでしょうか?)
折しも、e-onkyoがMQA配信を止めると数日前に発表しており、もともとマニアックな規格だったMQAの今後はなかなか見通せません。
マニア的にはデータ容量が多くてもロスレスの心理的安心感のあるFLACかWAVでいいのでしょうし、一般ユーザーにとってはMQA-CD購入の機会は少なくありませんが、現在、一般的なオーディオ機器ー既存のミニコンポはじめ、スマホやBluetoothスピーカー、サウンドバーなどーではMQA再生ができず、宝の持ち腐れという不合理になっています。
MQAは厳格なライセンス方式と技術のブラックボックス化により、ユーザーがデータを自由に扱って楽しむ余地が無いこともまずかったかもしれません。既存のリニアPCMデータを自由にMQAにしたり、MQAデータをハイレゾのリニアPCMなどに変換するなどもできないようですし。この点DSDはオープンでフリーのフォーマットなのでマニアも自由にエンコードしたりデコードを楽しめるわけです。
前途有望なMQair(SCL6)もあるはずなのに?
MQAフォーマットの未来はあまり明るくないようにも見えます。ではMQA開発元の企業の未来は暗いかというと、それもまた一言ではいかないようでもあります。
というのもMQAは、Bluetoothオーディオで使われる新しい高音質フォーマット・MQair(SCL6)の開発も行っています。圧縮ありきのBluetoothオーディオでの高品位圧縮フォーマットは需要が大いに期待できますし、エンコード・デコードでの機器普及もすぐに広がりやすく、未来は明るいでしょう。
しかし、前途有望なMQair(SCL6)があるのに、今回の経営破綻はなぜ?となるので、やっぱりよくわからないことも多いです。
続報を待ちましょう。
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