iBasso Audio DC03 USB接続の超小型DAC/ヘッドホンアンプ
中国・iBasso Audioより、USB接続の超小型DAC/ヘッドホンアンプ「DC03」が10月9日に国内発売されます。オープン価格で、税込6,820円前後の実売が予想。
2019年に発売され、すでに生産完了している「DC01」と「DC02」(いずれもDC03とほぼ同じくらいの実売価格)の後継機に位置づけ。なお、DC01は2.5mmバランス端子搭載で、DC02は3.5mmアンバランス端子搭載でした。端子面で考えるとDC02の直接的な後継機で、DC01も統合した形となっています。
DC03の内容や特徴を従来のDC01/02と比較しての違いも交えつつご紹介します。
DC03の内容をDC01/DC02と比較しての違いも交えてご紹介
サイズ・形状は従来のようにUSBコネクタ部に短いケーブルとUSBメモリよりも小さいくらいの本体部という構成。本体部の外形寸法は40×15mmで、全体の質量は約11g。従来のモデルとサイズは同じくらいで、重さはDC01が11g、DC02は8gでした。重量的にはDC01と同じとなっていますが、いずれにしても小型・軽量という点では変わっていません。
筐体はブラッシュド加工を施した金属製で、なかなかの高級感があるのも従来同様。本体のUSB端子はType-Cですが、付属のアダプターによりType-Aに変換し、WindowsやMacでも使用できるという端子の様子も同じです。Androidスマホ・タブレットをはじめとして、幅広いUSB機器と接続できる汎用性を備えています。電源は接続機器から取る方式です。
DACチップにシーラス・ロジック「CS43131」を2基搭載
DC03はDACチップにシーラス・ロジック「CS43131」を2基搭載することで、さらなる高音質を追求したとしています。なお、従来モデルではいずれも旭化成エレクトロニクス製のDACチップを使っており、DC01が「AK4493EQ」、DC02が「AK4490EQ」でした。
最大384kHz/32bitまでのPCM、11.2MHzまでのDSDに対応する再生スペックは従来同様。もともとこの価格のUSB-DACとしては十二分にハイスペックですので、この点では問題ありません。USB Audio Class 2.0に対応しているため、Windows 10ではドライバーが不要なのも従来同様です。
従来からDSDのDoP再生についてはメーカーの製品サポートページで公開されるドライバーを使用したほうが再生が安定していました。DC03でもこのあたりも同様の可能性はあります。
高SN比と実使用時の低ノイズ性
SN比は127dB、THD+Nは0.00028%と、この価格でコンパクトサイズのDACとしては出色の高性能であることは大きな特徴です。従来モデルではSN比は不明で、THD+Nは0.001%以下としていました。DACチップの変更や内部設計の変更が功を奏したものでしょう。
DC03では実際にノイズフロアは0.9μV未満となり、これは耳で聴いた場合にほぼ知覚できないほどの低ノイズ特性です。低価格のUSB-DAC/ヘッドホンアンプのなかにはノイズ性能が不満なモデルもありますが、本機はそれらとは一線を画す品位と言えます。
従来のDC01/DC02では、組み合わせるイヤホンやヘッドホンによっては、ホワイトノイズ(残留ノイズ)が聴こえるという感想もネット上にありましたが、DC03ではこのあたりも改善していると思われます。
なお、筆者はDC01を所有していますが、一般的なイヤホンやヘッドホン(ソニーやオーディオテクニカ製)ではAndroidスマホ、Windows PCとの接続時ともに特にホワイトノイズは感じませんでした。
ヘッドホンアンプ出力も強化
また、ヘッドホンアンプ出力はDC02と比較して約3倍の80mWを実現。 一般にヘッドホンアンプ分が非力な機器ではドライブが難しい高級IEM(インピーダンスが低い、低能率などのモデルが多い)であっても、スマートフォンで楽しめるとしています。DC02ではややヘッドホンアンプ部が非力という評価を払拭できそうです。
従来機同様、専用Androidアプリ「iBasso UAC」を利用することで、64段階のハードウェアボリューム調整に対応。出力電圧が2Vrmsのため、接続する機器によっては音量が大きくなりすぎる場合にも特に小音量時にうまく音量を微調整できます。
価格を考えると驚異的なコスパが期待
総じて、この価格帯の超コンパクトタイプでハイレゾ再生対応のUSB-DACとしては驚くほどのハイスペックと高音質が期待できる内容。すでにDC01/02の段階でそれらの評価は確立されていただけに、ほぼ価格据え置きでどれだけ従来よりも高品位なのかが注目点です。
ただ、残念なのは、バランス接続に対応したDC01とはバランス接続の点では比較できないこと。本来ならバランス接続に対応したDC01の直接的な後継機(DC04?)も出て欲しかったところです。
つまり、本機は3.5mmアンバランス接続でこの価格帯という条件で、できるだけ高音質なバスパワー型USB-DAC/ヘッドホンアンプを求めている人に適しています。モバイル使用に最適な小型・軽量もとk聴ですが、このシリーズはサイズや重量が関係ないくらいのこの価格帯では高い実力がありますから、PC用の据え置き使用にも十分使えるでしょう。
一方、バランス接続で同様の内容を求めている人にはいまのところ、従来機のDC01に替わるモデルが見当たりません。もっと価格が高い(1万円以上)ならいくつか選択肢はありますが。
また、筆者はDC01を持っており、スマホなどとの接続・使用時にかなりの発熱があります。この発熱がDC03では減ったのかも気になるところです(ポータブルヘッドホンアンプ+iBasso Audio)。
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